アラン・ムーア
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元来ムーアは、コミックに性的・人種的・社会的マイノリティの描写を取り入れることでは先駆的な立場にあった[8]。ムーアの批判者であるジャーナリストのローラ・スネッドンも、ムーアが芸術、男女同権フェミニズムなどで明確に女性を支持しており、コミック業界が抱える女性嫌悪と多様性欠如の問題を糾弾してきたことは認めている[524]フローレンス・ケイト・アプトンが描いたゴリウォーグとオランダ人形たち(1895年)。

ムーア作品で人種描写に関して批判されるのは The League of Extraordinary Gentlemen: Black Dossier(2007年)が代表である[521]。同作では、ヴィクトリア朝時代の黒人キャラクターであるゴリウォーグが(名前を変えて)登場する[420]。これはある観点では人種差別的な図像、ひいては人種差別思想に基づくメッセージを再生したことになる[521]。コミック研究者クレイグ・フィッシャーはムーア自身の人種差別意識に加えて西洋文化の中で人種差別的イメージが力を持ち続けていることの露悪的な告発、そして「ステレオタイプの誇張したパロディ」という多面的な意味があるのではないかと書いている[420]

ジャクソン・エアーズの考察によると、ムーアの作品は基本的にリベラルな傾向が強く、明確に人種差別批判を意図して書かれている作品もある[525]。ナチズムを継承した人種主義的な独裁政権が敵役となる『Vフォー・ヴェンデッタ』や[525]、スーパーヒーロー神話と白人優越主義の神話を結び付けて再考した『ウォッチメン』はその例である[526]。しかし『ヴェンデッタ』が完全に白人主人公たちのドラマとして描かれ、迫害される当の少数者が不在であるように、実際の描写が逆の効果を生む部分があるのだという[525]性的指向の描写についても同様で、ムーア自身はクィアへの支援者として出版・執筆活動を行っている[527][397]。しかしエアーズによると、『ウォッチメン』にはスーパーヒーロー・ジャンルが病的なクィアネスや暴力性の産物であるかのような描写が見られ、やはり異性愛規範を強化するような読み方ができる[528]
受賞

アメリカコミック界の主要な賞であるアイズナー賞ハーベイ賞、それらの前身であるカービー賞(英語版)[529]は数多く受賞している。以下のリストを参照のこと。

カービー賞受賞一覧年部門対象備考
1985原作者『スワンプシング』[530]
1985単一号『スワンプシング・アニュアル』第2号(ジョン・タトルベン、スティーヴ・ビセットとともに)[530]
1985定期シリーズ『スワンプシング』(ジョン・タトルベン、スティーヴ・ビセットとともに)[530]
1986原作者『スワンプシング』[531]
1986定期シリーズ『スワンプシング』(ジョン・タトルベン、スティーヴ・ビセットとともに)[531]
1986新シリーズ『ミラクルマン』(複数の作画家とともに)[531]
1987原作者『ウォッチメン』[531]
1987定期シリーズ『スワンプシング』(ジョン・タトルベン、スティーヴ・ビセットとともに)[531]
1987新シリーズ『ウォッチメン』(デイヴ・ギボンズとともに)[531]
1987原作/作画チーム『ウォッチメン』(デイヴ・ギボンズとともに)[531]

アイズナー賞受賞一覧年部門対象備考
1988原作者『ウォッチメン[531]
1988原作/作画チーム『ウォッチメン』(デイヴ・ギボンズとともに)[531]
1988限定シリーズ『ウォッチメン』(デイヴ・ギボンズとともに)[531]
1988単行本『ウォッチメン』(デイヴ・ギボンズとともに)[531]
1989原作者『バットマン: キリングジョーク[531]
1989単行本『バットマン: キリングジョーク』(ブライアン・ボランドとともに)[531]
1993連載ストーリー「フロム・ヘル」(エディ・キャンベルとともに)Taboo 連載版[532]
1994単行本(書き下ろし)A Small Killing(オスカー・サラテとともに)[532]
1995原作者『フロム・ヘル[532]
1996原作者『フロム・ヘル』[532]
1997原作者『フロム・ヘル』、『スプリーム』[532]
2000原作者『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』、『プロメテア』、Tom Strong 、Tomorrow Stories 、『トップ10[533]
2000単一号/単一話Tom Strong 第1号 "How Tom Strong Got Started"(クリス・スプラウス、アル・ゴードンとともに)[533]
2000連載ストーリーTom Strong 第4?7号(クリス・スプラウス、アル・ゴードンらとともに)[533]
2000新シリーズ『トップ10』(ジーン・ハー、ザンダー・キャノンとともに)[533]
2000単行本(再録)『フロム・ヘル』(エディ・キャンベルとともに)[533]
2000アンソロジーTomorrow Stories(リック・ヴィーチ、ケヴィン・ノーラン、メリンダ・ゲビー、ジム・ベイキーとともに)[533]
2001原作者『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』、『プロメテア』、Tom Strong、Tomorrow Stories 、『トップ10』[533]
2001単一号/単一話『プロメテア』第10号「セックス、スター、スネーク」(J・H・ウィリアムズIII、ミック・グレイとともに)[533]
2001定期シリーズ『トップ10』(ジーン・ハー、ザンダー・キャノンとともに)[533]
2003限定シリーズ『続リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』(ケヴィン・オニールとともに)[533]
2004原作者『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』、『プロメテア』、Smax 、Tom Strong、Tom Strong's Terrific Tales[533]


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