英語で特に国名を冠さず単に“Royal Navy”(ロイヤル・ネイビー)とする場合、通常イギリスの海軍を指す。Navy は本来艦隊を意味する言葉であり、イングランド国王が保有する艦隊であったが、やがてイングランドの海上戦力に係る組織全般を意味するようになった[34]。“Royal Navy”の呼称は1660年に与えられたものであるが、イギリスが連合王国となったのは1707年である。つまり、日本では1707年以前の“Royal Navy”或はそれ以前の“Navy”も“イギリス海軍”と表記しているが、これらは本来イングランド海軍と呼ぶべきものである(連合構成国である他の3国アイルランド、スコットランド、ウェールズは関係ない)[35]。
ロイヤル・ネイビーの呼称は、現役の水上艦隊 (Surface Fleet)・潜水艦隊 (Submarine Service)・艦隊航空隊 (Fleet Air Arm) の3隊の集合体を指す場合に使用される。また、それら現役の3隊に加え、補助艦隊 (Royal Fleet Auxiliary)・予備艦隊 (Royal Naval Reserve) を包括する概念を指す場合には、ネーバル・サービス("Naval Service", 海軍)の呼称が用いられる。ただし、英語圏においても公式の文書等きわめて厳格にその概念を区分する必要がある場合を除き、ネーバル・サービスを指してロイヤル・ネイビーと言うことが多い。また、いずれの場合にも名称に国名が含まれていないが、省略されているわけではなく、含まないものが正式名称である。 イギリス海軍および予備艦隊所属の戦闘艦艇にはHMS(His or Her Majesty's Ship 陛下の船の意)の頭文字がつけられ、補助艦隊所属の補助艦艇にはRFA (Royal Fleet Auxiliary) の頭文字がつけられる。イギリス海軍の軍艦旗には、ホワイト・エンサイン (the white ensign) が定められており、補助艦隊はブルー・エンサインの一種を用いる。艦艇にはアメリカ海軍と異なり、分類シンボル (Hull classification symbol) ではなく、ペナント・ナンバーが付与される。 古くから利用されている陸上施設は慣習的に艦艇と見なされることもあり、正式な基地名は別にHMSの名を有することがある。デヴォンポート(HMNB Devonport)の一部区画は『ドレーク(HMS Drake)』とも呼ばれ、敷地内には帆が張れるマストが設置されている。「艦船接頭辞」も参照 イギリス海軍および予備艦隊所属の陸上施設にはHMNB(His or Her Majesty's Naval Base 陛下の基地の意)の頭文字がつけられる。
艦艇
陸上施設
脚注[脚注の使い方]
注釈^ イギリス空軍が保有し、艦隊航空隊と共同運用。2021年11月に喪失した1機を含まず、アメリカを拠点とする第17飛行隊で運用される3機を含む。
出典^ “ ⇒The Royal Navy”. Britannica Online. Encyclopedia Britannica. 2010年5月16日閲覧。
^ “What We Do 。Royal Navy
^ [1]
^ 青木栄一「英海軍艦隊勤務の変遷-帆走時代から汽走時代へ-」『世界の艦船』703号、海人社、2009年3月。
^ “イギリス海軍の最新鋭空母クイーン・エリザベスがインド太平洋に…日英関係はどうなる?:東京新聞 TOKYO Web