アメリカ軍はその発足以来同国の歴史において決定的な役割を果たしてきた。第一次バーバリ戦争と第二次バーバリ戦争での勝利の結果として、国民の統一とアイデンティティの感覚が生成された。それはアメリカ南北戦争において重要な役割を果たし、アメリカの軍隊としての役割を果たし続けたが、その多くの将校が南軍
の分離主義軍に加わることを拒絶した。1947年9月に採択された国家安全保障法は、現代のアメリカ軍の枠組みを構築した。この法律は国防長官が率いる国家軍事施設(National Military Establishment)を設立し、空軍省と国家安全保障会議を設立した。1949年8月の法改正で国家軍事施設は国防総省に改名され、内閣レベルの陸軍省・海軍省・空軍省が国防総省に統合された。アメリカ軍は人員の面で最大の軍隊の一つである。有給の志願兵の大規模な人員から兵士を構成している。徴兵制度は1861年から実施されていたが1973年のベトナム戦争終結で停止となった。現在はセレクティブ・サービス・システム(選抜徴兵登録制度)が設けられており、18歳から25歳までのアメリカ国籍を持つ男性はセレクティブサービスに登録し、訓練を受ける義務がある[13]。
アメリカ軍は世界で最も強力な軍隊と見なされている[14]。同国の軍事予算(2022年度)は8,769億米ドルであり、世界の軍事費シェアの39.1%を占め世界最大である[15]。アメリカ軍は予算が巨額な為、防衛と戦力投射の両方に重要な能力を備えており、国外の約800の軍事基地を含む世界中に軍を広範囲に配備できる高度で強力な技術力を創出している[16]。アメリカ空軍は世界最大の空軍であり、アメリカ海軍はトン数で世界最大の海軍であり、アメリカ海軍とアメリカ海兵隊を合わせると世界で2番目に大きい航空戦力である。規模の面ではアメリカ沿岸警備隊は世界で12番目に大きい海上戦力である[17][18]。ちなみに2019年の会計年度現在の軍事備蓄で保有する航空機数は14,061機である[19]。
歴史
18世紀以前1775年アメリカ独立戦争に際し軍隊の編成が急務となり、第2次大陸会議により陸海海兵の3軍が編成された。6月14日 - 大陸軍が設立される。10月13日 - 大陸海軍が設立される。11月10日 - 大陸海兵隊が設立される。1783年11月3日 - 独立戦争に勝利したことで小規模な警備部隊を残し大陸軍部隊の多くが解散される。1784年6月3日 - 大陸会議の決議により常備陸軍としてアメリカ陸軍が設立される。1790年8月4日 - アメリカ沿岸警備隊の前身となる税関監視艇部が設立される。1792年5月2日 - 1792年民兵法 (Militia Acts of 1792) により、民兵組織だった州兵の位置付けが明確化された。1794年3月27日 - フランスの私掠船から商船を守るため常備海軍の設置が決定されアメリカ海軍が設立される。1798年7月11日 - 擬似戦争によりアメリカ海兵隊が設立され4軍体制となる。
19世紀1817年4月 - 1812年戦争の結果としてアメリカ・イギリス・イギリス領カナダとの間で、軍縮協定であるラッシュ・パゴット協定が締結された。
20世紀1907年8月1日 - 気球や飛行船を運用するため初の航空機部門である陸軍信号隊航空機部門(英語版)が創設された。1945年9月の第二次世界大戦終結後は核兵器の保有と戦力の充実により、ソビエト連邦軍との2大勢力となった。1947年9月18日 - アメリカ陸軍航空軍が改組され、アメリカ空軍が正式に発足して現在の5軍体制となる。1985年9月23日 - アメリカ宇宙軍が設立(2002年に戦略軍へ統合)1992年6月1日 - アメリカ戦略軍が設立。