アンチヒーロー
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ブリタニカ百科事典では以下をアンチヒーローの例に挙げて説明している[3]

ドン・キホーテ』(ミゲル・デ・セルバンテス)のドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ

トム・ジョーンズ』(ヘンリー・フィールディング)のトム・ジョーンズ

『土曜の夜と日曜の朝(英語版)』(アラン・シリトー)のアーサー・シートン

ライトノベル作法研究所の著作『キャラクター設計教室: 人物が動けばストーリーが動き出す!』では、アルセーヌ・ルパンをアンチヒーローの有名な例として挙げている[2]。また、アンチヒーローの大まかな区分として以下の9つ、およびこれらの複合に当てはまると述べている[2]
自分自身の目的を達成するためには、手段を選ばない。

復讐を目的とし、自身の行為が悪行であると理解しながら、非合法な手段を採る。

社会から求められている正義を成すために、非合法な手段を採る。

性格が人格者とは言い難い。行動様式に人格者とは考え難いものがある。

法律や社会のルールよりも、自分自身で定めた「」を優先し、「掟」に従う。

外観や能力が本来的には「悪」に属するものを源とする。

行為も目的も悪であるが、一部の生き方などが読者や視聴者の共感を呼ぶ。

ストーリーの主たる部分で称賛される行動を採るが、普段は侮蔑されるような行動をしている。

現状の体制が良い物だとは考えておらず、反体制の姿勢を選択する。
アウトロー」も参照
歴史

メリアム=ウェブスター大学辞典』によれば、「antihero」という語は1714年から使用されている[5]

アンチヒーローに類する登場人物は古代ギリシアの演劇の中にも見ることができ、世界中の数多くの文学作品の中に登場している[3]紀元前3世紀ロドスのアポローニオスによって書かれた叙事詩アルゴナウティカ』のイアーソーンアルゴナウタイは、他のギリシアの物語に登場する英雄たちよりも臆病で受動的であり、アンチヒーローであると分類する説がある[6]。ローマの風刺、『ドン・キホーテ』などのルネサンス文学、そしてピカレスク小説[7]にもアンチヒーローが見られる。

18世紀には、ロマン主義ヒーロー(英語版)の一形態であるバイロン的ヒーロー(英語版)はアンチヒーローであるとされた[8]

19世紀のロマン主義文学では、主人公や主要人物が善悪の両面とも持ち合わせるなど[9]、新しいアンチヒーロー像が多く登場する[10][11]フョードル・ドストエフスキーの『地下室の手記』では、アンチヒーローを社会批判として用いる手法が確立されている[12]

アメリカ文学では、『ハックルベリー・フィンの冒険』が最初のアンチヒーローであるとされる[13]

20世紀の実存主義文学では、アンニュイで、不安や苦悩、疎外感に悩まされる、優柔不断な主人公像が顕著である[14]。例えば、フランツ・カフカの『変身』、ジャン=ポール・サルトルの『嘔吐』、アルベール・カミュの『異邦人』など。

1950年代には、ジャック・ケルアックノーマン・メイラーなどのビート・ジェネレーション作家やフィルム・ノワールなどでもアンチヒーローが重要な役割を果たすことが多い。
ダークヒーロー

ダークヒーローは和製英語、和製概念である。ダークヒーローは漫画『THE レイプマン』のようにアンチヒーロー(反英雄)と言うよりは「邪悪の英雄」というニュアンスが含まれている場合がある。世界ではロビン・フッドのような義賊はアンチヒーローに分類されずにNoble outlaw(高貴な無法者)に分類される。[要出典]

大山くまおはダークヒーローを「正統派ヒーローの逆であり、悪徳にまみれ、人格者とは到底呼べないような振る舞いが多く、目的を達成するには手段を選ばず、非合法な行為も辞さないが、自分のルールに従って生きている」とし、以下のダークヒーローを主人公に据えた作品を以下の3つの類型に分類している[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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