アンデス山脈
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この地域にあるアンカシュ県ワスカラン国立公園は1977年に[9]、オクサパンパ(スペイン語版)周辺のパスコ県フニン県雲霧林は2010年と2020年に[10][11]サン・マルティン県のグラン・パハテン(スペイン語版)周辺のリオ・アビセオ国立公園は2016年に[12]、フニン県とクスコ県にまたがるオクサパンパ周辺の雲霧林とマヌー国立公園をつなぐ緑の回廊一帯は2021年にそれぞれユネスコの生物圏保護区に指定された[13]

ペルー南部に入り、南緯15度以南では山脈の幅が広がり、南緯28度くらいまで最も幅の広い地区となるが、この中でも最も広くなるボリビアでも幅は600 km程度にしかならない。しかし、この地区のアンデスはペルー南部からボリビアにかけて、高度3500 mから4500 mあたりに広大で平坦な高原であるアルティプラーノ(海抜約4000 m)が広がっている。そこにはチチカカ湖ポーポー湖などの湖が広がり、ボリビアの首都ラパスやインカ帝国の首都だったクスコなどの大都市があって、ボリビアの人口の大半はこの高原部に集中している。その北も高原や肥沃な谷が広がっており、多くの人々が居住する。山脈が分かれた間には平坦な土地も多い。また、アンデスの西部山腹にはペルー第2の都市であるアレキパがある。チチカカ湖の北東部の国境一帯には東部山脈に属するアポロバンバ山地(スペイン語版)があり、1977年にユネスコの生物圏保護区に指定された[14]

ボリビアに入ると、西部にはアルティプラーノが広がり、首都ラパスのほか、20世紀に入り世界最大の鉱山としてボリビア経済を支えたオルロ、16世紀より世界最大の鉱山として栄えたポトシといった古い鉱山都市が点在する。アルティプラーノは南部に行くにしたがって乾燥していき、南西部には巨大な塩湖であるウユニ塩湖が広がる。一方、アルティプラーノの東に広がる東アンデス山脈地方は、高度がアルティプラーノよりも低く、地形は険しいものの肥沃な谷間が各地に点在し、農業生産力の高い地域である。このため、コチャバンバスクレなどの都市が生まれ、ボリビア経済を支える地域となってきた。とくにコチャバンバ盆地は、オルロやポトシへの食糧供給基地として繁栄してきた[15]。また、首都ラパスの北東に位置するユンガス地方は、アンデスの東麓にあたり、アマゾンから吹いてくる風の影響で暑く湿った気候となっている。このため霧が非常に多い。この地方も温暖なため農業生産力が高く、首都ラパスの食糧供給を担っている。しかし、地形は非常に険しく、とくにラパスとユンガスとを結ぶユンガスの道は重要な幹線であるにもかかわらず非常な悪路として知られており、2006年に新道が開通するまで年に100人近い死者が出ていた。
南アンデス南アンデス

南緯25度に近いユヤイヤコ山より南は南アンデスと呼ばれる。南アンデスは高原の広がる中央アンデスとは違い、地形は険しくなり主脈の上に平地はなくなる。南アンデスの主脈は、そのままアルゼンチンとチリとの国境をなす。ただしアンデスが太平洋岸に迫った山脈であるため、アンデス西麓を領土とするチリの国土は非常に細長いものとなっている。32度には最高峰アコンカグア山がそびえる。35度付近までは3000 m級の山が連なるが、それ以南はやや高度を下げる。チリの首都サンティアゴはこの付近の、西部山脈と主脈の間の構造平野に位置する。南緯42度以南はパタゴニア地方に入り、高度は2000 m程度であまり高くないが、寒冷な気候と西風による降水で氷河地帯を形成する。

アルゼンチンのサンフアン州のアンデス山脈にあるサン・ギジェルモ国立保護区(スペイン語版)は1980年に[16]カタマルカ州のガラン山(スペイン語版)付近のブランカ湖生物圏保護区(スペイン語版)は1982年に[17]フフイ州北部の高山湖でラムサール条約登録地でもあるポスエロ湖自然保護区(スペイン語版)は1990年に[18][19]、フフイ州とサルタ州のカリレグア国立公園(スペイン語版)、バリトゥ国立公園(スペイン語版)、エル・ノルガラル・デ・ロス・トルドス国立保護区(スペイン語版)、ポトレーロ・デ・ヤラ州立公園(スペイン語版)、ピンタスカヨ州立公園(スペイン語版)を含むユンガス(スペイン語版)地域は2002年に[20]チュブ州リオネグロ州ネウケン州を跨ぐパタゴニア地方北西部のアンディーノ・ノルパタゴニカ生物圏保護区(スペイン語版)は2007年に[21]、チリのラウカ国立公園(スペイン語版)、ラス・ビクニャス国立保護区(スペイン語版)とスリレ塩原国立記念物(スペイン語版)一帯のラウカ生物圏保護区(英語版)は1981年に[22]、コンギージョ国立公園(スペイン語版)とアルト・ビオビオ国立保護区(スペイン語版)一帯のアラウカリアス生物圏保護区(英語版)は1983年に[23]、南部アンデス温帯雨林(スペイン語版)は2007年に[24]、ネバドス・デ・チジャン山(スペイン語版)およびラ・ラハ湖(スペイン語版)は2011年にそれぞれユネスコの生物圏保護区に指定された[25]。一帯にはFestuca dolichophylla(英語版)、Laretia acaulis(スペイン語版)、パタゴニアヒバ、レンガ(英語版)、ドンベイミナミブナ(英語版)、ナンキョクブナ(英語版)などのナンキョクブナ属、チリマツなどのナンヨウスギ属シロガネヨシ属ホタルイ属、イグサ属(英語版)、デンモザ属(英語版)、マイフエニオプシス属(英語版)、トリコケレウス属(英語版)、オプンティア属、アウストロケドルス属(英語版)、ピルゲロデンドロン属(英語版)などの植物が生え、ビクーニャグアナコビスカッチャキツネ、ペルーケナガアルマジロ(英語版)、ピューマアンデスネコジャガーアメリカバク、ペルーゲマルジカ(英語版)、ゲマルジカ(英語版)、オセロットオナガカワウソチリカワウソ、クチジロペッカリー(英語版)、フサオマキザル、コロンビアハナナガヘラコウモリ(英語版)、アンデスリス(英語版)、オマキヤマアラシ(英語版)、フタイロオマキヤマアラシ(英語版)、シャカイツコツコ(英語版)、ダーウィンレアフラミンゴなどの動物が生息している[16][17][19][20][21][22][23][24]


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