アンチヒーロー
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19世紀のロマン主義文学では、主人公や主要人物が善悪の両面とも持ち合わせるなど[9]、新しいアンチヒーロー像が多く登場する[10][11]フョードル・ドストエフスキーの『地下室の手記』では、アンチヒーローを社会批判として用いる手法が確立されている[12]

アメリカ文学では、『ハックルベリー・フィンの冒険』が最初のアンチヒーローであるとされる[13]

20世紀の実存主義文学では、アンニュイで、不安や苦悩、疎外感に悩まされる、優柔不断な主人公像が顕著である[14]。例えば、フランツ・カフカの『変身』、ジャン=ポール・サルトルの『嘔吐』、アルベール・カミュの『異邦人』など。

1950年代には、ジャック・ケルアックノーマン・メイラーなどのビート・ジェネレーション作家やフィルム・ノワールなどでもアンチヒーローが重要な役割を果たすことが多い。
ダークヒーロー

ダークヒーローは和製英語、和製概念である。ダークヒーローは漫画『THE レイプマン』のようにアンチヒーロー(反英雄)と言うよりは「邪悪の英雄」というニュアンスが含まれている場合がある。世界ではロビン・フッドのような義賊はアンチヒーローに分類されずにNoble outlaw(高貴な無法者)に分類される。[要出典]

大山くまおはダークヒーローを「正統派ヒーローの逆であり、悪徳にまみれ、人格者とは到底呼べないような振る舞いが多く、目的を達成するには手段を選ばず、非合法な行為も辞さないが、自分のルールに従って生きている」とし、以下のダークヒーローを主人公に据えた作品を以下の3つの類型に分類している[15]
悪が悪を裁く作品
クロサギ』、必殺シリーズ、『ワイルド7』、スーサイド・スクワッドシリーズなど。主人公も悪であり、別の悪を成敗しているからといって主人公自身も自分たちに「正義」があるとは考えていない。
ダークヒーローを通して悪徳な現実を描く品
仁義なき戦い』シリーズ、カイジシリーズ、『イカゲーム』、『スカム』、『闇金ウシジマくん』など。主人公も主人公と敵対する人物も共に反社会的な人間たちである悪徳の世界を描くことで、視聴者や読者に怖いもの見たさのスリルを提供したり、作品中に登場する社会的な落伍者たちを反面教師にしたり、蔑むことによる楽しみ方を与える作品。
悪党にも事情があることを描いた外伝的な作品
ジョーカー』、『クルエラ』、『マレフィセント』といった作品の「悪役」を主人公に据えた作品。主人公が悪役になった経過を成育環境や現実社会にもある社会の歪みとして描くことで視聴者や読者の共感を得る。
韓国ドラマ

韓国では従来から『一枝梅』、『洪吉童』といった義賊を主人公にした作品に人気があった。「利己的に見えるが、庶民や弱者のため悪と戦う」という単なる正義の味方ではなく、悪役的な魅力を兼ね備えたヒーローを主人公に据えたドラマ作品の人気が2020年頃から高まり、『熱血司祭』(2019年)、『ヴィンチェンツォ』(2021年)、『模範タクシー』(2021年)といったダークヒーローを主人公にしたドラマ作品が次々と作られた[16]
脚注[脚注の使い方]^ .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}"アンチ・ヒーロー". 株式会社平凡社『世界大百科事典』第2版. コトバンクより2022年9月29日閲覧。
^ a b c d ライトノベル作法研究所『キャラクター設計教室: 人物が動けばストーリーが動き出す!』秀和システム、2012年、258-259頁。


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