アーケン石
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トールキンは、自らの神話作品The Earliest Annals of Valinorの古英語のヴァージョンを書いているが、この中で、アーケン石の語源であるeorclanst?nasという単語を、シルマリルの宝石に用いている[14]

ゴート語のairkna-stainsの「聖なる石」という概念は、シルマリルにも相当するものである。また、シルマリルに対するフェアノールの激しい所有欲と、アーケン石に対するトーリンのそれとも共通し、両者の悲劇の元となっている。『ホビットの冒険』の執筆時において、トールキンが自らの神話作品のシルマリルをアーケン石として「引用」したという解釈もある[12]

またラトリフが指摘しているように、『ホビットの冒険』においてビルボがアーケン石を偶然発見し、ポケットに収めた行為は、ビルボの指輪発見の状況とも共通している。『ホビットの冒険』における指輪は、ゴクリの執着ぶりにその片鱗が認められるものの、『指輪物語』におけるような抗しがたい所有欲を引き起こし、影響力を振るうものではない。『ホビットの冒険』でアーケン石に与えられたその魔力が、『指輪物語』における指輪に引き継がれたと解釈することもできる[15]
脚注^ 瀬田 2000, p. 124
^ 瀬田 2000, p. 135
^ 瀬田 2000, p. 202
^ 瀬田 2000, p. 241
^ Anderson 2003, pp. 293?294
^ Rateliff 2007, p. 605
^ Grimm & Stallybrass 1883, p. 1217
^ Anderson 2003, pp. 77?78
^ Rateliff 2007, pp. 605?606
^ Rateliff 2007, p. 525, passim.
^ Anderson 2003, p. 294
^ a b Rateliff 2007, pp. 603?609
^ 田中 1982, p. 102
^ Tolkien n.d., p. 282
^ Rateliff 2007, p. 373

参考文献

Anderson, Douglas (2003), The Annotated Hobbit, London: Harper Collins .

Grimm, Jacob; Stallybrass, tr. (1883), Teutonic Mythology, vol. III .

Rateliff, John D. (2007), The History of The Hobbit: Part Two: Return to Bag-End, Boston and New York: Houghton Mifflin Company .

Tolkien, Christopher, ed. (n.d.), The Shaping of Middle-earth, The History of Middle-earth, IV .

瀬田, 貞二 訳 (2000), J. R. R. トールキン 『ホビットの冒険』, 岩波少年文庫 059, 下巻, 岩波書店 .

田中, 明子 訳 (1982), J. R. R. トールキン 『シルマリルの物語』, 上巻, 評論社 .


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