アラブ首長国連邦
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2016年のGDPは約3487億ドルであり[29]大阪府よりやや大きい経済規模である[30]。同年の一人当たり国民総所得(GNI)は4万480ドルでベルギーに次ぐ世界第19位となっている[31]

かつては沿岸部の真珠採集と、ドバイやシャールジャなどでおこなわれていたわずかな中継貿易、それに北部諸首長国で行われた切手の発行(コレクター向けに発行されたもの。現地の郵便に使用可能ではあったが、郵便規模に比べてあまりに種類が多かったためコレクターからの顰蹙を買い、土侯国切手と称されている)がわずかな収入源であった。その真珠採集も1920年代の日本の養殖真珠の成功により衰退し、ますます経済活動が縮小していたが、1960年代後半にアブダビでの石油産出が本格化して以降、経済構造が一変した。

GDPの約40%が石油と天然ガスで占められ、日本がその最大の輸出先である。原油確認埋蔵量は世界5位の約980億バレル。天然ガスの確認埋蔵量は6兆600億m3で、世界の3.5%を占める。一人当たりの国民所得は世界のトップクラスである。原油のほとんどはアブダビ首長国で採掘され、ドバイやシャールジャでの採掘量はわずかである。アブダビは石油の富を蓄積しており、石油を産しない国内の他首長国への支援も積極的におこなっている。

石油が圧倒的に主力であるアブダビ経済に対し、ドバイの経済の主力は貿易と工業、金融である。石油をほとんど産出しないドバイは、ビジネス環境や都市インフラを整備することで経済成長の礎を築いた。1983年ジュベル・アリ港が建設され、1985年にはその地域にジュベル・アリ・フリーゾーンが設立された。ジャベル・アリ・フリーゾーンには、外国企業への優遇制度があり、近年、日本や欧米企業の進出が急増して、物流拠点となっている。オイルショック後オイルマネーによって潤うようになった周辺アラブ諸国であるが、それら諸国には適当な投資先がなく、自国に距離的にも文化的にも近く積極的な開発のおこなわれているドバイに余剰資金が流入したのが、ドバイの爆発的発展の原動力となった。それ以外にアルミニウム繊維の輸出も好調である。アルミ工場は石油や電力の優遇措置を受けているため極めて安価なコストでの生産が可能であり、主力輸出品の一つとなっている。また、貿易、特にインドイラクイランに向けての中継貿易の拠点となっている。

数値的にはアラブ首長国連邦の石油依存度は低いように見えるが、連邦の非鉱業部門の中心であるドバイの商業開発や産業はアブダビや周辺諸国のオイルマネーが流れ込んだ結果であり、アルミ部門のように原料面などでの支援を受けているものも多く、石油無しで現在の状況を維持しきれるとは必ずしもいえない。本質的には未だ石油はこの国の経済の重要な部分を占めている。

なお近年は、ドバイのみならず国内全体において産業の多角化を進め、石油などの天然資源の掘削に対する経済依存度を低め、東南アジアにおける香港シンガポールのような中東における金融と流通、観光の一大拠点となることを目標にしている。また、特にドバイにおいて近年は観光客を呼び寄せるためのリゾート施設の開発に力を入れており、世界一高いホテルであるブルジュ・アル・アラブの建設、「パーム・アイランド」と呼ばれる人工島群、2010年に完成した高さ828メートルと世界一高い建造物であるブルジュ・ハリーファなど、近年急速に開発が進んでおり、中東からだけでなく世界中から観光客を引き寄せることに成功している。この成功を見たアブダビやシャールジャなど他首長国も観光に力を入れ始め、豪華なリゾートホテルや観光施設の建設が相次いでいる。

また、食糧安保のために農業にも多大な投資をおこなっている。デーツなどを栽培する在来のオアシス農業のほかに、海水を淡水化して大規模な灌漑農業をおこなっており、野菜類の自給率は80%に達している[32]
アラブ首長国連邦の企業一覧


エティハド航空

エミレーツ航空

ジュメイラ・インターナショナル

マスダール

交通詳細は「アラブ首長国連邦の交通」を参照ドバイ国際空港ドバイ・メトロ

ドバイやアブダビ、シャールジャなどが古くから中東における交通の要衝として発達しており、この3都市は第二次世界大戦後の航空網の発達に併せて、特に1990年代以降においてその地位を高いものとしている。ドバイ国際空港及びアブダビ国際空港は中東のハブ空港としての地位にある。

また、近代的な高速道路がこれらの都市間を結んでいるほか、海運やヘリコプターによる地域内航空も盛んに行われている。ドバイでは2009年9月に日本企業による地下鉄であるドバイ・メトロが開通した。「アラブ首長国連邦の鉄道」も参照
空港「Category:アラブ首長国連邦の航空」および「アラブ首長国連邦の空港の一覧」を参照

アブダビ

アブダビ国際空港

アルアイン国際空港


ドバイ

ドバイ国際空港

アール・マクトゥーム国際空港


シャールジャ

シャールジャ国際空港


アジュマーン

アジュマーン国際空港


フジャイラ

フジャイラ国際空港


ラアス・アル=ハイマ

ラアス・アル=ハイマ国際空港


文化詳細は「アラブ首長国連邦の文化(英語版)」を参照ドバイの伝統的なスーク

アラブ諸国の中では寛容な文化政策を採っており、特にドバイなどでは各所のショッピングモールなどで各国のポップカルチャーや食文化を楽しむことができる。一方で、国民が圧倒的に少数という現状から、政府は伝統的な文化の保存・保護や国民意識の形成に力を入れている。
グルメ詳細は「アラブ首長国連邦の料理(英語版)」および「アラブ料理(英語版)」を参照

この節の加筆が望まれています。

イスラム教の法で禁じられる豚肉は使用せず、羊肉や鶏肉がよく使われる。料理マチュブース(マクブース)フムスケバブ
教育「アラブ首長国連邦の教育(英語版)」を参照

教育制度は小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年の6・3・3・4制である。識字率は90%(2007年)。義務教育は小学校6年間と中学校3年間のみであるが、ほとんどの生徒は高校へと進学する。近年では大学進学率も上昇を続けている。大学は1977年に国内初の大学としてアラブ首長国連邦大学アル・アインに創立され、以後国立大学数校が設立された。また、私立大学も多く設立され、欧米の大学のUAE校も多数進出してきている。欧米への留学生も多い。

義務教育の期間の間は日本人学校でもインターナショナルスクールでもアラビア語を習うことが義務とされているが例外も存在する。

連邦政府は教育を最重要項目として重点的に予算を配分しており、連邦予算の25%が教育予算によって占められている。国公立学校においては小中高から大学まで授業料はすべて無料であり設備も充実している。一方、私立学校も多数設立されている。イスラム教国家であるため、小学校から大学にいたるまですべてが男女別学であるが、幼稚園のみは男女共学となっている。

UAEでは、『すべての教徒は知識を得るべき』というイスラムの教えから、女性の教育も奨励されている[33]。大学進学率も女性のほうが高く、高校3年生の実に9割以上が大学に出願し、現今では国内の全大学卒業生のうち70%が女性だという[25]
スポーツ詳細は「アラブ首長国連邦のスポーツ(英語版)」を参照
サッカー詳細は「アラブ首長国連邦のサッカー(英語版)」を参照

アラブ首長国連邦(UAE)ではサッカーが最も人気のスポーツとなっており、1973年にプロサッカーリーグのUAEプロリーグが創設された。国内屈指の名門クラブであるアル・アインは、3連覇を含むリーグ最多14度の優勝を達成している。


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