イギリス情報局秘密情報部
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第15代長官を務めたジョン・サワーズは公式見解として「任務は指導者に情報を提供することで、軍事工作はしない」「(007のような)殺しのライセンスは無いし、欲しくもない」と語っている[3]
歴史

1909年3月に首相ハーバート・ヘンリー・アスキスは国家特務機関を再編することを帝国防衛委員会(英語版)(現在の合同情報委員会)に勧告した。アスキスの勧告に基づいて10月1日に委員会に秘密業務局外国課(Foreign Section of the Secret Service Bureau)が創設された。設立時の責任者にはバーノン・ケル大佐とマンスフィールド・スミス=カミング海軍大佐が任命された。後に秘密業務局外国課長も務めたスミス=カミングはサインとしてイニシャルのCのみを用いたため、これ以後のSISの長官は皆同じようにCのサインを利用するようになった。

第二次世界大戦中の1940年にMI6によって設立されたイギリス安全保障調整局は、対ドイツ諜報活動、イギリス連邦諸国におけるイギリス支援のための世論形成など、様々な工作を行ったとされる。長官はウィリアム・スティーヴンスンで、イアン・フレミングはその部下であった[8]

1942年11月19日に時の部長スチュワート・メンジーズの主導でドイツの原子爆弾開発を阻止すべくフレッシュマン作戦を敢行し、失敗に終わった[9]

1995年に本部がランベスから現在のヴォクソールに移動した。新庁舎は警備体制が強化されており、盗聴爆発物に対する防御が施されている。テリー・ファレル設計による、古代メソポタミアジッグラトを想起させる外観は「テムズ川のバビロン」「レゴランド」「チャウシェスク・タワー」とも呼ばれている。2000年9月20日に真のIRA[10]対戦車ロケット弾をビルの8階に撃ち込んだが、損害は軽微であった。

2006年4月27日に国際テロの高まりを受けた人員増強の必要性から多様な人材を確保するため、1909年の創設以来初めて新聞広告で工作員の募集を開始し、また独自のウェブサイトを立ち上げた。近年ではMI6・MI5などの機関が公式ウェブサイトで新人採用まで行っている。2005年の応募資格は以下の通りである。

父母どちらかがイギリス人である。

21歳以上で過去10年間に5年以上イギリスに住んでいたイギリス国民である。

2013年にフランスマリ共和国内で実施した軍事作戦(セルヴァル作戦)を支援した[11]
関係機関

SISに協力する機関には国防省に属する国防情報参謀部(DIS)・内務省の下に置かれる保安局(SS、MI5)がある。SISは国内組織としては、軍事情報を主に扱うDISや国内防諜情報を主に扱うSS(MI5)と協力し[5]、国外でも西側各国の情報機関と協力して任務を実行している。

またこれら2組織や、同じ外務省に属する政府通信本部(GCHQ)・内務省の下に置かれる国家犯罪対策庁(National Criminal Agency、NCA)と共にJICを構成している。職員の出向などの人事交流も行われている[12]。秘密情報部が運営すると考えられる乱数放送にはリンカーンシャー・ポーチャーチェリー・ライプがある。
歴代長官

全員がナイトに叙され、サーの称号を受けている。また、#歴史にある通り、初代のスミス=カミングに倣い、決裁文書には本名と関係なく「C」の一文字だけを署名に使う(第10代長官カーウェンが偶然に一致していた)。

代名前綴り就任退任
01マンスフィールド・スミス=カミングMansfield Smith-Cumming1909年1923年
02ヒュー・シンクレアHugh Sinclair1923年1939年
03スチュワート・メンジーズStewart Menzies1939年1952年
04ジョン・シンクレアJohn Sinclair1953年1956年
05ディック・ホワイトDick White1956年1968年
06ジョン・オグリビー・レニーJohn Rennie (MI6 officer)1968年1973年
07モーリス・オールドフィールドMaurice Oldfield1973年1978年
08ディック・フランクスDick Franks1979年1982年
09コリン・フィギュアスColin Figures1982年1985年
10クリストファー・カーウェンChristopher Curwen1985年1989年
11コリン・マコールColin McColl1989年1994年
12デービッド・スペディングDavid Spedding1994年1999年
13リチャード・ディアラブRichard Dearlove1999年2004年
14ジョン・スカーレットJohn Scarlett2004年2009年
15ジョン・サワーズJohn Sawers2009年2014年
16アレックス・ヤンガー Alex Younger2014年 2020年
17リチャード・ムーア Richard Moore2020年 現職

著名な職員

古くからイギリスはMI6などの諜報機関の存在を否定していたが、007の原作者であるイアン・フレミングは元MI6の諜報員であることを公表しており、現役時代の経験を生かした物語としてジェームズ・ボンドを産み出している。MI6での経験にもとづいてスパイ小説を書いた作家としては、他に「アシェンデン」シリーズを著したサマセット・モーム、「ハバナの男」のグレアム・グリーン、ジョージ・スマイリーを考え出したジョン・ル・カレ(MI5から移籍)などが知られている[13]

2010年9月21日にはクイーンズ大学(アイルランド・ベルファスト)教授で歴史学者のキース・ジェフリー(英語版)による、初めてMI6の歴史をまとめた『MI6秘録』(The Secret History of MI6[14])が公式に発売され、モームやグリーンの他にアーサー・ランサムなどが所属していたことなどが公式に明らかにされた[15]

シドニー・ライリー

ブルース・ロッカート(英語版)

フレデリック・ベイリー(英語版)

ガートルード・ベル

トーマス・エドワード・ロレンス

ハーバート・ジョージ・ウェルズ - SF作家。

キム・フィルビー - KGBとの二重スパイ。

関連機関

保安局(MI5)

特殊作戦執行部(SOE)(en:Special Operations Executive)

ポップカルチャーのMI6
映画
007シリーズ
主人公のジェームズ・ボンドはこの機関に所属する諜報部員という設定。
テレビドラマ
24 -TWENTY FOUR-
シーズン3およびリブ・アナザー・デイの作中に登場。
PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット
シーズン1、7話にて登場するジュリアン・サンズ演じる悪役アリステア・ウェズリーは元MI6の諜報部員という設定。
小説
野獣死すべし
大藪春彦著のハードボイルド小説の主人公である伊達邦彦は、一時期、過去の犯罪をネタに半強制的にこの機関の諜報部員となる設定。
シャーロック・ホームズシリーズ』
主人公、シャーロック・ホームズの実兄、マイクロフト・ホームズはイギリスの諜報機関員の設定。
アニメ・漫画


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