イギリスの首相
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下院は内閣に対して不信任決議権を持つ[20]。下院において不信任案が成立または信任案が不成立となった場合、あるいはそれに匹敵する重要法案の採決で政府が敗北した場合には、憲法習律上内閣は総辞職するか庶民院の解散総選挙を国王に助言しなければならない[20]。英国首相は、内閣不信任が成立していなくとも君主への助言によって任意に庶民院を解散できる(1918年以降には首相は解散助言にあたって内閣に諮る必要もないとの憲法慣習ができた)[17]

2011年から2022年3月までは、2011年に可決された議会任期固定法により、女王の議会解散に関する大権が削除されたため、英国首相は任意に下院解散の助言を行うことができなくなっていた(5年の任期切れ前に下院解散ができるのは、下院が所属議員3分の2以上の賛成で解散を自主的に決議するか、内閣不信任案が決議された時に限られた)[21]。2022年3月に議会解散・召集法が成立することで議会任期固定法は廃止され、解散に関わる国王大権は「議会任期固定法の制定がなかったように」復活し、議会解散に関係する手続きは従来通りとなっている。
首相官邸イギリスの首相官邸
ダウニング街10番地
(10 Downing Street)
ダウニング街10番地

一般にイギリス首相官邸とされる「ダウニング街10番地」は、正式には「第一大蔵卿官邸」であるが、これもウォルポール以来の慣習である。

この建物はもともと国王ジョージ2世がウォルポール個人に下賜したものだったのが、ウォルポールはこれを公的な贈与として受け入れ、後任の第一大蔵卿に引き渡した。その結果第一大蔵卿官邸として使われることになったのである[22]
チェッカーズイギリス首相別邸
「チェッカーズ(英語版)」(Chequers)

首相はダウニング街10番地以外にも、通称「チェッカーズ(英語版)」(バッキンガムシャー・エルズボロ村(英語版)所在)と呼ばれる別邸を与えられる。

1917年、当時このカントリーハウスを所有していた政治家サー・アーサー・リー(英語版)が、「首相の別邸として使うこと」を条件に国に寄付した。リーが寄付した理由は、かつては邸宅持ちの貴族が首相を務めて社交・会談の場を確保していたが、これからの首相はそうもいくまいという事情による[23]第二次世界大戦中、ウィンストン・チャーチルは、ロンドン空襲を避けるためこの別邸でも会議を開いた。
歴代首相
歴代首相の一覧詳細は「イギリスの首相の一覧」を参照
存命中の歴代首相

2022年10月25日現在、(現職のリシ・スナクを除く)存命中のイギリス首相経験者は以下の7名である。

ジョン・メージャー
1990年 - 1997年

トニー・ブレア
1997年 - 2007年

ゴードン・ブラウン
2007年 - 2010年

デーヴィッド・キャメロン
2010年 - 2016年

テリーザ・メイ
2016年 - 2019年

ボリス・ジョンソン
2019年 - 2022年

リズ・トラス
2022年

イギリスの首相に関する各種記録在任僅か2か月足らずだったリズ・トラス(在任2022年)
最長記録

イギリスの首相を最も長期間にわたって務めたのは初代首相のロバート・ウォルポールであり、1721年4月4日から1742年2月11日までの20年と314日に及ぶ長期政権であった。この間、ウォルポールは庶民院における与党・ホイッグ党の勢力安定を政治的基盤に指導力を高め、対外的には平和政策を推進しつつ国内では近代的な議院内閣制の基礎を固めていき、その統治は「パックス・ウォルポリアーナ」(ウォルポールの平和)と呼ばれた。
最短記録

歴代首相の中で最も在任期間が短かったのは2022年に就任したリズ・トラスであり、就任後に公約として掲げていた財源のない大幅減税案を全面撤回し、支持率が急落。その後辞任に追い込まれたため、わずか50日間の短命政権となった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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