アメリカ合衆国
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

米国最長の戦争は「敗北」とも言われる幕引きとなった[55]

後述のイラク戦争も含めた中東作戦では、戦死者以上の自殺数を出した兵士の心的外傷後ストレス障害(PTSD)が社会問題になった[56][57]

2002年にはイランイラク北朝鮮悪の枢軸と呼び、2003年3月には、イラクを大量破壊兵器保有を理由に中華人民共和国ロシアドイツなどの反対を押し切ってイラク戦争に踏み切ったが、大量破壊兵器は見つからず「石油を狙った侵略行為」と批判する声があがった。後に、ブッシュ大統領はイラクの大量破壊兵器保有の情報が誤りであったことを認めた。イラク戦争勝利後、アメリカ合衆国はイラク共和国への軍事占領を開始した。

2005年には、テロ対策を目的に連邦情報機関および連邦政府が大統領令に基づき、具体的な法令的根拠・令状なしに国内での盗聴検閲などの監視が可能となり、アメリカ合衆国で事業展開する通信機器メーカーはすべての製品にこれを実現する機能を具備することが義務付けられている(詳しくはCALEA)。

ノーベル平和賞を受賞した南アフリカ共和国デズモンド・ムピロ・ツツ元南アフリカ聖公会大主教は、イラク戦争開戦の責任を問い、ジョージ・W・ブッシュ元大統領とトニー・ブレア元英国首相をアフリカとアジアの指導者たちと同様に裁くため国際刑事裁判所に提訴するよう呼び掛けている[58]

2008年米大統領選で、イラク駐留米軍の早期撤退を公約とするバラク・オバマが当選。2009年1月に就任すると、翌月には2010年8月末までにイラクからほとんどの米軍部隊を撤退させ、同国での戦闘任務を終了させることを発表した[59]。度々の延期がありながらも、2011年末の完全撤退が決まり、2011年12月14日にオバマ大統領はイラク戦争終結を宣言した[60]。同年には アメリカ海軍特殊戦開発グループウサーマ・ビン・ラーディン殺害した

ISILが台頭したことで2014年に再派遣した。イラク議会選挙では反干渉を掲げる政党が勝利している[61]。また、同年には生来の決意作戦を決行した。

オバマは「核なき世界」を訴え、ノーベル平和賞を受賞したが、その後も中東への派兵は続き素質に値するのかという議論も巻き起こった。オバマは「変革」と「国際協調」を訴え、人種差別のさらなる解決や国民皆保険の整備、グリーン・ニューディールなどの政策を通じた金融危機、環境問題、国際情勢の改善に積極的に取り組むことを表明した。オバマ大統領が「アメリカは世界の警察をやめる」と宣言してからは[62][63]、中華人民共和国とロシアイランとのなどの対立が起きている。

また、人権擁護団体「南部貧困法律センター」によると、2009年バラク・オバマという初のアフリカ系黒人大統領が誕生して以降、ヨーロッパ系白人の非白人種に対する反発が強くなり、人種偏見に基づくとみられる事件が増加および過激化しており[64][65][66]、南部では共和党員の約半数が異人種間結婚(白人と非白人の結婚)は違法にするべきと世論調査会社「パブリック・ポリシー」の調査に回答している[67]
一極支配の弱まりと中露との対立ジョー・バイデン
第46代大統領カマラ・ハリス
第49代副大統領

2017年、「アメリカ第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げた実業家出身で軍歴が無い異色の人物であるドナルド・トランプ2016年アメリカ合衆国大統領選挙に勝利したため大統領に就任した。しかし、トランプの登場はアメリカ合衆国の社会を分断させ、TPPパリ協定イラン核合意などの国際協定から次々に離脱。同盟国の日本やヨーロッパ諸国からの批判が相次いだ。その後もメキシコからの不法移民対策として国境に壁を築き始めるなど、孤立主義を深めていく。また政権下では国務長官をはじめ政府高官が次々に交代するなど、政治的にも混乱した。また、ドナルド・トランプ政権はシャイラト空軍基地への攻撃を実行した。

2020年1月にはアメリカ軍主導によってバグダード国際空港そばを走行中のガーセム・ソレイマーニーら10人をMQ-9 リーパー攻撃で殺害した。イランも報復を宣言し在イラク米軍基地攻撃を実行[68]した。この際、世界では「第三次世界大戦」がトレンド入りするほどの緊張[69]があった。

2020年1月後半から新型コロナウイルス感染症の世界的流行が発生。アメリカはパンデミック中心地の一つとなり、スペイン風邪を上回る多数の死者を出した[70]ほかロックダウンなどで経済的にも大きな打撃を受ける。また、感染元と見られる中華人民共和国への反中感情が悪化し、アジア系など有色人種へのヘイトクライムヘイトスピーチが発生した[71]白人警察による黒人差別問題によってブラック・ライヴズ・マター運動を始めとする人種間、イデオロギー間での分断が深まっていった[72]

この年の大統領選挙では民主党のジョー・バイデンが勝利したが、トランプは敗北宣言を認めず、選挙で不正が行われたと主張した。この対立が引き金となって、2021年にはトランプ支持者による合衆国議会議事堂が襲撃される事件が発生した。バイデンはウイグル自治区をめぐる疑惑台湾問題などの人権問題、そして経済分野において中華人民共和国との対立を深めていた。同年、バイデン政権は民主主義サミットを主催した。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:510 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef