アリスとテレスのまぼろし工場
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そこには、五実が現実の世界から貨物列車に乗って来た「菊入沙希」で現実の正宗の娘であること、沙希の心の大きな動きでこの世界に異変が起きる可能性があること、現実に戻すという提案を佐上衛が反対して閉じ込めたことが記されていた。

避難所で、正宗は五実を現実世界に戻すことを企図してクラスメートに協力を求めた。一方時宗は、「終わる世界」を延命させようと、製鉄所の高炉を再稼働させて神機狼の再生成を目指していた[注釈 1]。亀裂の向こうの現実で盆祭の風景が見える中、正宗と睦実は、佐上衛に連れ出された五実[注釈 2]を奪い返して、列車での送還を図る。しかし妨害で列車は脱線、正宗は自分で自動車を運転して亀裂の向こうの現実世界の列車[注釈 3]に近づき、列車が停止したところで五実は睦実と列車に乗る。走り出した列車の上で二人は言葉を交わした後、列車が神機狼を振り切ってトンネルに突入する直前に睦実は飛び降り、正宗たちが待つ元の世界に戻った。

現実世界の数年後[注釈 4]。列車で見伏駅に下りた菊入沙希は、タクシーで製鉄所跡に向かう。ほとんどの建物がなくなった中で、第五高炉跡はその姿をとどめていた。その中の壁には、製鉄所閉鎖時に書かれた多くの惜別メッセージに交じって、睦実と五実を描いたような絵が残されていた。
登場人物
菊入正宗(きくいり まさむね)
- 榎木淳弥[14]本作品の主人公。中学3年生の14歳[注釈 5]。趣味は絵を描くことで、イラストレーターになる願望を抱くようになる。外見が女性ぽいと自他ともに認めている。「自分確認票」に記入はしても[注釈 6]、1度も提出せず、全員への返却時に教師から「お前が正しかったのかもな」と言われている。オートスナックで売られているホットサンドが好物で、五実にも買い与えた。現実世界では同じ自宅に住んでいるが職業などは明らかにされていない。
佐上睦実(さがみ むつみ)
声 - 上田麗奈[14]正宗のクラスメート。嘘をつくと自称し、正宗に対しては自分の名前が「六つの罪と書いてむつみ」と話したこともある。父である佐上衛とは別の場所に住んでおり、自身の述懐では母が自分を連れ子に跡取りを望んだ衛と結婚したが、その後まもなく母は死去し、時間が進まない世界になって衛に家から追い出されたという。衛から「神の女に男が触れてはならない」という理由で五実の世話を押しつけられ、現実の自分の娘と気付いて「近づいたら好きになってしまう」とあえて突き放した態度を取っていた。現実世界では、盆祭の夜店で買い物をねだった沙希(=五実)をわざと突き放して置き去りにしたふりをし、その結果、沙希がいなくなってしまったことを後悔している。
五実(いつみ)
声 - 久野美咲[14]睦実によく似た容姿の少女。製鉄所の第五高炉に幽閉されている。年恰好は正宗たちとあまり変わらないが、幼児語程度しか喋ることができず、無垢で奔放。名前は「第五高炉」から正宗がつけた。実は現実世界の正宗と睦実の娘で、本来の名前は「菊入沙希」。まぼろし世界にやってきたとき身につけていた名札には、「2005.6.15」の日付の書かれた家族写真が付けられていた。現実世界で失踪した時点の年齢は睦実の台詞によると5歳。
笹倉大輔
声 - 八代拓[18]正宗のクラスメート。男女関係などへの興味が強い。
新田篤史
声 - 畠中祐[18]正宗のクラスメート。原から告白されて受け入れる。その関係を利用して、五実を原から奪い返した。
仙波康成
声 - 小林大紀[18]正宗のクラスメート。作中、ディスクジョッキーになりたいという願望を抱くが、世界の正体がわかった後、その事実に疑問を抱いて神機狼によって消された。
園部裕子
声 - 齋藤彩夏[18]睦実に近い女子生徒。ぽっちゃりとした体形。上履きがなくなり、正宗は睦実から「園部が自分の上履きを取ったから履いた」という話をされる。正宗の車の助手席に乗ったことで好意を持ち、肝試しの企画に女子では最初に賛同した。
原陽菜
声 - 河瀬茉希[18]睦実に近い女子生徒。周囲の女子生徒からは「原ちん」と呼ばれている。小説版によるとクラスの「女子のリーダー格」[19]。気が強そうだが、「自分確認票」の将来目標を「好きな人のお嫁さん」と記す「乙女」。五実の脱出作戦の折、(五実が現実に帰ると)新田と「両思い」の世界が終わると考え、五実を騙して自分の車に乗せたが、新田の計略に敗れる。
安見玲奈
声 - 藤井ゆきよ[18]睦実に近い女子生徒。原から新田への好意を「スイートペイン」と聞かされて「マゾ」だと大笑いした。
佐上衛(さがみ まもる)
声 - 佐藤せつじ[18]睦実の義父で製鉄所従業員。見伏神社の社家も兼ねる。「変わり者」と評され、この世界の「掟」を決めた人物。小説版によると、爆発事故後に製鉄所長となる[20]。昭宗、時宗のことを「昭宗氏」「時宗君」と呼ぶ。最後まで五実を「神の女」として留め置くことを望んだ。
菊入昭宗(きくいり あきむね)
声 - 瀬戸康史[18]正宗の父。製鉄所従業員。爆発事故が起きた夜現場にいた。


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