イギリス英語
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イギリス英語というと、キングス(クイーンズ)・イングリッシュ[注釈 2]を想像する人も多いが、これはイギリスでは容認発音: Received Pronunciation、RP)やBBC英語[注釈 3]と呼ばれている発音である。もともと上流階級が主に使う発音であり、伝統的に英国放送協会の放送標準となる英語であった。そのため、第二次世界大戦中までのアメリカ合衆国の放送局(ABC、CBS、NBC、そして国営のVOA)でも、BBC英語を多用していた。

しかし1960年代以降、イギリス各地で使用されている地域独自の発音の地位が上がり、BBCでも容認発音以外の発音が普通になるに従い、伝統的に容認発音を使用していた階級も、若者の間ではその使用が失われる傾向にある。現在、容認発音の話者はイギリス人口の約3%程度にまで減少した。

しかし、今なお容認発音が「イギリス英語の標準発音」と国際的に認識されていて、他の英語圏の人にも理解されやすいことから、自国外ではなるべく容認発音に近い英語を使おうとするイギリス人も少なくない。また容認発音自体の変化も進行していて、現在の英国放送協会の標準発音は、1950年代の標準発音(伝統的な上流階級の発音)とは違っている。

rを発音するのは次に母音が続く場合のみ。音節末の「r」を発音するr音化はない[注釈 4]。「car [k??]」「hard [h??d]」「born [b??n]」「water [?w??t?]」「Oxford [??ksf?d]」。

「for a long time」など後ろに母音が続く場合は連音化(リエゾン)を起こしrを発音する。

単語末の母音(狭母音や半母音)と次の単語の母音との間にrを挿入する(「America is」→「America-ris」)人も多い。


「ask」「bath」「chance」などの「a」は容認発音では非円唇後舌広母音([?])となる。

「stop」などの「o」は円唇後舌広母音である[st?p](例:「stop」の発音は「スタップ」(米)でなく「ストップ」(英))。

「better」など母音間・強勢後の/t/と、「border」など母音間・強勢後の/d/は、それぞれ「t」(ベター) 「d」(ボーダー)とアメリカ英語よりもはっきり発音。アメリカ英語では歯茎はじき音(Lの発音、スペイン語などのrに近い発音)となる。

「bluntness」などの[t]、「loudness」などの[d]はそれぞれ声門閉鎖音[?]になる。

/ou/を[o?]ではなく[??]で発音する。[??]のように聞こえることもある。

「new」を[nju?](ニュー)、「tune」を[tju?n](テューン)と発音する(アメリカ英語では[nu?](ヌー)、[tu?n](トゥーン)と発音する人が多い)。

「wh」の綴りの「h」の字は黙字として扱われる(アメリカでは多く無声両唇軟口蓋摩擦音[?]で発音する)。

コックニー詳細は「コックニー」を参照

ロンドンでは、人口の大部分を占める労働者階級は伝統的に「コックニー」(: Cockney speech)と呼ばれる言葉を使っていた。イギリス英語には押韻俗語(英語版)と呼ばれている隠語めいた言い回しがあるが、コックニーを起源とするものが多い。
河口域英語詳細は「河口域英語」を参照

1980年代以降、ロンドンとその周辺(テムズ川河口周辺)で 河口域英語と呼ばれる新しい英語が幅広く使われるようになってきている。容認発音とイングランド南東部方言(コックニー)の混合といえる。

河口域英語を労働者階級の英語とみなす人もいるが、現在は労働者階級に限らず特に若者の間で幅広く使われるようになってきており、将来的には容認発音に代わるイギリス英語の標準語となるとみなす声も多い。
他のイギリス英語「スコットランド英語」および「アイルランド英語」も参照

「教科書のための標準英語(英語版)」の語彙や言い回しを日常生活の中で使用する者はイギリス人口の12?15%であり、容認発音を使う者は約3%程度にすぎない。他のイギリス人が使う英語・方言・発音の特徴として、以下が挙げられる。

