グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(グレートブリテンおよびきたアイルランドれんごうおうこく、英語: United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、英語略称: United Kingdom、UK、Britain[1])、通称イギリスは、ヨーロッパ大陸北西岸に位置し、グレートブリテン島、アイルランド島北東部その他多くの島々から成る立憲君主制国家。首都はロンドン。日本語における通称の一例として、英国(えいこく)がある(「国名」を参照)。
イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという歴史的経緯に基づく4つのカントリー(「国」)が、同君連合型の単一主権国家を形成している[2]。また、2020年1月31日まで欧州連合(略称:EU)に属していたが離脱した (ブレグジットを参照)。イギリスは国際連合安全保障理事会常任理事国であり、G7・G20に参加する先進国である[3]。また、経済協力開発機構、北大西洋条約機構、欧州評議会の原加盟国である[4][5][6]。
核拡散防止条約により核兵器の保有を認められた5つの公式核保有国のひとつであり[7]、強力な軍事力を持つ。ウィーン体制が成立した1815年以来、世界で最も影響力のある国家を指す、列強のひとつに数えられる。
GDPは2020年時点で名目GDP世界第5位、購買力平価世界第9位と、いずれも世界10位以内に位置する大きな市場を持ち、世界的な経済大国かつヨーロッパにおける四つの大国「ビッグ4」の一国である。人間開発指数の高い先進国と見なされている。
また、民主主義、立憲君主制、議院内閣制など近代国家の基本的な諸制度の発祥国でもあり、ピューリタン革命、名誉革命、産業革命など、様々な歴史的事象の舞台であった。シェイクスピア、ダーウィン、ニュートン、クック、ファラデー、フレミングといった科学者や芸術家の故国で、現代においてもビートルズ、クイーンなどを輩出した。ビジネスや政治において「国際共通語」化が進んでいる英語は、イングランドの発祥である。
イギリスの擬人化としてはジョン・ブル、ブリタニアが知られる。 国花はそれぞれの地域が持っている。 正式名称は英語で、United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(ユナイテッド・キングダム・オヴ・グレイト・ブリテン・アンド・ノーザン・アイルランド)。 日本語では、「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」とする場合(法文など)と「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」とする場合(条約文など)がある。 英語での略称は「United Kingdom」、「UK」、「Britain」。日本語における一般的な通称は「イギリス」もしくは「英国」(英と略称される)であるが、稀に「United Kingdom」の直訳である「連合王国(れんごうおうこく)」が用いられることもある。現在の公用文では「英国」が使用されており、「イギリス」は口語で用いられることが多い[注釈 1]。「連合王国」は2003年まで法文において用いられていた[10]。 「イギリス」は、イングランドに関連するポルトガル語の形容詞「inglez, ingles(イングレス、イングレシュ)」が語源で、戦国時代にポルトガル人が来航した事に起源を持つ。原義にかかわらず連合王国全体を指して使われており、連合王国の構成体たる「イングランド」とは区別される。江戸時代には、オランダ語の形容詞「engelsch, engels(エンゲルス)」を語源とする「エゲレス」という呼称も広く使用された[11]。幕末から明治・大正期には「英吉利(えいぎりす)」や「大不列顛(大不列?、だいふれつてん、大ブリテン)」と漢字で表記されることもあったが、前者が「英国」という略称の語源である。ただし「英国」は、狭義に連合王国全体でなくイングランド(英格蘭)のみを指す場合もある[注釈 2]。 1707年合同法においては、イングランド王国およびスコットランド王国を一王国に統合すると宣言する。同法において、新国家名称は「グレートブリテン王国」または「グレートブリテン連合王国」および「連合王国」とすると述べている[12][13]。しかしながら、「連合王国」という用語は18世紀における非公式の使用にのみ見られ、「長文式」でない単なる「グレートブリテン」であった1707年から1800年まで、同国はごくまれに正式名称である「グレートブリテン連合王国」と言及された[14][15][16][17][18]。1800年合同法では、1801年にグレートブリテン王国とアイルランド王国が統合し、グレートブリテン及びアイルランド連合王国が成立した。現在の正式国名である「グレートブリテン及び北(部)アイルランド連合王国」は、北アイルランドのみが連合王国の一部としてとどまった1922年のアイルランド自由国独立およびアイルランド分裂
象徴詳細は「イギリスにおける国の象徴(英語版)」および「イギリス、チャンネル諸島、マン島の国の象徴の一覧(英語版)」を参照
国花
イングランドはバラ(テューダー・ローズ)[8]。
ウェールズはラッパスイセン(スイセンの1種)[9]。このほか、リーキも歴史のあるシンボルである[8][9]。
北アイルランドはシャムロック[8]。
スコットランドはアザミ[8]。
国名
イギリスは主権国家として国であるが、イングランド、スコットランド、ウェールズ、それほどの段階ではないが北アイルランドも、主権国家ではないが「国」(country)と呼ばれる[20][21]。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドは、権限の委譲による自治権を有する[22][23]。イギリス首相のウェブサイトでは、連合王国の説明として「1国内の国々」という言葉が用いられていた[2]。イギリスの12のNUTS1地域(英語版)統計のような複数の統計的概要において、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドを「region」と言及している[24][25]。北アイルランドは「province」とも言及される[20][26]。北アイルランドに関しては、記述名の使用が「多くの場合、個人の政治的選好を明らかにする選択で議論の的になり得る」[27]。
英語では「Britain」という言葉は、連合王国の同義語として頻繁に用いられる。一方、「Great Britain」という言葉は、連合王国全体の緩い同義語として用いられる場合もあるが[28][29]、本来はイングランド、スコットランドおよびウェールズを指すものであり、北アイルランドを含む(すなわち、イギリス全体を指す)場合には用いるべきでないとされる[30][31][32]。
"GB"及び"GBR"は、イギリスの標準国名コード (ISO 3166-2及びISO 3166-1 alpha-3を参照) であり、その結果として国際機関がイギリスに言及する際に用いられることがある。さらに、イギリスのオリンピックチームは「Great Britain」もしくは「Team GB」の名称を用いる[33][34]。
形容詞の「British」は、イギリスに関する事項への言及によく用いられる。「British」に明白な法的含意はないが、イギリスの市民権及び国籍に関する事項(英語版)への言及に法律上用いられる[35]。イギリスの国民は、自らの国民性を表現するのに多数の異なる用語を用い、自らをイギリス人であるか、イングランド人、スコットランド人、ウェールズ人、北アイルランド人、アイルランド人[36] であるか、またはその両方であると見なし得る[37]。
2006年、英国旅券に新デザインが導入された。新パスポートの1ページ目には、英語、ウェールズ語、スコットランド・ゲール語で正式国名が記載されている[38]。ウェールズ語での正式国名は「Teyrnas Unedig Prydain Fawr a Gogledd Iwerddon」であり、政府のウェブサイト上での略名は「Teyrnas Unedig」であるが[39]、通常は語形変化した形「Y Deyrnas Unedig」から「DU」と略される。スコットランド・ゲール語での正式国名は「Rioghachd Aonaichte Bhreatainn is Eireann a Tuath」であり、略名は「Rioghachd Aonaichte」である。
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