アラン・ムーア
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ムーアは1984年のインタビューにおいて、小池一夫小島剛夕による日本漫画『子連れ狼[注 47]をストーリーは非常に単純だが、語り方によって大きな重みが生まれていると評し、自身の作風にも通じるところがあると語っている。物語をエスカレートさせて大きな事件を連発するより、状況やキャラクターの描写を積み上げてから小さな事件を起こす方が効果的なのだという[454]
原作執筆のスタイル

アメリカン・コミックのスクリプト(原作脚本)は出版社や書き手によって形式が異なるが、ムーアは長大細密な散文を書くことで知られている[455]。通常の5?6倍の分量があり[281]、コマ割りや各コマの構図、ディテールが事細かに指示されている[456]。会話体で書かれたスクリプトには作画家が参考にするための背景知識や演出意図までもが盛り込まれている[457][456][458][459]。DCコミックスでの担当編集者カレン・バーガーは次のように語っている。すべてのコマが隅から隅まで絵として描写されていた。アランは確か、挫折した作画家だったはずだ。… 作画家になろうとしてこの世界に入ったので、原作のアプローチもまるで絵を描いているかのようだった。… その上で、やはり優れた作家だったから、アートディレクションの文章なのに読んで面白かった。—カレン・バーガー(2012年)[460]

ポエトリー・リーディングの経験から文章のリズムや強勢を重視しており[461]、自ら音読しながら書いている[462]。重要なセリフには弱強格韻律が用いられることがある[463][464]。キャリア初期には一人芝居をしながら登場人物の所作や声色を想像するメソッド演技法を行っていた[465][466]

ムーアは 2000 AD 時代に多くの相手と短編を共作する経験を通じて作画家が描きたいものを的確に提示する能力を身に着けたと言われている[467]。想像力の相乗効果を生むため、共作者には原作から自由に逸脱するよう勧めてもいる[468]。原作者と作画家が主導権や貢献度を巡って争うことは珍しくないが[469]、ムーアは自身のコミック作品が作画家との共同制作物であることを常に強調しており[470]、共作者との関係は概して円満なものである[469]
影響マイケル・ムアコック、イアン・シンクレアと共に(2009年)。

時代に即した新しい形式を生み出すには広範な知識が不可欠だと語っており[471]、古典演劇から現代の実験小説やジャンル・フィクションまで読書傾向は幅広い[472]。影響を受けた作家にはウィリアム・S・バロウズビートニク作家[473]ウィリアム・ブレイク[注 48]トマス・ピンチョン[473]、イアン・シンクレア(英語版)[476]マイケル・ムアコックニューウェーヴSF作家、クライヴ・バーカーらホラー作家[477]がいる。

コミック作品からはあまり影響を受けていないと自ら語っているが[478]、1984年のインタビューでは例外として同時代のフランク・ミラー、American Flagg!、『ラブ・アンド・ロケッツ』を挙げている[479]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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