イングランド南西部方言、スコットランド方言アイルランド方言では音節末の「r」を発音(r音化)するが、地域によって発音が違う。

イギリス各地で「me」の代わりに「us」を使う人が多い(例:「please pass me the ketchup」→「please pass us the ketchup」)。

イギリス各地で「my」の代わりに「me」を使う人が多い(例:「this is my car」→「this is me car」)。

方言に名前がついていることがある。

Scouseリバプール方言)

Geordie(ニューカッスル方言)

Manc(マンチェスター方言)

Brummie(バーミンガム方言)

Tyke(ヨークシャー方言)


イングランド北部(英語版)・イングランド中部(英語版)やアイルランド方言では [?] の代わりに [?] と発音されることがある(例:「bus」を「ブス」と発音)。

「bath」「cast」「dance」「fast」「after」「castle」「grass」などの「a」は、イングランド南部(英語版)では [??]、イングランド南西部方言では [a?]、イングランド北部・中部やスコットランド・アイルランド方言では [a] や [a?] などと発音することが多い。

イングランドの労働者階級の英語では単語中の[h]を発音しないことが多い。

イングランド南西部方言では独自の語彙や言い回しが多い。

「I am」→「I be」、「you are」→「thou bist」や「you be」、「he is」→「he be」(「thou」は標準英語では17世紀に廃れ、現在はシェイクスピアなど古典文学で登場するのみ)

「it」の代わりに「he」を使うことがある(例:「put it over there」→「put he over there」)。

「them」や「those」の代わりに「they」を使うことがある(例:「those shoes are mine」→「they shoes are mine」)。

「where」に「to」がつく(例:「Where are you?」→「Where're you to?」。この言い回しは南西部の都市部の若者の間でも健在)。

ブリストル方言では単語末の母音のあとに「w」を発音(例:「cinema」→「cinemaw」)

音節末の「r」を強くr音化(発音)。

容認発音の /a?/ を [??] や [??] と発音(例:「price [pr??s]」)。


イングランド北部では容認発音の /e?/ が [e?] に、/??/ が [o?] に変化することが多い(例:「face」の発音は「フェイス」でなく「フェース」)。

文法

「単純未来」の「will」で主語が一人称のとき、「I shall」「we shall」の形で「shall」を使うことがある。

イギリス式またはイギリス寄りアメリカ式またはアメリカ寄り備考


I also have that.

I have that too.


I have that also.
イギリス式では文の終わりに「also」を使用しない


The Clash is a well known band

The Clash are a well known band


The Clash is a well known band



learnt


learned



spilt


spilled



burnt


burned



dreamt


dreamed



fitted


fit



in hospital

in university


in the hospital

in the university



Monday to Friday

Monday till Friday


Monday through Friday



at the weekend


on the weekend



we suggested that Tom should go there.


we suggested that Tom go there.
仮定法現在では、アメリカでは、that節以下は動詞の原形で表すのに対し、イギリスでは、that節以下は「should」に続けて動詞の原形で表す。


I've just had lunch


I've just had lunch

I just had lunch



Have you had dinner yet?


Did you have dinner yet?



talk to David


talk to David

talk with David



two thousand and three


two thousand three
2003


25/12/05

25 December 2005

25th December 2005


12/25/05

December 25, 2005



Two weeks today

a week on Friday

Friday week


Two weeks from today

a week from Friday



6:10

6.10

ten past six


6:10

ten after six

six ten



7:45

quarter to eight

seven forty-five


7:45

quarter till eight

seven forty-five



2:30

half past two

half two


正書法

イングランドはフランス語話者の支配(ノルマン朝プランタジネット朝)が数百年続いたため、イギリス式にはフランス語の影響がみられる[要出典]。

イギリス式アメリカ式単語例(イギリス式)備考
-our-orcolour、labour、flavour、humour動作主を表す -or は英米同形


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