アーサー・キット
[Wikipedia|▼Menu]
育てている息子たち?私にも分かることだけど、奥様にもお子様がおいででしょう?そういう人たちは、育てた息子たちを戦争に送り出さなければいけないんだって感じているんです

キットの発言に、ジョンソン夫人は涙を流したと言われているが、この発言は順調だったキットのキャリアを大きく狂わせることになった[12] 。世間の評価は極端な賛否に分かれた。合衆国から排斥されたキットは、ヨーロッパアジアに活動の場を求めるようになった。
ブロードウェイ

キットは、1978年に、ブロードウェイのスペクタクル・ミュージカル『ティンブクトゥ (Timbuktu!)』(原作となった『Kismet』の舞台をアフリカに移したもの)で、ニューヨークに凱旋した。このミュージカルのある曲には、マホウンという、大麻の調合のレシピを歌うくだりがあり、キットが猫が喉を鳴らすような声で官能的に歌った「長い木のスプーンで掻き混ぜ続ける」というリフレインは、特徴的なものであった。
後年コンサートで歌うアーサー・キット。2006年撮影。

1978年、キットはロック・グループ、スティーリー・ダンのアルバム『彩(エイジャ)(Aja)』のテレビ・コマーシャルに声の出演をした。キットは、『Thursday's Child』(1956年)、『Alone with Me』(1976年)、『I'm Still Here: Confessions of a Sex Kitten』(1989年)と、生涯に3冊の自伝を公刊した。

1984年、キットはディスコ曲「Where Is My Man」のヒットによって音楽チャートに返り咲き、初めてゴールド・ディスクの認定を受けた。「Where Is My Man」は全英シングルチャートでもトップ40入りを果たし、最高36位まで上昇した[13] 。この曲は『ビルボード』誌のダンス・チャート (National Disco Action) でもトップ10入りし、最高7位まで上昇した[14] 。この曲の成功に続いてアルバム『I Love Men』がレコード・シャック (Record Shack) レーベルから発売された。キットは英米にまたがって、ナイトクラブに新しい聴衆を獲得したが、その中にはまったく新しい世代の男性ゲイのファンたちが含まれていた。これに応えてキットは、HIV/AIDS 患者への支援を行なう組織のために、数多くの慈善公演を行なった。アトランティック・エンタテイメント・グループ (Atlantic Entertainment Group)のエージェントであるスコット・シャーマン (Scott Sherman) がプロデュースした1990年の資金集めのイベントでは、キットはジミー・ジェームズ、ジョージ・バーンズと共演した。この舞台では、最初、ジェームズが登場してキットの物真似をし、後からキットが登場してマイクを握るというのが定番の演出であった。この場面では、いつもスタンディング・オベーションが起こっていた。次にヒットしたのは、ブロンスキー・ビートをフィーチャーした1989年の「Cha-Cha Heels」で、当初はディヴァインが歌うはずの曲だったが、イギリスのダンス・クラブで好評を得て、全英チャートを32位まで上昇した。

1991年、キットは、ジム・ヴァーニー (Jim Varney) の子ども向けハロウィン映画『Ernest Scared Stupid』のハックモア老婦人 (Old Lady Hackmore) 役で、スクリーンに復帰した。1992年エディ・マーフィ主演の映画『ブーメラン』で、エロイーズ夫人 (Lady Eloise) 役を演じた。1990年代後半には、北アメリカを広く巡業した『オズの魔法使い』の一座に加わり、西の悪い魔女役で舞台に立った。1995年には、テレビ・シリーズ『The Nanny』のあるエピソードに本人役で出演し、フランス語で歌い、「シェフィールド氏」と絡んだ。1996年11月には、クイズ番組『セレブリティ・ジェパディ!』にも出演した。2000年には再びブロードウェイで、長続きしなかったマイケル・ジョン・ラキウザ (Michael John LaChiusa) のミュージカル『The Wild Party』で、マンディ・パティンキントニ・コレットの相手役を務めた。2000年代後半には、合衆国を広く巡業した『シンデレラ (Cinderella)』の一座に加わり、妖精のおばあさん役で、デボラ・ギブソンやジェイミー=リン・シグラー (Jamie-Lynn Sigler) と共演した。2003年には、『Nine』でチタ・リヴェラ (Chita Rivera) の代役を務めた。2004年のシーズンにニューヨークリンカーン・センターで行なわれた『シンデレラ』の特別公演における妖精のおばあさん役を、再演するものであった。

キットは、尋常ならざる役柄を引き受けることもよくあったが、1994年にBBCラジオで『ジャングル・ブック』に登場するインドニシキヘビのカー (Kaa) を演じたのもそのひとつである。キットは、その特徴ある声で、ディズニーのアニメ映画『ラマになった王様』(2000年)で、イズマ (Yzma) の声を担当し、初めてアニー賞を受賞し、さらに同じ役をオリジナルビデオ作品『ラマになった王様2 クロンクのノリノリ大作戦』や、スピンオフのテレビ・アニメ『ラマだった王様 学校へ行こう!』でも担当し、2つのエミー賞と、さらに2つのアニー賞を、2007年から2008年にかけてテレビ・アニメの声優として受賞した。テレビ・アニメ『ジェニーはティーン☆ロボット』では、女王ヴェクサスの声を担当した。

キットは晩年まで、ニューヨークマンハッタンにあるザ・ボールルーム (the Ballroom) やカフェ・カーライル (the Cafe Carlyle) といったキャバレー・シーンに、毎年出演し続けていた。

2010年に放送されたアニメ『シンプソンズ』のエピソード「Once Upon a Time in Springfield」では、ピエロのクラスティの昔の(2番目の)妻という設定で、キットがゲスト・スターとして登場するが、このキットの声は本人で、死去する1週間前に収録されたものが使用われている[15]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:47 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef