イギリス軍
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第二次世界大戦の終結後、経済的、そして政治的な低迷により世界的な役割の縮小として反映された[9]。それは、1956年スエズ戦争間に生じた政治的敗北によって表面化した。1957年度国防白書では、徴兵の廃止と、1962年までにイギリス軍の規模を690,000名とすることが決められた。政府は人員縮小後も従来の軍事力に代わるものとして、核抑止力ドクトリンを見出した。最初にイギリス空軍による自由落下爆弾核爆弾の装備が始まったが、最終的に潜水艦発射弾道ミサイルで代替された。

イギリス軍は、治安や安全保障といった観点からスエズ以東に恒久的に配備を続けていた。しかし、経済的理由により1968年に撤退することを決定した。1970年代の中期までに、アデンバーレーンオマーンシャールジャモーリシャスマレーシアシンガポールから撤退が完了した[10]1975年南アフリカ1979年マルタとの協定の期限が切れ、現在まで維持しているブルネイや1997年に撤退した香港はスエズの東に存続したが、適度な削減が行われた。

1985年までに72,929名がヨーロッパに配置されたように、主力はヨーロッパのNATOに委託された[9]イギリス陸軍ライン軍団と在独イギリス空軍(英語版)は、イギリス軍の中で最も大規模で、かつ最も重要な海外派遣を象徴した。東大西洋と北海においてはソビエト連邦の潜水艦に対処することが求められ、海軍の艦隊は対潜戦の専門化が行われた。このプロセスで、4隻の通常航空母艦と2隻のコマンド輸送艦が1967年から1984年にかけて退役させられた。そういったNATOへの注力に対する関心が増加する一方で、1962年に起きたインドネシア・マレーシア紛争では援助を必要とし、1970年代北アイルランド問題やオマーンのクーデターといった低強度紛争がイギリス軍の主要任務への懸念となった。
冷戦終結後

冷戦終結以降、イギリス軍は国際的な役割が追求され、遠征型戦争と戦力投射に重点を置いた再編が実施された。 そのため国連NATO、他の多国籍活動の支援の下、平和維持活動や人道支援ミッションにおいて主要な役割を果たすことが増加した。

アメリカ同時多発テロ以降、アフガニスタン(2001年?2021年)、イラク(2003年?2009年)、近年ではISILに対する軍事介入(2014年?)など、対テロ戦争(2001年?)に深く介入してきた。英国の対ISIL軍事介入は、イラク政府が要請した対ISIL空爆作戦の延長として、シリア上空での空爆作戦を開始することが議会で決議され、拡大された。空爆作戦に加え、イギリス陸軍は地上で同盟国に対して訓練と後方支援を行い、特殊空挺部隊特殊舟艇部隊特殊偵察連隊シリアとイラクので様々な任務を遂行した。

イギリス軍はまた、文民当局に対する軍事支援(MACA)を通じて災害救援活動や市民生活の生活確保等のために国内で動員される場合がある。2020年3月19日、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、20,000名の兵力から構成されるCOVID支援部隊(CSF)が臨時創設され、コロナ専用病棟の設置や検査実施などの対応に当たった[11]
現状
人員

2023年7月1日現在、イギリス軍は140,300名の現役兵・4,140名のグルカ兵・33,210名の予備役を含む185,980名の人員を有する[12]
国防費

2022年度の国防予算は684億ドルで世界第6位、GDP比は2.2%である。

2010年の戦略防衛安全保障見直し(SDSR)では、財政危機とイラクからの撤兵(2009年)を理由に約8%の大幅削減を決定した。その結果、2014年度までに3軍で17,000名の人員を削減し、空母打撃群及び対潜哨戒機の一時的不在状態を生み出した[13]。2015年のSDSRでは、NATOとロシアの緊張関係・イスラム国の台頭などを背景に、国防費をGDP比2%に引き上げ、今後10年間で新しい装備と能力に1,780億ポンドを支出することを決定した[13][14]。2023年3月8日、リサ・スナク首相は今後2年間で国防費を50億ポンド増額するとともに、長期的に国防費をGDP比2.5%に引き上げる方針を明らかにした[15]
駐留国イギリス軍の駐留する国.mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  駐留している国   軍を展開している国

イギリスは先進的技術を持つ非常に強力な包括的軍事力を世界中に配備している。国防省の公開しているデータによると、イギリス軍の部隊数は世界で28番目であるのに対し、イギリスの軍事費は世界で2位となっており、工学など軍事科学の分野に多くの資金が投じられている[16]

しかし、それらによって獲得したイギリス軍の幅広い能力に反し、近年の国防政策では、いかなる規模の活動であろうと諸国連合軍や多国籍軍の一部として従事するという想定が方針化している。実際にも、戦後のイギリスが単独で行った大規模な作戦行動は、自国の領土が直接侵攻を受けたことで開戦した1982年フォークランド紛争くらいのものである。


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