アラン・ムーア
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指輪や指甲冑を着け始めたのはメリンダ・ゲビーからのプレゼントがきっかけだった[18]

190 cm近い長身で[597]、若いころから髪とひげを伸び放題にしている[26]。ドキュメンタリー番組に出演した際、自分に救世主コンプレックスがあるか自問して「この髪でないわけないだろう?」と言ったことがある[598]。蛇頭の杖を携帯し[599]、大きな指輪をいくつも着用するのが常で[15]、[一見すると] 村の奇人変人だと書かれたことがある[600]

その風貌や政治的・闘争的な発言から気難しい世捨て人というイメージが広まっているが、実際に会うとサービス精神豊富で気さくな人物であることも報道されている[26][601]。ファンタジー作家マイケル・ムアコックは無名時代のムーアと同席する機会があって人柄に興味を持ち、作品を追うようになったと書いている。… 妥協を知らない爛々たる眼差し … そこにいるのは本物の予見者、進んでリスクを取る男、何があろうと夢を追い続ける過激で頭が沸いた人物のようだった[602]。後の2019年にムーアと会った作家スザンナ・クラークは、眼光の鋭さよりもいたずらっぽい表情が印象に残ると書いている[263]

自らミクロコズム(小宇宙)と呼ぶ生地ノーサンプトンに住み続けており、旅行することもめったにない[603]。ムーアはノーサンプトンの歴史や文化を Voice of the Fire や Jerusalem のような心理地理学的小説で描いている[603]。同郷の作家ジェレミー・シーブルック(英語版)(ムーアの初等学校時代の教師でもある)はノーサンプトン市民についてみな偏狭で迷信深く、吝嗇で狷介、かつ頑固だが、概して誇り高く言葉に嘘がないと書いている。伝記作家ランス・パーキンによるとこれらの言葉はムーアの一般的イメージにも当てはまる[604]

インタビューで語ったところでは、15歳でマリファナを、16歳でLSDを使用し始めた。LSDは短期間で止めたが、キャリアを通じて執筆のためにハシシを常用している。マジックマッシュルームによるサイケデリック体験から得たアイディアを作品化することもある[605]。パフォーマンス公演では朗読や音楽、映像やバレエのような複数のメディアが生む感覚の氾濫を通じてドラッグや宗教儀式と同じ変性意識状態を作り出すことを狙っている。コミックでも絵と言葉だけでそれを実現するのが一つの目標だという[606]
家族

1973年に結婚した最初の妻フィリスとの間にリーアとアンバーの2人の娘を儲けた[115]。リーアは長じてコミック原作者となり、2000 AD などで活動している[607]。その夫 John Reppion も同業であり[608]、ムーアは娘夫婦と共同でヒーローコミック Albion(2005?2006年)の原作を書いている[609]。ムーアとフィリスは数年にわたってデボラという女性と同居して3人でオープンな関係を結んでいたが、1990年代初頭に破局した。このときフィリスとデボラは2人で娘たちを連れて出て行った。

2007年、長年にわたって Lost Girls の共作を続けてきたカリフォルニア出身のアンダーグラウンド・コミック作家メリンダ・ゲビーと再婚した[610][611]
関連人物

信頼を裏切られたと感じると許さない一面があり、多くの出版社やコミック業界の友人と絶縁してきた[612]。ムーアがマーベル・コミックスと対立して、マーベルUK時代の「キャプテン・ブリテン」の再版を拒絶したときは、同作の作画家アラン・デイヴィスと袂を分かつことになった[206]。『ウォッチメン』のデイヴ・ギボンズは同作の権利問題ではムーアと近い立場に立っていたが[613]、同作のスピンオフ企画が持ち上がったときにDCの意を受けて間に立ったことを理由に絶交された[614][615]。『スワンプシング』の共作者スティーヴン・ビセットとは『1963』刊行中断[注 51]の責めをムーアに負わせるインタビュー発言がもとで関係を絶たれた[617]

小説家・コミック原作者ニール・ゲイマンは駆け出しジャーナリストだったころに『スワンプシング』の影響を受け、ムーアに直接教えを乞うてコミックの道に進んだ[618]。二人はそれ以来の友人である[619]。ムーアと後妻メリンダ・ゲビーを引き合わせたのもゲイマンだった[610]

ムーアは執筆活動の他にはほとんど趣味を持たないが、小説家アリスター・フルーシュ(英語版)と共に散歩する習慣がある[620]。フルーシュとは21世紀に再結成されたノーサンプトン・アーツ・ラボの成員同士でもある[621]
グラント・モリソン

コミック原作者グラント・モリソンはムーアとキャリアや関心が似通っているが、不仲なことでも知られている[395][619][注 52]。モリソンは自著でムーアについて以下のような人物評を書いている。独学で道を拓いた野心的な人物で、華々しく猛烈な才気があり、数々の巧みなトリックを使いこなすが、一番巧妙なのは自分を斬新に見せるトリックだった。まるでムーアの前にはコミックに歴史などなかったかのようだ。その機知に富んだ、歯に衣着せぬ、謙遜の利いた発言(「自分がメシアだと言いたいわけじゃないが … 」)は、コミックシーンを一新した燦然たる自信と裏腹だった。—グラント・モリソン(2011年、Supergods: Our World in the Age of the Superhero)[623]

モリソンは1990年のコラムで、ムーアのスーパーヒーロー作品が1977年に英国で出版された Superfolks(→スーパーな人々)というユーモア小説からヒントを得ていると指摘した[注 53]。ムーアは同書からの影響は特別に大きなものではないと発言しているが、盗用説は根強く残っている[625][624]

2012年には『ローリング・ストーン』誌のインタビューで「ムーアはレイプに執着しており、レイプが出てこない作品は一握りしかない」と発言した[626]。翌年、「女性や人種的マイノリティの描写に関する批判」について反論を求められたムーアは、自らモリソンの名前を出し、作品や人格を激しく批判し、自身のストーカーだと呼び、モリソンの共作者・出版社・ファンと絶縁すると宣言した[358][356]


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