アラン・ドロン
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ドロンの低い声とは対照的に野沢の声質は高音であるが、このことについては「アラン・ドロン自身のような低音でフランス語を話してると響きが良いんですけど、その声で日本語を話すと聞こえ方が違う(重くなりすぎ、泥臭く聞こえてドロンの外見のイメージと合わなくなってしまう)」として日本語とフランス語の聴感の違いを感じさせる回答を野沢は述べており、ドロンの吹替の時は大抵左端のマイクを使い、隣の相手役にも敢えて向き合わずに収録することを心掛けていたことを明かしている[18]。当初はドロンの熱狂的ファンからの「なんで日本語にしたんだ」といった理不尽なクレームの電話[注 3]に悩まされ、やりづらかったと言い、度々難色を示すほどの苦労[19]もありながらも、幼い頃に親を失った共通点などからドロンの作品に多く共感できることや、30年にもわたって関わり続けてきたことなどから、晩年には「どれだけの人数を吹き替えてきたかわからないけど、アラン・ドロンが(持ち役の中でも)一番やりやすいです」と野沢は答えている[18]。過去に戸田奈津子の仲介でドロン本人と初めて対面した際には「もう少し上手な人に吹き替えてもらいたい」と言われ、当初はお墨付きには至らなかったものの、80年代に執り行われたドロンと会食ができるパリ観光ツアーでは野沢がドロンと同行しており、その後の両者の関係は良好であったという[20]。東映制作の特撮テレビドラマ作品『仮面ライダークウガ』(2000年)の第37話では劇中で「アラン・ドロンの声をやっていた人物」として野沢の名前が登場。また、野沢はドロンがダリダとデュエットし、ヒットしたシングル『あまい囁き(Parole Parole)』の日本語版にもドロンのパートを担当する形で参加している。主な担当作品については以下のとおり。テレビ版を含めればほぼすべてだが、ソフト収録作品を列挙する。
『アラン・ドロンのゾロ』
『エアポート'80』
『お嬢さん、お手やわらかに!』
『高校教師』
『冒険者たち』
『ボルサリーノ』
『レッド・サン』
『ハーフ・ア・チャンス』
など、計20作品がソフトに収録されている。
その他の担当声優
堀勝之祐
1969年の『木曜洋画劇場』で放映された『若者のすべて』以後、1970年代初期に多く担当。かつての担当声優であり、現在はリニューアルなどで野沢ドロンになっている作品の多くは当初、堀が吹き替えていた。堀はドロンが抑えた演技をしている作品を担当することが多かったと語り、「彼(ドロン)の演技にふっとのれないことがあった。彼の癖とかも入ってくるんだろうが、割合簡単にのれそうでいて意外と拒否されちゃうところがある。そういうところで僕の場合、演技を作って逃げる事もありました」と告白しており、後に専属となる野沢が担当した作品を観た際には「野沢さんの場合はぴったり合っているようだなあ」と感じたという[19]。野沢の没後である2018年9月22日にBSプレミアムにて放送された番組『アラン・ドロン ラストメッセージ?映画 人生 そして孤独?』においては朗読部分を担当、『さらば友よ』(TBS版)以来32年ぶりにドロンに扮した。『太陽がいっぱい』のように堀は準主役の別の役の吹替えを行っているものもある。主な担当作品は『悪魔のようなあなた』、『山猫』など、計5作品がソフトに収録されている。『さらば友よ』は、KADOKAWAから2018年5月25日に野沢(フジテレビ版)と堀(TBS版)の上記の両者の吹替えを収録したブルーレイが発売されている(思い出の復刻版ブルーレイに同梱のDVDには野沢版のみ収録)。
久富惟晴
主に70年代後期の日本テレビ系列の洋画劇場で担当。主な担当作品は『ボルサリーノ1・2』、『栗色のマッドレー』など、同局制作の吹き替えにおける専属として担当した。ソフト収録作品には『パリは燃えているか』、『リスボン特急』、『ル・ジタン』がある。このほか、山田康雄や広川太一郎、富山敬、松橋登、伊武雅刀、石立鉄男、横内正、中野誠也、井上真樹夫、井上和彦、山寺宏一などが声を当てた作品も存在する。
関連項目
リノ・ヴァンチュラ
ジャン・ギャバン
チャールズ・ブロンソン
マリー・ラフォレ
ミレーユ・ダルク
ルネ・クレマン
ニーノ・ロータ
脚注
注釈^ さらに、ドロン自身もマルコヴィッチと関係があったとして「三角関係」と報じられた。
^ ドロンを担当するようになった経緯ついて、野沢本人は後に「『太陽がいっぱい』で堀勝之祐がドロン、自身がモーリス・ロネを吹き替え放送したところ、しばらくして春日正伸の提案で配役を逆にして録り直し放送した。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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