一方で日本レコード協会は、リミックスを含む収録曲が3曲(カラオケは除く)以内かつ定価が1600円以下のものをシングル、その他をアルバムとしている[2]。
EPについては、シングルとみなすかアルバムとみなすかは意見が分かれる。例えば、松任谷由実のEP『水の中のASIAへ』(1981年)はオリコンでは収録曲数が4曲であるにもかかわらずLPチャートで扱われアルバムとされており[3]、松任谷本人の公式ディスコグラフィーでもアルバムと位置付けられている[4]が、Spotifyでは「シングルとEP」としてシングルと同一でカテゴリーされている[5]。Stray KidsのEP『Social Path (feat. LiSA) / Super Bowl -Japanese ver.-』(2023年)は、オリコン[6]とBillboard Japan[7]ではアルバムとされているが、日本レコード協会ではシングルとされている[8]。 日本ではシングルのメイン曲やカップリング曲(メイン曲以外の収録曲のこと)を改めてアルバムにも収録するケースがあるが、これは1970年代以降の英米ではあまり見られない慣例である。これは、日本では先に数曲のシングルを発売したあと、その期間の集大成のような形でアルバムが出されるのに対し、英米では先にアルバムがリリース(発売)され、そこから一定間隔を置いてシングルをカットしていく(先行シングルは大抵1・2曲が限度である)という違いから来るものである。英米ではシングルのカップリング曲はアルバム未収録の新曲(没曲など)や表題曲のリミックスを収録することが一般的である。日本においてカップリング曲をアルバムに収録しない場合は、アルバム発売後でもシングルの価値をある程度保つなどの意図が考えられる。ただし、カップリング曲のみ収録し、表題曲は収録しないアルバムも存在する。 また、日本でシングル曲(メインとなる表題曲のこと)をアルバムに収録する場合、リミックスを施す、イントロ(最初)やアウトロ(最後)を変える等の「アルバム・バージョン」として収録することもある。特にシングルがアルバムと同時発売の場合、シングルの価値を低下させない為などからアルバムにはバージョン違いを収録することが多く見受けられる。リカットシングルにおいても、アルバムとは異なるバージョンで発売されることもある。
既発表曲の収録について
アルバムの種類について
オムニバス・アルバム
複数のアーティストの音源をまとめた音楽アルバムのこと。現在はコンピレーション・アルバムと称されている。
オリジナル・アルバム
収録曲がすべてがそのアルバムのために新たにスタジオでレコーディングされた「新曲」を中心に構成された音楽アルバム。
アルバムに先行してリリースされたシングル曲が一緒に収録される場合もある[注 4]。
カバー・アルバム
既発表の楽曲を、作者以外のアーティストが新たに演奏・歌唱した音源で構成された音楽アルバムのこと。カバーする側の技量に重点が置かれて制作されることが多い。
一人のアーティストが一人もしくは複数のアーティストの楽曲をカバーする場合と、複数のアーティストが特定のアーティストの楽曲をカバーする場合がある。
コンセプト・アルバム
特定のテーマで作られたそれぞれの楽曲を、一定のコンセプト(枠組み)によって構成している音楽アルバムのこと。以前は「トータル・アルバム」と称していた。
ストーリー仕立てや仮想のライブ、オペラ、ラジオ番組仕立てなどがある。
コンピレーション・アルバム
特定のテーマや一定のコンセプトに基づいて集められた楽曲によって構成された音楽アルバム。以前は「オムニバス・アルバム」と称していた。
多くの場合、様々なアーティストの曲を収録しているが、特定のアーティストやグループの曲だけで構成されたものも少なくない。
アルバム制作開始の時点で既発表の音源で構成されることが多いが、未発表音源が含まれる場合もある。
スタジオ・アルバム
レコーディングスタジオで制作されたアルバムのこと。いわゆる一般的に「アルバム」いわれているもの。なお、リミックスなどはボーナストラックを除き、通常含まれない。
稀に録音機材を持ち込んで一般の建物を使用したり、屋外で録音したりする場合もある。
1stアルバム、2ndアルバム…と言う場合、普通はスタジオ・アルバムのみを数えることが多い[注 5]。
スタジオ・ライブ・アルバム
アーティストが通常ライブハウスやホールなどで行うステージさながらの演奏をリハーサルスタジオなどで行い[注 6]、その音源を収録した音楽アルバムのこと。