外交は多くの国と幅広い関係を持つと同時に、湾岸協力会議の創設メンバーであるように諸国近隣諸国との関係を重視する保守穏健路線である。ほとんどの国は首都アブダビに外交使節団があり、領事館はアラブ首長国連邦最大の都市ドバイにある。ほとんどの国と良好な関係を築いているものの、外交のバランスを重視し、特定の陣営には所属しない。親米国家として知られるが、中華人民共和国とも友好関係にある[7]。アメリカからの再三の警告でハリファ港での中国の軍事施設建設は中止されたと報じられたものの[8]、F-35戦闘機の購入でも中国を念頭にアメリカから多くの制限を要求されると交渉中断を通告し[9]、中国のL-10戦闘機の購入を決定した[10]。また、ドバイで秘密刑務所を中国が運営していると報じられたことがある[11]。2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際には、敵対行為事態を否定する一方、ロシアを罰する安保理決議案で棄権し[12]、ロシア産原油禁輸を決定したアメリカのバイデン大統領から、原油価格抑制協力を求める電話会談は拒否したが[13]、直後に駐米大使が増産意向を表明し、対立しているわけではないことを示した[14]。
隣接するサウジアラビアとの関係を重視している。ラアス・アル=ハイマ領に属するペルシア湾のアブー・ムーサー島、大トンブ島、小トンブ島にはイラン軍が駐留している。また、サウジアラビアとの国境問題は1974年にジッダ条約(英語版)を締結し一時解決したかに思われたが、2006年に再燃した。
湾岸諸国の中でも欧米との関係が密接で、湾岸戦争時はアメリカ軍に基地使用を認め、イラク戦争でもその駐留を許可した。イギリスは旧宗主国であり、現在も関係が深いが、アメリカ合衆国はじめそのほかの欧米諸国とも関係が深まってきた。特にフランス軍は恒久的に駐留している。
アフリカの角にも影響力も持ち、特にイエメン内戦に参戦してからはエリトリアに海外で初の駐留拠点を置き、2017年にはソマリランドとも同様の協定を結んだ。2018年7月のエチオピアとエリトリアの歴史的和解にはエリトリアに軍の基地を持つUAEの働きかけもあったとされる[15]。
アラブ首長国連邦とインドとは季節風に乗れば非常に近いため帆船時代より関係があり、現在でもアラブ首長国連邦にやってくる労働者のかなりの部分を南アジア出身者が占める。
イスラエルとの関係詳細は「イスラエルとアラブ首長国連邦の関係(英語版)」を参照
アメリカの仲介を受け、2020年8月にはイスラエルとの国交正常化に合意した[16]。同年9月15日にはイスラエルとの国交正常化の覚書に署名し(バーレーンと同日)、イスラエルが進める中東・北アフリカのイスラム圏諸国との国交樹立の先駆けとなった。その後、互いに大使館や航空機直行便を開設して、イスラエルからのダイヤモンド輸入など貿易を拡大。イスラエル国民の多くを占めるユダヤ教徒の戒律に則った食事(カシュルート)に対応するレストランがドバイに開店し、ホロコーストについての展示会が中東イスラム圏では初めて開催され、関係が深化している。ただし、パレスチナ問題でのイスラエルの行動に対する批判は根強い[17]。
日本との関係詳細は「日本とアラブ首長国連邦の関係」を参照
在アラブ首長国連邦日本人が企業関係者を中心に4,000人弱いるほか、少ないながらも在日アラブ首長国連邦人がいる。
駐日アラブ首長国連邦大使館は東京都渋谷区にある。
住所:東京都渋谷区南平台町9-10
アクセス:JR山手線渋谷駅南口
詳細は「駐日アラブ首長国連邦大使館」を参照
UAE大使館全景
UAE国旗と玄関
国家安全保障詳細は「アラブ首長国連邦軍」を参照
アラブ首長国連邦軍は陸軍、海軍、空軍の三軍を有する。このほかに沿岸警備隊がある。湾岸戦争の際はクウェート奪還に戦力を提供した。
軍事協定先
湾岸協力理事会 - アラブ首長国連邦のほかサウジアラビア、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート。
フランス - 1995年、防衛協定を締結。2009年、アラブ首長国連邦フランス軍敷地が開設された。
大韓民国 - 2009年、アラブ首長国連邦が有事になった際に韓国が参戦する自動介入条項のある秘密軍事協定が締結された[18]。
エリトリア - 2015年、アラブ首長国連邦初の海外軍事基地をアッサブに開設した[19][20][21]。
ソマリランド - 2017年に軍事基地の開設が合意された[21]。
地方行政区分アラブ首長国連邦の各首長国。黄色の部分がアブダビで、突出して面積が広い。