アルゼンチン
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しかしアメリカ合衆国のヘッジファンドが、2001年におけるデフォルト時に債務削減に同意しなかった債権者から返還凍結中の債務を買い取り、全額支払いを求め2014年にアメリカ合衆国において訴訟を提起した[5]連邦最高裁判所はヘッジファンド側の訴えを認めた。アルゼンチン政府はヘッジファンド側との交渉を続けたが和解に漕ぎ着けず、防衛的措置として「計画的債務不履行」を決行した。
新自由主義への回帰と経済の破綻

2015年11月の大統領選挙では、親米・新自由主義政策による経済復興を主張した中道右派のマウリシオ・マクリが勝利[6]した。ルネル時代以前にとられていた格差縮小や富の再分配の重視といった社会主義的な政策よりも、国際金融資本・グローバル資本の利益を重視して経済成長を目指す新自由主義を中心とした政策へと回帰しつつあるとされた[7]。しかしながら、緊縮財政により経済は崩壊しデフォルト危機になった。IMFの主導による社会保障削減策で国民への負担が重くのしかかる一方、マクリ大統領のパナマ文書での租税回避行為が暴露されたことで反政府デモが勃発した。
反米左派政権の復活へ

2019年の大統領選挙では左派のアルベルト・フェルナンデスがマクリ大統領を破って当選[8]し、4年ぶりに左派政権が復活することになった。
2020年の債務不履行

新型コロナウイルスの感染拡大を理由に債務返済を停止。2020年5月22日、同日が期限だった約5億ドル相当の国債利払いが行われなかったことをもって、通算9回目のデフォルト(債務不履行)に陥った[9]
BRICSへの加盟

2023年8月25日には、アルゼンチンがサウジアラビアなどと共に2024年1月1日からBRICSに正式加盟することが決定した[10]。しかしアルゼンチンのBRICS加盟に否定的なハビエル・ミレイが2023年12月10日に大統領に就任し方針を転換、同年中に加盟しない方針を文書で通知した[11]
政治詳細は「アルゼンチンの政治(英語版)」を参照アルゼンチン大統領府、カサ・ロサダ国会議事堂

大統領元首とする連邦共和制国家であり、内閣、上下両院制複数政党制議会を備える。大統領・副大統領ともに直接選挙で選ばれ、その任期は4年(かつては6年)。現職大統領の大統領選挙への再出馬(当選した場合は再選)は1回のみ認められている。

2007年10月の大統領選挙では、イサベル・ペロンに次ぐ同国2人目(選挙によるものでは初)の女性大統領、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネルが誕生している。「アルゼンチンの大統領」および「アルゼンチンの副大統領」も参照

2015年10月25日の大統領選挙(1回目の投票)では過半数の得票を獲得した候補者が現れず、翌11月22日に実施された上位2候補による決選投票の結果、「共和国の提案」「急進市民同盟」(以下、急進党)らが推す保守系のマウリシオ・マクリが当選した。ただし、大統領選(1回目)と同日に行われた議会選挙(上院の3分の1と下院の約2分の1を改選)では正義党が引き続き比較第一党の座を上下両院で維持したため、連立3党(急進党系の地域政党を含めると4党)は議会内では少数派となる。

大統領と内閣は行政権を行使し、内閣首席大臣(Jefe de Gabinete de Ministros)を含む内閣の大臣は大統領によって任命される。大統領による職務執行が一時的(療養など)または永続的(弾劾・辞任・死去に伴う欠位が発生した場合)に困難となったときは副大統領がそれを代行、もしくは大統領に昇格する。

内閣首席大臣(官房長官と和訳される場合も)職は、閣内の意見集約に加え、行政(中央政府)の代表者として立法(議会)および地方政府(連邦構成州・各種自治体)との渉外・調整も担当する。韓国における国務総理(首相)職に類似しているが、アルゼンチンでは副大統領が正職欠位時の代行者であると憲法で既定されているため、その権限はより限られたものとなっている。

下院の与党系会派から選出される場合が多いが、必須条件とはなっておらず、カピタニッチ(上院議員・州知事などを歴任)や経済学者のコロンボ(国立銀行総裁を経てルア政権2人目の首席大臣に就任)のように、非下院系および民間からの起用事例も存在する。

他の大臣職同様、議会に対しては責任を負わないため、仮に議会内で与党が少数派に転落しても野党側から首相を選ぶ義務はなく、所属勢力の異なる大統領と首相が併存する、いわゆる「ねじれ現象」は発生しないが、逆転の度合いによっては大統領の求心力が低下し、政情流動化の原因となる可能性はある。

急進党のラウル・アルフォンシンが政権を担当していた80年代後半ごろより首相制導入論(権限の一部を首相に移譲することで大統領を激務から解放するのがその趣旨)は存在していたが、構想が具体化したのは正義党(ペロン党)出身のカルロス・メネムに政権が引き継がれてからである。1994年に議会を通過、大統領の署名により成立した憲法改正案には、首相ポストの追設のほか、大統領任期の6年から4年への短縮と再選禁止条項の撤廃が含まれていた。施行直後に実施された大統領選挙(1995年5月)ではメネムが再選を果たし、翌々月の組閣でエドワルド・バウサを初代首相に任命した。

