学名「Arthropleura
[6]」はギリシャ語の「arthron」(関節)と「pleuron」(側板、かつて本属の背板左右の肋部を指すのに用いられた語[注釈 2][2])に由来する[7]。和名として「コダイオオヤスデ」がある[7]。幅広い背板(tergite、背面の外骨格)が三葉状に分かれ、表面に大小のこぶをもつことが特徴的なアースロプレウラ類のヤスデである[17][22][20]。巨大節足動物として有名な古生物であるが、整った化石標本は希少のうえ、体の前後と腹面構造を良好に出揃ったものは更に少ないため、一部の特徴、特に前方の構造や背板と脚の対応関係は未だに復元しにくい[17][2][23]。知られる外骨格の化石標本は、大きさに反して厚さが2mmで異様に薄いが、これは脱皮殻[24]で元の外骨格はより分厚く頑丈だったと思われ、また脱皮殻自体も薄さに反してある程度の硬度を保つとされる(後述参照)[2][4]。アースロプレウラの前方の形態。前端背面の外骨格は頭部ではなく頸板であり、その下にある不明の頭部(余白+破線)はミクロディケンプレクスに基づいて推測的に復元される[15][22]。 他のアースロプレウラ類であるミクロディケンプレクス
頭部と頸板
最初の三葉状背板の直前には、やや小さく、丸みを帯びた1枚の外骨格がある。この外骨格は左右に1対のくぼみがあり[29][15][22][19]、表面に大小のこぶが生えて、後縁はやや盛り上がって1本の溝に横断される[24][17][20]。21世紀以前では、この外骨格は「丸い頭部」と解釈され[8][28][29][30]、左右1対のくぼみは元々眼が付く所だと推測された[30]。