また、2族の元素は閉殻構造による遮蔽を受けない核電荷が同一周期の1族元素より大きいため、アルカリ金属よりも原子間の金属結合が強く、単体の融点・硬度が高い。
さらに、同じ理由により陽イオンは同周期の1族元素よりもイオン半径が小さい。それゆえ、2族元素塩の結晶格子は相対的に小さく、その結合は1族元素よりも強い。塩の水溶性に格子の解離エネルギーが与える影響は大きく、1族元素塩に比べ2族元素塩の溶解性が小さい理由の1つである。2族元素の切断面は、いずれも銀白色の金属光沢を持つものの、周期が大きくなるほど原子半径が大きくなりs軌道電子の束縛は緩やかになるため金属性がより強くなる。
第2族元素の一部には、炎色反応を示す元素も存在する。
カルシウムストロンチウムバリウムラジウムベリリウム・マグネシウム
橙赤色深紅色黄緑色紅色呈色せず(無色)
第2族元素の酸化還元電位は相当低いため、その還元力は強い。しかし、ベリリウムやマグネシウムの単体金属は強固な酸化皮膜で覆われ不動態を形成するため、強い還元作用が表面には現れ難い。マグネシウムは熱水とは反応し水酸化物を形成する。一方、それ以外のカルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムは、水などのプロトン性溶媒と反応して、1族元素に次ぐ烈しさで反応し水素を発生する。そのため扱いには細心の注意を要する。 2族元素は一般式、MH2の水素化物を生成する。そしてアルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム)は常圧の水素ガスと常温で、または、加熱時に反応して、直接水素化物を生成するが、マグネシウムと水素ガスとは高圧加熱下でしか反応しない。ベリリウムの水素化物は単体と水素の直接の反応では赤熱しても生成しない。水素化カルシウムはヒドリド供与体として、還元剤や無水溶媒の脱水剤として利用される。 2族元素は空気中で燃え、一般式、MOの酸化物を生成する。また、ベリリウム以外の2族元素酸化物は、水と反応すると水酸化物M(OH)2を生成し、カルシウムより原子番号の大きい元素は強塩基として作用する。一方で、酸化ベリリウムBeOは水と反応しない。水酸化物の塩基性の強度は周期の下へ行くほど強い。 イオン半径の大きいバリウムでは、イオンの電荷密度がナトリウムの電荷密度と同程度と低いため過酸化物も安定であり、酸化バリウムを空気中で500 ℃に加熱する方法、または、過剰の酸素とバリウムを反応させる方法によって、過酸化バリウムを生成する。 フッ化ベリリウムBeF2を除いて、いずれの第2族元素フッ化物も、水に難溶性の塩を形成する。しかし、フッ化物以外の第2族元素ハロゲン化物は、いずれも水に対する溶解性は大である。 これらのハロゲン化物は、共有結合の化合物である塩化ベリリウムなどを除き、イオン結晶を形成する。潮解性を示す物が多く、特に塩化カルシウムCaCl2は乾燥剤として利用される。 アルカリ土類金属は、加熱すれば、大気中の窒素ガスと容易に直接反応する。例えば、マグネシウムは窒素と反応して、窒化マグネシウムを生成する。 なお、アルカリ土類金属の窒素化物は、水と反応しすると、アンモニアを放出して分解する。 第2族元素の中では、地球の地殻において、次の濃度で存在する。 濃度順カルシウムマグネシウムバリウムストロンチウムベリリウムラジウム マグネシウムは海水中に多く溶存している。また、カルシウムも海水中には比較的豊富である。また、ラジウムを除いた第2族元素は、地球で見られる多様な鉱物の構成成分として含有されている。なお、ラジウムは崩壊し続けているものの、ウラン238とウラン235とトリウム232の崩壊によって、親核種が供給され続けているため、地殻中に僅かに見られる。 カルシウムやマグネシウムは、地球上の生物に広く利用されており、ヒトなどの場合でも、その生命維持に欠かせない元素である。 なお、ストロンチウム自体のヒトに対する毒性は高くないとされるものの、原子力発電所や核兵器によって生成されるストロンチウム90などは、骨に移行し易く、内部被曝をもたらす[12]。また、ラジウムも吸収された場合には、内部被曝をもたらす。 さらに、バリウムはヒトに対しては比較的毒性が高く[13]、ベリリウムに至っては非常に毒性が高い事で知られる[14]。
水素化物
酸化物
ハロゲン化物
窒素化物
地球上での所在
ppm41000[6]23000[7]500[8]370[9]2.6[10]0.0000006[11]
地球上の生物との関わり
出典[脚注の使い方]^ ⇒高等学校化学で用いる用語に関する提案(1)(日本化学会、2015年3月17日更新版)
^ ⇒高等学校化学で用いる用語に関する提案(1)への反応(日本化学会、2018年1月25日更新版)
^ a b c d 久保田 晴寿、桜井 弘(編集)『無機医薬品化学(第3版)』 p.31 廣川書店 1999年3月15日発行 ISBN 4-567-46054-5
^ Harold Hart(著)、秋葉 欣哉・奥 彬(訳)『ハート基礎有機化学(改訂版)』 p.218 培風館 1994年3月20日発行 ISBN 4-563-04532-2
^ a b 桜井 弘 『元素111の新知識』 p.44 講談社(ブルーバックスB1192) 1997年10月20日発行 ISBN 4-06-257192-7
^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 p.118 講談社(ブルーバックスB1192) 1997年10月20日発行 ISBN 4-06-257192-7
^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 p.80 講談社(ブルーバックスB1192) 1997年10月20日発行 ISBN 4-06-257192-7
^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 p.251 講談社(ブルーバックスB1192) 1997年10月20日発行 ISBN 4-06-257192-7
^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 p.195 講談社(ブルーバックスB1192) 1997年10月20日発行 ISBN 4-06-257192-7
^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 p.43 講談社(ブルーバックスB1192) 1997年10月20日発行 ISBN 4-06-257192-7
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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