アメリカ合衆国の政治は三権分立が徹底しており、行政府の長である大統領は立法府における議会解散権を持たず、連邦議会も大統領不信任決議の権限を持たない。また、連邦議会議員は在職したままでは大統領顧問団の閣僚を兼任することはできない[14]。
毎年1月下旬に連邦議会で行われる大統領の「一般教書演説」は、アメリカの三権(大統領、上下両院議長、最高裁判所長官)を構成する者のほぼ全てが下院本会議場に集う一大イベントである。
しかし冷戦下の1970年代末に大統領府は、この一般教書演説時を狙った東側諸国による首都核攻撃を想定し、大統領権限継承者全員と上下両院議員全員が一堂に会することの危険性を憂慮した。ここを攻撃されると、憲法が定める法的な大統領権限の継承者が皆無となるばかりか、そうした憲法的危機を乗り越える為に必要な立法措置を行う議会や、対策手段を公的に承認する連邦最高裁判所までが一瞬にして消滅してしまう可能性があるためである。
その結果1981年の一般教書演説(ジミー・カーター)からは、閣僚の大統領権限継承者の1人を内密に「指定生存者」に指名し、その者を首都のワシントンD.C.から相当の距離を置いた非公開の場所に当日は待機させる(つまり隠す)ことにした。
さらに、あくまでも想像上の事態であった攻撃だが、9.11で米国本土への攻撃が現実のものになると、2005年の一般教書演説(ジョージ・W・ブッシュ)からは議会も各院で民主党と共和党からそれぞれ1人ずつ、計4人の議員を「指定生存者」として一般教書演説の日は首都を離れさせ、最悪の事態が起きた場合でも両院で議長と議員がいる連邦議会が生き残れるようにした。ただし、2005年から2007年において上院では大統領権限継承順位が3位の上院仮議長が上院の指定生存者の1人となっており、これがこのまま慣例として定着すると、あえて閣僚の指定生存者を指名する必要性が失われてしまう点が指摘されている。 この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
大統領権限継承順位
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1947年大統領継承法(英語版)は、第(a)条(1)項で「もし死亡、辞任、解任、執務不能などの理由により、大統領と副大統領の双方が大統領の責務を果たし権限を執行できない場合には、下院議長が、下院議長と下院議員を辞職したのちに、大統領としてこれを行う」としたうえで、その次を上院仮議長、その次からは内閣の閣僚を所轄省庁の設立年の古い順に並べ、継承順位を第18位まで定めている。閣議(2004年)
順位職名
1副大統領
(上院議長兼任)
2下院議長
3上院仮議長
4国務長官
5財務長官
6国防長官
7司法長官
8内務長官
9農務長官
10商務長官
11労働長官
12保健福祉長官
13住宅都市開発長官
14運輸長官
15エネルギー長官
16教育長官
17退役軍人長官