アルフレート・ヴェーゲナー
[Wikipedia|▼Menu]
大陸移動説その後「大陸移動説」も参照

ヴェーゲナーがグリーンランドの氷河に消えてから約30年後の1950年代 - 1960年代に、大陸移動の原動力をマントル対流であるという仮説が唱えられ、さらに岩石に残された過去の地磁気の調査(古地磁気学)によって「大陸が移動した」と考えなければ説明できない事実が判明したことから、大陸移動説は息を吹き返した。その後、これを発展させる形で地殻変動を総合的に説明できる説としてプレートテクトニクス理論が提唱され、ヴェーゲナーの大陸移動は「古くて最も新しい地質学」として再評価され、現在では高く評価されている。
日本での紹介

日本での紹介は戦前からおこなわれていた。ただし、この時代には「異端の説」という扱いであった。その時期にこの説を取り上げたものの一つに手塚治虫の漫画『ジャングル大帝』(1950年 - 1954年)がある。同作品のクライマックスは、大陸移動説の証拠となる石を発見するための登山であった。

その後、日本では1960年代になって、主に地球物理学系の学者によって上記のマントル対流とともに紹介され、1970年代には小学生向けの科学読み物[注釈 2]にも取り上げられるなど、広く知られるようになった。特に1973年に小松左京が発表した小説『日本沈没』と同年公開のその映画版は、この説を普及させる上で大きな役割を果たした。1980年-2001年には、光村図書出版の小学5年生の国語教科書で、「大陸は動いている」(竹内均)、「大陸は動く」(大竹政和)として掲載された[11]

ただし、地球物理学系の学者と地質学系の学者の間でこの説の受容に差があり、1980年代までの高等学校の地学の教科書では出版社によって扱いに違いがあった[注釈 3]。日本列島の形成史という地球規模ではミクロに属する領域までも大陸移動とプレート説による説明が日本で定着したのは、付加体説が受容された1990年前後のことである。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 最初の章で「大陸移動という考えが最初に私の頭に浮かんだのは、1910年、世界地図を調べているときのことだった。大西洋をはさんだ両側の形が同じであることが目に焼きついた」と書いている[8]
^ 学研の「ひみつシリーズ」・『コロ助の科学質問箱』(1972年)等。
^ 地球物理学系、特に地震学の学者は地震の発生エネルギーをうまく説明できるプレートテクトニクス説を早くから支持したのに対し、地向斜造山論日本列島の形成を説明していた地質学系の学者は、「地質帯の水平方向移動」に否定的なソビエト連邦の影響もあり、受容が遅れた[12]。このため、当時の高等学校の地学教科書では、大陸移動説による大陸の変化と地向斜説に基づく日本列島史をともに掲載する「折衷形」の記述も見られた[13]。日本の地質学界がプレート説を受容するまでの経緯については、泊次郎『プレートテクトニクスの拒絶と受容』 (東京大学出版会、2008年6月、ISBN 978-4-13-060307-2) に詳述されている[12]

出典^ 中川毅『人類と気候の10万年史』講談社、2017年、121頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-06-502004-3。 
^ “1月 6日 ウェゲナーが大陸移動説を発表(1912年)(ブルーバックス編集部)”. ブルーバックス 。講談社 (2019年1月6日). 2020年6月3日閲覧。
^ “(11)ウェゲナー”. サイエンスチャンネル. 2020年6月閲覧。
^ a b超大陸 - 100億年の地球史』、175頁
^数学と理科の法則・定理集』、152頁
^数学と理科の法則・定理集』、153頁
^漫画人物科学の歴史11』、94頁
^超大陸 - 100億年の地球史』、158頁
^漫画人物科学の歴史11』、112頁
^漫画人物科学の歴史11』、119頁
^教科書クロニクル小学校編 - 光村図書出版
^ a b 堤之恭『絵でわかる日本列島の誕生』講談社〈絵でわかるシリーズ〉、2014年11月、pp.98-105頁。ISBN 978-4-06-154773-5。 
^ “ ⇒新・地震学セミナーからの学び 36 地向斜造山理論”. ニューオフィス 新地震学・セミナーからの学び. ANS観測網事務局 (2004年1月24日). 2016年2月26日閲覧。

参考文献

ニールド, テッド『超大陸 - 100億年の地球史』松浦俊輔訳、青土社、2008年10月。ISBN 978-4-7917-6442-6。 

グリップ(編) 編『理科と数学の法則・定理集』アントレックス(発行)、図書印刷(印刷)、2009年。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:32 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef