イタリア
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移民大国のフランスやドイツには及ばないものの、2016年における外国人人口は502万6,153名を数え[21]、イタリア国民の1割近くに達しつつあり、移民2世・3世の定着も進んでいる。移民グループでもっとも多いのは同じローマ人を祖先とするルーマニア人で、2014年時点で100万名以上が移民しており、国内で批判の対象とされることも多い。次いで地中海やアドリア海を越えて訪れるモロッコ人アルバニア人が挙げられる。アジア系では中国系移民(華人)がトップを占め、数年で倍近く増加している。

対テロ戦争アラブの春シリア内戦イスラム国の台頭などで中東が混乱してからは、海路でイタリアに不法上陸する者が急増した。2013年10月には、ソマリア人とエリトリア人をおもに載せた船が沈没、368人が死亡する事件があり、それ以降、イタリア海軍は不法移民を救助する活動に力を入れているが[22][23]、国民の間では難民への反感も高まっている。
言語詳細は「イタリアの言語(英語版)」を参照

公用語はイタリア語。エスノローグによる調査では、イタリア国民のうち約5,700万名がイタリア語を使用している[24]。欧州連合による調査では、イタリア語を母国語としているのはEU圏内で約6,500万名になっている[25]
方言・地方言語

等語線ラ・スペツィア=リミニ線があり、この線の北西の北イタリア(西ロマニアの側)と、南東にあたる中南部のイタリア(東ロマニアの側)では言葉が異なる。東ロマニアに分類される中部イタリアのトスカーナ州の言葉を中心に標準語が形成されている。北イタリアではフランス語などに近い西ロマニアの言葉であるガロ・イタリア語を使用する[注釈 6]

イタリアは歴史的に別の国に分かれていた期間が長いため方言の差が激しいとされているが、そもそも言語成立の過程にも複雑な事情が絡んでいる。古代ローマで話されていた言葉(ラテン語)の俗語形である「俗ラテン語」が、ローマ消滅以降にかつての統治領(イタリア・フランス・スペインなど)ごとに統一性を失って方言化した際、イタリア各地のラテン語方言がイタリア地方特有の変化を遂げたと判断した人々が、近世になってこれらをひとつの言語体系(イタリア語)と定めたことに起因する。

言語と言語の違いを研究する作業は古くから言語学の分野で行われていたが、どの程度の類似性をもって「同じ系統の言語」(方言)とするのか、あるいは「異なる系統の言語」とするのかの客観的判断はほとんど不可能で、結局は個々人の価値観に頼るしかなく、民族問題や領土主張との兼ね合いもあって政治的判断が下されるケースが多い(「言語とは軍に守られし方言である」という皮肉も存在する)。よってイタリア語も方言の集合体とするか、無数の独立言語とするかは政治的に決定され、当時の民族主義政策に基づいて方言であるとされた。近年はEU統合の流れから欧州各国で方言を地域言語と認める動きが芽生え始めており、イタリアでも方言を地域言語として承認するべきかどうか盛んに意見が重ねられている。こうした現象はイタリアだけでなく、同じ経緯を持つほかのロマンス諸語でも発生しているほか、ゲルマン語派のドイツ語でも方言の尊重と権利拡大が進められている。

現在、エスノローグはイタリア共和国内に以下の少数言語の存在を認めている。

イタリア語(国家公用語)

ガロ・イタリア語(ヴェネト州以外の北イタリア)

ヴェネト語(ヴェネト州)

ナポリ・カラブリア語南イタリア

シチリア語(シチリア州と南部の一部)

サルデーニャ語(サルデーニャ州

外国語

一部の特別自治州、ヴァッレ・ダオスタ州でフランス語、トレンティーノ=アルト・アディジェ州ではドイツ語も使用する。フリウリ地方ではフリウリ語、南ティロルではラディン語という、イタリア語よりラテン語に近いレト・ロマンス語系の言葉を母語とする住民もいる。また、最南部のカラブリア州には東ローマ帝国統治下(マグナ・グラエキア)の影響を残すギリシャ語系のグリコ語の話者も存在する。さらに、オスマン帝国時代のアルバニアからイタリア南部に定着した人々の子孫はアルバニア語の方言を母語とする。サルデーニャ島では、イタリア語系のサルデーニャ語(イタリア語の一方言とする説もある)が話される。アルゲーロではアラゴン=カタルーニャ連合王国支配の影響からカタルーニャ語の方言が話される。
婚姻

婚姻においては基本的に夫婦別姓となっているが、結合姓も認められている。

子の姓に関しては、伝統的には父親の姓としていたが、父親の姓としなければならないという法律は存在しないとの理由で、母親の姓を子の姓としてよいことが裁判を通し2012年に認められた[26]

また、イタリアはきわめて離婚が少ない国として知られている[27]
宗教バチカン市国南東端にあるカトリック教会の総本山、サン・ピエトロ大聖堂詳細は「イタリアの宗教」を参照

イタリアの宗教 (2018年12月)[28]宗教%
キリスト教8686 
カトリック教会7979 
東方/オリエント正教55 
プロテスタント11 
他のキリスト教諸派11 
その他の宗教33 
無宗教1111 
無神論77 
不可知論44 
合計100100 

2014年の推定では、キリスト教カトリック教会が75.2%[注釈 7]と最大で、残りの大半が無宗教または無神論者で、数%のムスリムのほか、その他宗教が1%未満となっていた[29][30]

4分の3と最大多数のカトリックであるが、信条はリベラルであり、カトリック教会の教義に反して同棲離婚妊娠中絶などについては大多数が肯定的であるとの報告も出ている[31]

プロテスタントは少数で、アラブ系移民の増加により、イスラム教は近年増加傾向にある。「イタリアにおける信教の自由(英語版)」も参照
教育詳細は「イタリアの教育」を参照

この節の加筆が望まれています。

保健詳細は「イタリアの保健(英語版)」を参照

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医療詳細は「イタリアの医療」および「イタリアの福祉」を参照

イタリアの医療は、1978年より税金を原資とするユニバーサルヘルスケアが施行されており[32]、公営・民営の混合制度となっている。公営制度はServizio Sanitario Nazionaleと呼ばれる公費負担医療であり、保健省が方針を定め、現場は地方自治体が運営している。保健支出は2008年にはGDPの9.0%ほどであり、OECD各国平均の8.9%より若干上であった。2000年にはWHOより、医療制度の効率性は世界2位、市民の保健状態については世界3位と評されている[33]

平均余命は82.7歳[34]、2013年には世界8位であった[35]。健康上のリスクとしては、イタリアはほかの西欧各国と同様に肥満者が増えており、人口の34.2%が太りすぎと自己申告、また9.8%が肥満だと自己申告している[36]。日常的な喫煙者は2008年では人口の22%であり[37]、2005年からは公共のバー、レストラン、ナイトクラブにおいては隔離された喫煙室が設けられるようになった[38]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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