ワールドトレードセンターの現場での犠牲者2,753人には、ニューヨーク市消防局の消防士343人と[2][163]、71人の警察官(ニューヨーク市警察本部の警察官23人、ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社警察の警察官37人を含む)が含まれている[2][164][165]。
2,996人の死者の内訳は、ハイジャックされた4機の旅客機の乗員・乗客が265人(テロリストを含む)、ワールドトレードセンターでの死亡者が2,606人[155]、アメリカ国防省での死亡者が125人とされている[2][162]。
このテロ攻撃では270人から400人のユダヤ人が犠牲になったと推定されている[166][注釈 8][167][168]。またこれに関連してアメリカ合衆国国務省は76人分のユダヤ人犠牲者のリストの一部を公開した[169]。
2017年8月の時点でも、犠牲者全体の40%にあたる1,112人の遺体がいまだ未確認の状態だった[170]。多くの遺体がばらばらになって散乱しており[171]、2006年には南棟に隣接するドイツ銀行ビル(英語版)の屋上で無数の遺骨の破片が発見された[172]。
なお、日本人の犠牲者は24人に及んだ。
WTCツインタワー両棟崩壊による健康被害ツインタワー崩壊後に破片に覆われたパトカー
現場はワールドトレードセンターの鉄骨に吹き付けられていた石綿(アスベスト)やツインタワー内にあったコンピュータや蛍光灯からの水銀、ベンゼンをはじめとする火災により発生した多環芳香族炭化水素化合物等の危険な粉塵も含まれており[173]、救難活動を行った犬が次々に死に、肺に障害を訴える人が続出していた。しかし、アメリカ政府はそれを否定し、十分なデータの裏付けもないのにEPAも「空気は安全」と報知したことから、安全よりもニューヨークの復旧作業といち早いウォールストリートの営業の再開を優先したのではないかという疑惑も挙がっている。これに対して、EPA監査局はホワイトハウスの環境諮問委員会からの圧力で安全宣言の発表に至ったという報告書を2008年8月に発表している[174]。これによると、EPAの安全宣言はアスベストの含有量の数値など実際のサンプルがあったにもかかわらず、曖昧な表現に書き換えられた形跡もあるという。
現場で救助作業などにあたった人では、安全宣言により防塵マスクを付けなかったため、健康被害が拡大された可能性も指摘されている[175]。このような作業員や消防士、住人を含めテロ発生時またはその直後に現場近辺にいた人では、肺疾患や白血病、癌などの発生が報告されており、医療機関などにより粉塵被害との因果関係が追跡調査されている[176]。特に消防士では、精巣癌や非ホジキンリンパ腫、前立腺癌、多発性骨髄腫になるリスクが有意に高いとする論文も発表されている[177][178]。約3000人の作業員に対する追跡調査では、28%の人で肺機能に何らかの異常が認められている[179]。
ニューヨーク市警察(NYPD)など法執行機関においても、多数の警察官がテロ事件に関連した疾病(9/11 related illness)で死亡している[180]。