アンドロメダ銀河
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964年には既にアブドゥル・ラフマーン・スーフィーによって「小さな雲」と記述されている。望遠鏡による観測はドイツの天文学者シモン・マリウス1612年12月15日に行い、「角灯を透かして輝くロウソクの光」のように見えたと記述したのが初めてとされる[注 3]ウィリアム・ハーシェルは「核は星雲状。星に分かれそうだ」と記している。ウィリアム・クランチ・ボンド1847年に暗黒帯がある詳しいスケッチを残した。1864年ウィリアム・ハギンズスペクトルを観測し、連続スペクトルであることを発見した。1885年エルンスト・ハルトヴィッヒ新星ケフェイド変光星散開星団球状星団を発見し、さらに自転速度を測定した。1887年10月10日にアイザック・ロバーツが初めて写真を撮影した。ロバーツは翌1888年に3時間にもおよぶ撮影を行い、渦状構造を確認した。1899年にユリウス・シャイナーが初めてスペクトル写真を撮影した。初めてM31までの距離を測定したのはアメリカのエドウィン・ハッブルである。ハッブルは1923年にM31の中にあるケフェイド変光星を利用して距離を90万光年と見積もり1929年に発表、その結果M31は銀河系の外にある天体であることが分かった。ウォルター・バーデ第二次世界大戦によるロサンゼルスの灯火管制の中、ウイルソン山天文台の100インチ望遠鏡を使って観測を行い、銀河中心部の星の分解に成功している。戦後パロマー天文台に200インチヘール望遠鏡が設置されると、この望遠鏡を使って観測を継続しアンドロメダ銀河を構成する星の種族を確認している。
アンドロメダ銀河の伴銀河詳細は「アンドロメダ銀河の伴銀河一覧」を参照

銀河系と同様に、アンドロメダ銀河は14の矮小銀河からなる伴銀河が存在する。最もよく知られている伴銀河であるM32M110 (NGC 205) は容易に観測できる。

M110もまたアンドロメダ銀河と相互作用をしているものと思われ、またこれらの伴銀河から剥ぎ取ったものと思われる金属量の多い恒星のストリームがアンドロメダ銀河のハロの中に発見されている。M110 には、近年あるいは現在も星形成が行われていることを示唆する、塵の多い筋状の構造が存在している[10]

2006年には、アンドロメダ銀河の中心核と交差する平面上に9つの伴銀河が並んでいることが観測された。これはランダムに生じたものではなく、個々の相互作用によるものと予測されている。これは伴銀河に共通する潮汐力の源があることを示唆している[11]
球状星団G1球状星団G1

アンドロメダの近傍には銀河の他にも多数の星団も観測され、その中で最大のものはアンドロメダ銀河の周囲を巡っている球状星団G1である(図1右下、図2)。メイオールII (Mayall II) の名称でも知られるG1は、アンドロメダ銀河の中心から13万光年の距離にあり、宇宙の始まりから比較的早い時期に誕生した古い星々が数十万個以上集まって構成されていると考えられている。局所銀河群の中ではおそらく最も明るい球状星団であり、地球から観測した見かけの等級は13等級である。絶対等級としては銀河系で最も明るいオメガ星団(NGC 5139、視等級3.7)よりも明るい。

2002年のハッブル宇宙望遠鏡の観測では、太陽の約2万倍の質量を持つブラックホールがG1とM15の中心に存在している可能性が示唆された[12]
銀河系との衝突

アンドロメダ銀河のスペクトルは青方偏移を持ち、天の川銀河に対して秒速約122kmで接近している。太陽系は銀河系をおおよそ秒速225kmの速度で公転しているので、太陽系から見た場合おおよそ秒速300kmで接近している。[13][14]青方偏移している銀河はおおよそ100個あるがアンドロメダはその中に1つに挙げられる。[15]約40億年後には天の川銀河 (Milky Way) とアンドロメダ銀河 (Andromeda) は衝突し[16]、それから約20億年かけて1つの巨大な楕円銀河「ミルコメダ (Milkomeda)」を形成するか、[17]巨大な円盤銀河を形成する[18]と予想されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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