アントニー・ブリンケン
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2013年9月のプロフィールにはシリアに関する政策の政府のキーマンの1人であり[1]、対外的な代表者を務めたと紹介されている[16]。2014年3月のロシアによるクリミアの併合に対するアメリカの対抗措置の策定の上でも大きな影響力を持っていた[18][19]。2014年7月から8月のイスラエルとガザの紛争中、イスラエル軍の迎撃ミサイルのアイアンドームを補充するための軍需工場へのアメリカの資金提供で、バイデンと共に働きがあった[20]

2014年11月にオバマ大統領は、ブリンケンをウィリアム・ジョセフ・バーンズの後任の国務副長官に指名した[21]。この人事は12月16日に上院において55対38で承認された[22]

2015年1月から2017年1月の国務副長官時代には、アジア太平洋地域に外交・経済戦略の軸足を移す「リバランス政策」を主導した[23]

2015年4月のサウジアラビア主導のイエメンでの軍事行動を支持し[24]、サウジアラビアへの武器の提供や情報共有を増やすため、同国の作戦本部に共同行動の調整部を設置したことを発表した[25]

過激派組織「イスラム国」(IS)掃討に向けた国際連帯の構築に中心的役割を果たし[7][5]、2015年6月にはイスラム国に対する作戦を開始して9カ月間にアメリカ軍主導の連合軍による空爆で1万人を超えるイスラム国戦闘員を殺害したことを発表した[26]ミャンマーアウンサン・スーチーとブリンケン(2016年1月18日にミャンマーのネピドーにて)

2015年8月にミャンマーでのムスリム迫害を批判してミャンマーの指導者に警告を与え[27]ロヒンギャのムスリムに市民権を与えるべきであるとの考えを示した[28]

2015年7月のイラン核合意の妥結にも主導的役割を果たしたといわれる[5]。また、2016年1月に北朝鮮が4度目の核実験を行ったことに対する経済制裁の策定に関与した。強力な経済制裁を通じて核開発計画放棄の約束を取り付けたイラン核合意方式を北朝鮮にも適用すべきだの考えを持つ[5]

2016年7月にトルコで発生したクーデターの試みを批判し、民主的に選出されたトルコ政府を支持すると表明したが、同時期から現在にかけてトルコで執行されている粛清については批判している[29]
バイデン政権における国務長官国務省にて国務長官としての宣誓を行うブリンケン(2021年1月26日)

2017年1月にオバマ政権からトランプ政権に移行して下野した後のブリンケンは、同年9月にミシェル・フロノイ(英語版)と共に「ウェストエグゼク・アドバイザーズ(英語版)」という外交安保コンサルティング会社を共同で設立・経営していたが[30][5]、2020年11月24日に同年の大統領選挙に当選したバイデンから、2021年1月20日に発足予定のバイデン政権の国務長官に指名された[31]。ブリンケンは共和党からも信任のある人物のため、上院での承認手続きも問題が無いと見られていた[32]

2021年1月19日に上院の指名承認のための上院公聴会に出席した。覇権主義を強める中華人民共和国について「最重要課題だ。強い立場で向き合う」と述べ、同盟国との連携を強化して中国に対抗していく考えを表明した[33]。トランプの対中強硬路線についても「方法には同意しかねるが、正しい取り組みだった」と述べ、引き継ぐ考えを示した[34]。台湾の自衛能力の確保に向けて「永続的に関与する」ことを強調し、台湾が国際機関でより大きな役割を果たすことにも期待を表明した[34]。また、中国の権威主義体制よりも自らの国の民主主義体制の方が優れていることを強調し、「我々は中国との競争に勝つことができる」と決意を述べた[35]

同年1月21日に北朝鮮問題については日本・韓国とも相談して全面的に見直すとの考えを表明した[36]。2月に期限が切れるアメリカとロシアの新戦略兵器削減条約(新START)については、延長を目指す考えを示した。またイラン核問題については、イランが核合意を順守するなら核合意に復帰するとの新政権の方針を示した上で、より強力で長期的な合意を目指す考えを明らかにした[35]。2017年12月にエルサレムをイスラエルの首都と承認し、大使館を移転したトランプ政権の方針については、継続する方針を明らかにした[35]

マイク・ポンペオ国務長官が中国政府がウイグル族ら少数民族を迫害していることについて、「ジェノサイド(集団虐殺)」かつ人道に対する罪であると認定したが、ブリンケンも同意して新彊ウイグル自治区での強制労働によって作られた物品は輸入すべきでないとの認識を示した[37]

2021年1月26日に上院にてブリンケンを国務長官とする人事案が賛成78・反対22票で承認され、同日中に就任宣誓を行った[38]国務省で最初の記者会見を行うブリンケン国務長官(2021年1月27日)

1月27日に就任後初の記者会見で、トランプ前政権が中国政府による新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒少数民族の弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定したことに関し、バイデン政権としても「ジェノサイドであるとの認識は変わらない。」と表明した[39]。また米中関係は「私たちの多くの将来を規定する、世界で最も重要な関係だ」とし、その関係はさまざまな分野で「敵対的」または「競争的」になっていると述べた[39]。同時に「競争的な関係ではあるが、協力的な関係でもある」として気候変動対策などの分野では中国との協力が可能だとの方針も示した。そのうえで「それを実現できることを望んでいるが、われわれの外交政策や中国との間で抱える多くの懸念事項という背景を踏まえるべきだ」と述べた[40][41]。トランプ政権が離脱したイラン核合意については、イランが合意義務を順守するなら復帰する意向を改めて示したが、現状ではイランが「多くの面で規則に従っておらず、長い道のりだ」との認識を示し、早期復帰に慎重な姿勢を見せた[42]


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