世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の1つでもある。イタドリは生長が速く、日本からヨーロッパに導入されて土壌侵食の防止や、家畜の餌に利用された[15]。19世紀には、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトによって観賞用としてヨーロッパへ持ち込まれて外来種となり、特にイギリスでは旺盛な繁殖力から在来種の植生を脅かすうえ、コンクリートやアスファルトを突き破るなどの被害が出ている[19]。2010年3月、イギリス政府はイタドリを駆除するため、天敵の「イタドリマダラキジラミ」を輸入することを決めた[20]。 草丈は30 - 150センチメートル (cm) ほどになる大型の多年生草本で[17]、肥沃な土地では高さが2 mに達することもある。 冬期は地上部のみが枯死して地下部の地下茎や根のみが越冬する[16]。春、タケノコのような赤紅色の斑点がある新芽が、地上から直立して生える[11][10]。茎は円柱状の中空で、多数ある節は赤みを帯びて[16]、膜質で鞘状の托葉があり[18]、その構造はやや竹に似ている。そのためイタドリの茎は軽くて丈夫で、短い期間でも生長が速い[15]。 葉は茎の節ごとに互生し、葉身は先が尖った卵形から広卵形で[18]、長さは6 - 15 cm、幅は7 - 15 cm[16]、基部は切れたようにまっすぐな形をしている[14]。特に若いうちは葉に赤い斑紋が出る。葉の裏は粉白色にならない[16]。 花期は夏から秋(7 - 10月)ころ[17]。雌雄異株で、葉腋と枝先に白か赤みを帯びた小さな花を多数つけた円錐花序をだして[18]、枝の上側に並んでつく[21]。花被片は萼片5枚のみで、花弁がない[16]。雄花は漏斗形で小さく、雄しべが萼片の間から飛び出すように長く発達しており、萼片は雄花よりも雌花の方が大きい[16]。また、白い雄花は数日で枯れ落ちる[16]。雌花は、先が5裂する[16]。特に花の色が赤みを帯びたものは、ベニイタドリ(メイゲツソウ)と呼ばれ、本種の亜種として扱われる。 雌株は、花が終わるとハート型の3稜ある果実ができ、秋に熟する[16][18]。果実は翼果で、種子を包む薄い3枚の翼は、雌花の花被片(萼片)3個が痩果を包み込んで翼状に張り出したもので、風によって散布される[21]。痩果は3稜形、両端は尖っていて、表面がなめらかな暗褐色をしている[21]。そして春に芽吹いた種子は地下茎を伸ばし、各所に芽をだし[18]、群落を形成して一気に生長する。 一面に花が咲いていると、多くの昆虫が集まる。秋に昆虫が集まる花の代表的なものである。また、冬には枯れた茎の中の空洞を、蛾の一種であるコメツガの幼虫や、アリの仲間が冬越しの部屋として利用しているのが見られる[15]。イタドリハムシは、成虫も幼虫もイタドリの葉を食べる。 春(4 - 5月ごろ)の紅紫色でタケノコ状の新芽・若い茎はやわらかく、「スカンポ」などと称して食用になり、根際から折り取って採取して皮をむき山菜とする[11][17][注釈 2]。また、やわらかい葉も食用にされている[11]。新芽は折り取るとポコッと小気味のよい音がして、太いものほど味がよく[10]、生でも食べられ、ぬらめきがあり珍味であると形容されている[18]。かじると強い酸味が感じられ、かつては子供が外皮をむいて独特の酸味を楽しんだ[11]。この酸味はシュウ酸で、多少のえぐみもあり、そのまま大量摂取すると下痢をおこす原因になり、健康への悪影響も考えられ注意が必要となる[11][10][22]。採取時期は暖地が3 - 4月、寒冷地で4 - 5月ごろとされ、葉がまだ開いていない太めの若い茎を採取する[10]。 山菜として採った新芽は外皮を取り除いて生食するか、生のまま酢の物、サラダ、納豆和え、ジャム、天ぷらにする[10]。
形態・生態
オオイタドリの新芽
若い芽
茎
葉
雄花
果実
利用
山菜