その内容は、善悪二元論の神学、神話、神々への讃歌、呪文等から成り、大きく分けて以下の5部からなる。
ヤスナ (Yasna)
詳細は「ヤスナ」を参照祭儀書。全72章からなる。そのうち17章は、開祖であるザラスシュトラ自身の作と考えられている『ガーサー
『アヴェスター』は、アケメネス朝期の古代ペルシア語とは異なる言語(ガーサー語・アヴェスター語)で、1200枚の牛皮に筆録されていたが、大部分がアケメネス朝の滅亡時に一旦失われた(これを否定する説もある[5])。
サーサーン朝期に書籍化が試みられた。アヴェスター語をパフラヴィー文字に書き換えるとき、表記できない音があったため、キリスト教パフラヴィー文字やギリシア文字を借用して、新たにアヴェスター文字が作られた。アヴェスター語の方が遥かに古いものの、表記用の文字が発明されたのはパフラヴィー語の後塵を拝した[6]。サーサーン朝期に『アヴェスター』が編纂されたのは、明確な教義・聖典を持ったキリスト教・仏教・マニ教などの台頭に対抗する必要があったためである。また、この頃既にザラスシュトラ時代の呪術が知識人の知的好奇心を満たせるものではなくなっていたことも、聖典整備の一因とされている[6]。
しかし、『聖書』や『クルアーン』のように当初から教徒の間で広くその権威が認められたわけではなかった。『アヴェスター』が書かれたペルシア州から離れた地域では、8世紀になっても一般信徒の間で『アヴェスター』の存在が知られておらず(または理性的に語る聖典とは見られておらず)、ザラスシュトラも(少なくとも預言者としては)認識されていなかった。さらに神官でも『アヴェスター』を知らず、それとかなり異なる教義を信じていた節がある[6]。
その来世観や終末論などの教義がセム的一神教や仏教などに影響を与えたという説もある[7]。
脚注[脚注の使い方]^ a b c d e 日本大百科全書(ニッポニカ)『アベスタ語