アルチュール・ランボー
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カトリック詩人のポール・クローデルは、1912年刊行の『ランボー全集』の序文で、詩人ランボーのなかには「天使」が存在し、その作品世界は反逆児から見者、そして「神秘的な柔和さ」への「信仰の道」であるとした[33]。一方、アンドレ・ブルトンは、1924年の「シュルレアリスム宣言」に、ランボーは「生き方においてもその他においてもシュルレアリストである」と書いている。ランボーの言葉「私は一個の他者である」における「他者」とは、ブルトンにとって無意識自我であり、したがって、ランボーの詩は自動記述の先駆である。ブルトン、スーポーアラゴンが1919年に創刊したダダイスム、次いでシュルレアリスムの雑誌『リテラチュール (文学)』にも「淫猥詩篇」「ジャンヌ=マリの手」などランボーの詩が数編掲載された[34]。また、ブルトンが編纂した『黒いユーモア選集』でも紹介されている[35]

日本においては明治末期の上田敏(『上田敏全訳詩集』[36])、永井荷風(『珊瑚集 ― 仏蘭西近代抒情詩選』から、昭和初期の小林秀雄、中原中也、戦後の堀口大學、金子光晴と、優れた文学者によって次々と紹介・翻訳された。これらの作家によるランボー詩集は、現在でも改訂版・新装版が出されている。さらに、1960年代から70年代にかけて、思潮社から刊行された一連の粟津則雄訳のほか、人文書院からは鈴木信太郎佐藤朔監修『ランボー全集』全3巻が出版された。90年代には宇佐美斉訳『アルチュール・ランボー詩集』、清岡卓行訳『新編ランボー詩集』および青土社から平井啓之湯浅博雄中地義和共訳『ランボー全詩集』が加わった。

一方、小林秀雄は、詩を放棄したランボー、貿易商としてのランボーが残した書簡は「彼が往来した沙漠のように無味乾燥」であるとして、この時期の書簡を2、3紹介しており[37]、実際「言葉の新たな可能領域への探検に乗り出すことは二度となかった」[38] としても、ランボーの「アフリカ書簡」から彼の全体像を理解しようとする研究も行われ、日本では鈴村和成の『書簡で読むアフリカのランボー』[39] の他、1988年にはアラン・ボレル(フランス語版)の『アビシニアのランボー』も邦訳されている。
作品

制作年順(正確に特定されていないものが多い)[5]

《初期散文習作》

プロローグ (Prologue)

シャルル・ドルレアンのルイ一世宛書簡 (Lettre de Charles d’Orleans a Louis XI)

僧衣の下の心 (Un c?ur sous une soutane)

1869年

孤児たちのお年玉 (Les Etrennes des orphelins)

1870年《前期韻文詩》

テオドール・ド・バンヴィル宛の手紙に書かれた詩

美しい夏の夜に(後に「感覚」と題する)(Par les beaux soirs d’ete…)

オフィーリア (Ophelie)

一ナル女ヲ信ズ(後に「太陽と肉体 (Soleil et chair)」と題する)(Credo in unam)


ジョルジュ・イザンバールに送った詩

海の泡から生まれたヴィーナス (Venus anadyomene)

三度接吻のある喜劇 (Comedie en trois baisers)

ニナを引き止めるもの (Ce qui retient Nina)

オフィーリア (Ophelie)

鍛冶屋 (Forgeron)

音楽堂にて (A la Musique)


ポール・ドメニーに託した《ドゥエ詩帖》

第一詩帖

ニナの返答 (Les Reparties de Nina)

海の泡から生まれたヴィーナス (Venus anadyomene)

92年の死者たち (Morts de quatre-vingt-douze)

初めての宵 (Premiere soiree)

感覚 (Sensation)

首吊りの舞踏会 (Bal des pendus)

びっくり仰天している子ら (Les Effares)

ロマン (Roman)

皇帝の怒り (Rages de Cesars)

悪 (Le Mal)

オフィーリア (Ophelie)

タルチュフの懲罰 (Le Chatiment de Tartufe)

音楽堂にて (A la musique)

太陽と肉体 (Soleil et chair)

鍛冶屋 (Le Forgeron)


第二詩帖

冬の楽しみ (Reve pour l’hiver)

わが放浪 (Ma boheme)

戸棚 (Le Buffet)

ザールブルックの輝かしい勝利 (L’Eclatante victoire de Sarrebruck)

こまっちゃくれた娘 (La Maline)

みどり亭で (Au Cabaret-Vert)

谷間に眠る男 (Le Dormeur du val)


虱をとる女たち (Les Chercheuses de poux)

ビルマルクの夢(散文詩)(Le Reve de Bismarck)

1871年

おれの心よ、いったいおれたちの・・・(Qu’est-ce pour nous, mon c?ur ...)

ジョルジュ・イザンバール宛の手紙(見者の手紙1)に書かれた詩

拷問にかけられた心(「盗まれた心」)(Le C?ur supplicie)


ポール・ドメニー宛の手紙に書かれた詩(見者の手紙2)に書かれた詩

パリの軍歌 (Chant de guerre parisien)

ぼくのかわいい恋人たち (Mes petites amoureuses)

うずくまって (Accroupissements)


ポール・ドメニー宛の手紙に書かれた詩(6月10日付)

七歳の詩人たち (Les Poetes de sept ans

教会の貧者たち (Les Pauvres a l’eglise)

道化師の心(「盗まれた心」)(Le C?ur du pitre)


鐘楼 (Le Clocher)

年老いた王党派の愚痴 (La Plainte du vieillard monarchiste)

雑貨屋の愚痴 (La Plainte des epiciers)

テオドール・ド・バンヴィル宛の手紙に書かれた詩

花について詩人に語られたこと (Ce qu’on dit au poete a propos de fleurs)


税関吏 (Les Douaniers)

盗まれた心 (Le C?ur vole)

坐っているやつら (Les Assis)

初聖体拝領 (Les Premieres Communions)

パリの乱痴気騒ぎ、あるいはパリは再び大賑わい (L’orgie parisienne ou Paris se repeuple)

酔いどれ船 (Le Bateau ivre)

《ヴェルレーヌ詩帖》

正義の人 (L’Homme juste)

牧神の頭 (Tete de faune)

ジャンヌ=マリの手 (Les Mains de Jeanne-Marie)

母音 (Voyelles)

星は薔薇色に泣いた・・・(L’etoile a pleure rose au c?ur de tes oreilles)


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