PCC酸化の他にも多くの酸化法が知られる。PDC酸化、スワーン酸化、TPAP酸化、デス・マーチン酸化 、TEMPO酸化、向山酸化 などを参照されたい。工業的な酸化方法では、銅などの触媒を用いてアルコールを空気または酸素で酸化する方法がよく用いられる。
ワッカー酸化は、末端アルケンに水を付加してアルデヒドを得る手法として工業的に利用される(エチレンからアセトアルデヒドの工業的生成)。
DIBAL は、カルボン酸エステルを還元してアルデヒドを得るための試薬として用いられる。ニトリルは酸と塩化スズ(II)の作用でアルデヒドに変わる(スチーブン合成)。
上記の酸化・還元反応のほか、芳香族化合物やアルケンに直接ホルミル基を導入する反応がビルスマイヤー・ハック反応などいくつか知られる。それらはホルミル化、ホルミル化反応と総称される。詳細は「ホルミル化」を参照
工業的なアルデヒド合成法としては、ワッカー酸化とともに、アルケンの二重結合に対して水素と一酸化炭素を触媒を用いて付加させるヒドロホルミル化(オキソ法)が多用される。 RCH = CHR ′ + H 2 + CO ⟶ RCH 2 − CHR ′ − CHO {\displaystyle {\ce {RCH=CHR' + H2 + CO -> RCH2-CHR'-CHO}}}
これらの酸化反応を第二級アルコールで行うとケトンが生成し、第三級アルコールは反応しない。したがって、「第二級アルデヒド」、「第三級アルデヒド」という物質は存在しない。 アルデヒドとグリニャール試薬を反応させて、酸で処理するとアルコールが生成する。 R − CHO + R ′ MgBr ⟶ RR ′ CHOH {\displaystyle {\ce {R-CHO + R'MgBr -> RR'CHOH}}} (R = 有機基または H) アルデヒドを適切な酸化剤(例えば亜塩素酸ナトリウム)で酸化するとカルボン酸になる。 R − CHO + HClO 2 ⟶ R − CO 2 H + HOCl {\displaystyle {\ce {R-CHO + HClO2 -> R-CO2H + HOCl}}} 水素化アルミニウムリチウムや水素化ホウ素ナトリウムなどで還元するとアルコールに変わる。 R − CHO + NaBH 4 ⟶ R − CH 2 OH {\displaystyle {\ce {R-CHO + NaBH4 -> R-CH2OH}}} 酸触媒の存在下、アルコールと脱水反応を行わせると、アセタールが得られる。この反応はホルミル基の保護に利用される。 R − CHO + 2 R ′ OH ⟶ R − CH ( OR ′ ) 2 {\displaystyle {\ce {R-CHO + 2R'OH -> R-CH(OR')2}}} 銀鏡反応やフェーリング反応では、アルデヒドの還元力を利用している。 アルデヒドを基質とする人名反応は数多く、代表例のごく一部としてクネーフェナーゲル縮合、ウィッティヒ反応 を挙げる。これらはいずれも炭素-炭素結合生成として重要な反応である。
主な化学反応
主なアルデヒド
ホルムアルデヒド (メタナール、 HCHO {\displaystyle {\ce {HCHO}}} ) - 水溶液はホルマリンと呼ばれる
アセトアルデヒド (エタナール、 CH 3 CHO {\displaystyle {\ce {CH3CHO}}} )
プロピオンアルデヒド (プロパナール、 C 2 H 5 CHO {\displaystyle {\ce {C2H5CHO}}} )
ブタナール ( C 3 H 7 CHO {\displaystyle {\ce {C3H7CHO}}} )
ペンタナール ( C 4 H 9 CHO {\displaystyle {\ce {C4H9CHO}}} )
ヘキサナール ( C 5 H 11 CHO {\displaystyle {\ce {C5H11CHO}}} )
ヘプタナール ( C 6 H 13 CHO {\displaystyle {\ce {C6H13CHO}}} )
オクタナール ( C 7 H 15 CHO {\displaystyle {\ce {C7H15CHO}}} )
ノナナール ( C 8 H 17 CHO {\displaystyle {\ce {C8H17CHO}}} )
デカナール ( C 9 H 19 CHO {\displaystyle {\ce {C9H19CHO}}} )
アクロレイン (ビニルアルデヒド、 CH 2 = CHCHO {\displaystyle {\ce {CH2=CHCHO}}} )
ベンズアルデヒド ( C 6 H 5 CHO {\displaystyle {\ce {C6H5CHO}}} ) - アンズ(杏仁)の芳香成分。
シンナムアルデヒド (桂皮アルデヒド、 C 6 H 5 CH = CHCHO {\displaystyle {\ce {C6H5CH=CHCHO}}} ) - シナモンの芳香及び辛味成分。
ペリルアルデヒド ( C 9 H 13 CHO {\displaystyle {\ce {C9H13CHO}}} ) - シソの芳香及び辛味成分。
バニリン( C 6 H 3 ( OH ) ( OCH 3 ) CHO {\displaystyle {\ce {C6H3(OH)(OCH3)CHO}}} ) - バニラの芳香成分。