スポーツマンをアメリカ社会のメインストリーム(花形)と捉える国民性(ジョックも参照)もさることながら、多くの地域で学生スポーツにおいて季節ごとに行うスポーツを変えるシーズン制が定着していることなどから、国民がさまざまなスポーツに触れる機会が非常に多くなっており、「スポーツ大国」と表現されることも多い[161][162]。
娯楽産業に占めるスポーツ観戦の割合が高いため、アメリカ国内発祥のスポーツが大衆的人気を得ているのが特徴で、アメリカンフットボール、バスケットボール、野球、アイスホッケーは伝統的に4大スポーツと呼ばれている[163]。ただ、サッカーの人気はアイスホッケーを上回っており[164]、アイスホッケーではなく、サッカーを4大スポーツのひとつとする意見が近年では主流になっている[165]。FIFAワールドカップはアメリカンフットボール以外のスポーツをテレビ視聴者数で上回るなど、大いに盛り上がる[166]。
主要なプロリーグは観客動員・収益共に莫大な数字であり、2019年の世界のスポーツ選手の収入ランキングでは、トップ100人のうち、72人がNBA、NHL、MLBの所属であった[167]。カレッジスポーツ(主にカレッジフットボールと、カレッジバスケットボール)もプロリーグに勝るとも劣らない人気がある[168][169]。
アメリカンフットボール詳細は「アメリカンフットボール」を参照
全米では野球やバスケットボールなどよりも人気を得ているスポーツであり、現在アメリカで最も人気のあるスポーツである[164][170]。2015年にブルームバーグが18歳以上のアメリカ人に対して行った調査では、「アメリカンフットボールと野球のどちらが国民的娯楽だと思うか?」という質問に対して、アメリカンフットボールと答えた人の割合は67%であった[171]。プロリーグであるNFLは、レギュラーシーズンの1試合平均観客動員数が6万7,000人を超えている[172]。カレッジフットボールも人気があり、2012年のギャラップの世論調査によると、カレッジフットボールのファンと回答した者の割合は、プロ野球やプロバスケットボールを上回る[173]。
バスケットボール詳細は「アメリカ合衆国のバスケットボール(英語版)」を参照
プロリーグであるNBAは、1980年代にマジック・ジョンソンやラリー・バードなどの活躍もあり、その後のマイケル・ジョーダンの時代に人気に火がついた。1990年代にはシャキール・オニール、コービー・ブライアント、アレン・アイバーソンがNBA入りしジョーダン引退後の新たな時代を予感させた。2000年代には、レブロン・ジェームズがNBA入りしキングことレブロンの時代が始まった。レブロンは2024年には40歳となるため、次のスター出現が期待されている。また、レブロンの息子ブロニー・ジェームズが高校バスケで奮闘中である。2010年代以降、アメリカンフットボールに次いで人気がある[170]。3月から開催されるNCAA男子バスケットボールトーナメントは、いわゆる「3月の狂乱」(March Madness)と呼ばれている。
野球詳細は「アメリカ合衆国の野球(英語版)」を参照
伝統的に国民的娯楽と称されており[174]、1970年ごろにアメリカンフットボールに一番人気スポーツの座を譲ったものの[175]、バスケットボールと共に未だに高い人気を得ている競技である[170]。プロリーグとして最上位に位置するメジャーリーグベースボール(MLB)は、レギュラーシーズンの観客動員数が約7,500万人である[176]。
サッカー詳細は「アメリカ合衆国のサッカー(英語版)」を参照
2017年のギャラップやワシントン・ポストの世論調査によると[164][170]、アメリカンフットボール、バスケットボール、野球に次いで、4番目に人気のあるスポーツである。若年層や中年層の間ではすでに野球を超えており[170]、2018年1月8日にスポーツコラムニストのフィリップ・ボンディ(英語: Filip Bondy)は「サッカーが近い将来に3番目の人気スポーツになる」とした[177]。競技人口は2,400万人を超えており、中国に次いで世界で2番目に多い国である[178]。1994年にFIFAワールドカップを開催しており、大会史上最高の観客動員数を記録した[179]。
1996年にプロリーグであるメジャーリーグサッカー(MLS)が創設され、当初10クラブで発足したが、2022年シーズンには28クラブに規模を拡大している[180]。FIFAワールドカップは、アメリカ戦のテレビ視聴者数はワールドシリーズやNBAファイナルを大幅に上回ることもある[181]。女子アメリカ代表はFIFA女子ワールドカップで史上最多4回の優勝[182]、オリンピックで金メダルを史上最多4回獲得しており、ともに世界最多である。また2026年にはカナダ、メキシコとともに2026 FIFAワールドカップの共同開催国となる[183]。
アイスホッケー詳細は「アメリカ合衆国のアイスホッケー(英語版)」を参照
プロリーグであるNHLは、カナダやアメリカの一部の州では人気が高いものの、全米規模でほかのメジャー競技と比較した場合、人気の面で大きく劣るのが現状である[170]。NHLの選手に占めるアメリカ人の割合は2割程度と非常に低く、カナダ人や欧州出身者が大半を占める。リーグ優勝決定戦であるスタンレー・カップ・ファイナルの視聴率も2012年には最高3%台に留まっており、モータースポーツのNASCARやゴルフ、テニスの大会より低い水準である[184]。