旧正義党政権(左派)を率いたキルチネル夫妻からの信任が厚く、ネストル・キルチネル政権ではネストルの大統領就任から退任まで、クリスティーナ・キルチネル政権でも再任(成立を目指していた輸出税関連の法案が上院で否決されたことなどを理由に中途辞任)されているアルベルト・フェルナンデス元内閣首席大臣の約5年2か月(2003年5月 - 2007年12月、2007年12月 - 2008年7月)を除くと、内閣首席大臣の平均的な在任期間は現在2年前後となっているが、経済が混乱を極めていた2000年代の初頭には短命の内閣が続き、現政権党(共和国の提案)の総裁・ウンベルト・チャボニの首相在任期間はわずか4日となっている。11年ぶりに内閣首席大臣職に復帰したホルヘ・カピタニッチ元首相(2013年11月 - )も、1度目(エドワルド・ドゥアルデを大統領代理とする暫定政権)の在任期間は約4か月(2002年1月 - 2002年5月)であった。

2015年12月に発足した現連立内閣では、内閣首席大臣を含む全21の大臣ポスト中、政権党の「共和国の提案」に首相・外相など10ポスト、与党第一党の「急進党」(国会の議席数では政権党を上回るため)に防衛・通信など4ポスト、「市民連合」には蔵相・公安の2ポストがそれぞれ割り当てられ、残りの5名は民間などからの起用となった。

立法権代議院(下院)と元老院(上院)に属し、国民議会は定数257人(任期4年)、元老院は定数72人(任期6年)である。下院では2年ごとに約半数の議席が、上院も同じく2年ごとに3分の1の議席がそれぞれ改選される。

下院の議席がドント方式によって比例配分(各州および首都圏を1選挙区とみなし、定数は選挙区ごとに異なる)されているのに対し、上院では、各州および首都圏にそれぞれ一律で3つの議席が割り当てられており、最大の得票を獲得した政党に3分の2(2議席)が、次点の政党に3分の1(1議席)がそれぞれ付与される仕組みになっている。

下院の議員総数(各選挙区の定数)は、10年ごとに行われる国勢調査の結果に応じて見直される。

2年周期で勢力図が更新されるたびに両院の正副議長ポストの顔ぶれも変わる。下院の議長は政権党会派から選出され、3名の副議長は政権党を除く上位3会派に割り当てられる。上院では、現職の副大統領が議長職を兼任し、上院仮議長及び3名の副議長は下院同様、政権党以外の上位3会派からの選出となる。

司法権国家最高司法裁判所に属し、行政、立法から独立している。

議会における比較第一党である野党「正義党」(統一会派「勝利戦線」の基軸政党)のほか、連立関係にある「急進党」(比較第二党・与党第一党)と「共和国の提案」(現政権で正副大統領・首席大臣・上下両院の議長を輩出している保守政党)、「市民連合」、正義党より分派した保守系の「新たなる選択のための連合」、穏健左派の「拡大進歩戦線」(社会党系の連合体)、「統一」(急進党の分派を含むリベラル勢力)、「左翼労働戦線」(トロツキズム的な極左政党)、5議席未満の地域政党らが国会に議席を有している。

正義・急進両党によって政界の勢力図が二分されていた時期には、首都圏を中心に「中道民主連合」(1982年に故アルバロ・アルソガライが結成した穏健的な保守政党。以下、中民連)が一定の存在感を有していたが、事実上の与党として旧メネム政権(正義党)と協力関係に入った90年代より党勢が徐々に低迷した。2009年1月、過去2回の選挙で2%以上の得票率を獲得することができなかった同党は、司法判断によりブエノスアイレス州での政党資格が剥奪され、同年3月には、党の2007年度版収支報告書に不備があったことを理由に、政党助成金の給付も停止された。なお、前政権で副大統領を務めていたアマド・ボウドウは国政レベルの現役政治家では唯一の中民連出身者である。「アルゼンチンの政党」も参照

相次ぐ国軍の反乱などや度重なるデフォルトなどに見られるように、歴史上「中進国」とされてきた国々の中ではもっとも政情の安定していない国のひとつであり、この政情不安定さは1983年の民政移管後の失政や、2001年11月の経済破綻など、一連の経済不安や現在の極度に拡大した貧富格差の元凶とされている。この不安定さを国民統合が成功していない(国民全体に受け入れられる国民文化が成立していない)ことに求める言説は多い。

2009年3月26日、上院は10月に予定されていた上・下両院の中間選挙を6月28日に行う法案を可決した。クリスティーナ・キルチネル前大統領は国際金融危機に対応する必要から議会選挙の前倒しを提案していた。

2012年4月16日、政府はレプソル傘下のアルゼンチン最大の石油会社YPFの株式の過半数にあたる51%を取得し、同社の経営権を取得する方針を明らかにした[12]


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