アメリカ合衆国大統領選挙
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

アメリカ合衆国の選挙法[2]では、外国籍の人間(永住権保有者を除く)によるいかなる選挙への関与(選挙関連活動及び寄付)を認めておらず[注釈 7]、これらの行為は違法である。
選挙方法と最終決定テキサス州の投票用紙。同時に行われる様々な選挙の投票欄があるが、ペンで示されている枠が大統領選挙の投票欄。(2008年)カリフォルニア州一般選挙の郵送投票用紙(2012年)と、候補者・法案など選挙項目に対する公式ガイド「アメリカ合衆国大統領予備選挙」も参照

通常、予備選挙の勝利を確実とした大統領候補が、自らとは支持基盤・政策・キャラクターなどが異なる人物を副大統領候補に内定し、党大会において正副大統領候補が正式指名を受ける。

大統領選挙は形式上間接選挙であり、有権者は一般投票(popular vote)の日に、選挙人団(Electoral College)に票を投じる。選挙人(elector、選挙人団の個々のメンバー)は前もって、本選挙において特定の大統領候補と副大統領候補のペアへ投票することを誓約しており、この候補者ペアをチケット(英語版)(ticket、党公認候補者名簿などとも訳す)と呼ぶ。選挙人が本選挙で誓約通りの候補者に投票することは、いくつかの州で義務付けられているが、憲法や連邦法レベルでは存在せず、ごくまれに誓約違反がある。

もっとも、実際の投票では大統領候補と副大統領候補の名前のペアとその公認政党の組み合わせの書かれた選択肢に記入して投票すると、その候補ペアへの投票を誓約する選挙人団への票と見做される投票方式がとられる。

各州には人口に応じた(ただし比例はしていない)選挙人の定数があり、メイン州ネブラスカ州以外では、他の選挙人団より1票でも多くの票を獲得した選挙人団がすべての選挙人を出すことができる。つまり実質的には、州の一般投票で最多得票の大統領候補がその州の全ての選挙人を獲得する勝者総取り方式である。全州で獲得した選挙人の数を合計し、獲得総数が多い候補者が勝利する。

有権者の投票数の比が直接反映される制度ではないため、1824年1876年1888年2000年2016年の選挙では一般投票での次点候補が当選している。
投票日

有権者が大統領候補者に票を投じる「一般投票」は、4年ごとに11月第1月曜日の翌日(11月2日から11月8日のうちの火曜日)に行われる[注釈 8]。その後12月第2水曜日の次の月曜日(12月13日から12月19日のうちの月曜日)に各州で選挙人団が集会し、「選挙人投票」が行われる。

選挙人による投票は1回のみである。どの候補者も全選挙人過半数票を獲得できなかった場合、大統領は大統領候補高得票者3名以下の中から下院が、副大統領は副大統領候補高得票者2名から上院が選出する。下院での投票は通常議決と異なり、選出州ごとに議員団として投票し、各議員団は議員数にかかわらず1票を有する。議会による投票で選出された者として、大統領としてはアダムズ(1825-1829年)、副大統領としては、ジョンソン(1837-1841年)がいる。
大統領選挙人詳細は「アメリカ選挙人団」を参照

各州から選出される選挙人の数は、その州の上院と下院の合計議員数と等しい人数(合計535人)と決められている。上院議員は各州から2名ずつ、下院議員は州の人口に基づいて決められる。人口は10年毎に行われる国勢調査のデータを使用する。カリフォルニア州から選出される下院議員が最多の53名であることから、選挙人の人数も最も多く55人となる。アラスカ州など下院議員の選出数の最も少ない州は3人の選挙人を選出することとなる。州でないため合衆国議会の議席を持たない首都ワシントンD.C.(コロンビア特別区、以下DC)からは、最も少ない州と同じ3名の選挙人が選出される。

現在、ほとんどの一般投票有権者はあらかじめ投票先候補者を誓約している代議員団に対して投票する。そのため事実上、選挙人が投票する候補者は一般投票によって決まる[注釈 9]

しかし、連邦法及びアメリカ合衆国憲法では選挙人が誓約に従って投票するよう義務付けているわけでは無く(一部の州では州法によって義務付けている)、選挙人は一般投票と異なる候補者に投票することも可能である。ただし、選挙人が一般投票の結果とは異なった投票を行った例は数の上で極めて少なく、現在の選挙の慣行が形成されて以来、誓約に反した投票が当選者決定に影響を及ぼした例は無い。また特定候補への投票を誓約しない選挙人団の立候補・被選出も可能だが、1960年を最後に非誓約選挙人が選出された例はない。

なお現在では選挙人は全て直接選挙で選ばれているが、選挙人選出は州の権限であるため、連邦法上は必ずしも直接選挙で選出する必要は無く、歴史的には州議会によって選ばれていた例もある。近年でも2000年アメリカ合衆国大統領選挙一般投票のフロリダ州での開票が紛糾した際、一般投票結果の確定が選挙人投票日に間に合わない場合に備えてフロリダ州議会が独自に選挙人を決定する構えを見せていた。

また、ほとんどの州では勝者総取り方式を採用しているものの、2012年アメリカ合衆国大統領選挙の時点で、メイン州とネブラスカ州では、上院議員議席分の2名の枠を州全体での最多得票の陣営に与え、残りの下院議員議席分の枠を、下院選挙区ごとに最多得票の陣営に1名ずつ与える。コロラド州は勝者総取り方式だが、2004年の選挙と同時に行われる住民投票の結果次第で「比例割当方式」に変更される可能性があった。しかし住民投票の結果は反対多数だったことから、従前通りの方式にとどまることが決まった。
開票と"contingent election(臨時選挙)"

選挙人によってなされた投票の開票は、大統領選挙一般投票日と同日に行われた連邦議会選挙での改選を経た議員によって翌年1月6日に開かれる上下両院合同会議で行われる。

合同会議は下院本会議場で行われ、議長席には上下両院の議長が立つが、両名のうち議事進行は上院議長である副大統領が行う。副大統領自身が候補者である場合も忌避されず、自ら議事進行を行う。合同会議では州ごとに開票結果が読み上げられ、その結果に対する異議の有無が問われる。議員からの異議があり、最初に申し立てた院の議員とは別の院の議員がその異議への同調を表明した場合は、上院議員が上院本会議場に引き上げて各院ごとに討論と議決がなされる。両院で異議を支持しない議決がなされると、再開された合同会議でその州の開票結果の承認を副大統領が宣言する。合同会議の席で開票結果への異議が上がらないか、あるいは異議に対して別の院の議員の同調が無い場合も、その州の開票結果が承認される。この過程を50州とDCについて行い、合計の投票結果を確定させる。副大統領は合計結果を宣言し、過半数の票を獲得した候補がいれば次期正副大統領として発表する。正式に次期正副大統領の当選が決まる。

選挙人票獲得数が過半数である候補者がいなかった場合には、俗に contingent election(英語版)(それぞれcontingentは臨時の・不慮の、electionは選挙、の意味がある)と呼ばれる、下院・上院がそれぞれ大統領・副大統領を選ぶ、いわゆる臨時選挙が行われる。下院は、議員1人に1票ではなく、1州1票として大統領を候補者から選ぶ(ただし一般選挙において選挙人獲得数が上位3名となった候補者のみが候補となる)。下院による選挙は全州のうち3分の2の州から1名以上の議員が出席していることが必要であり、大統領は全州の過半数をもって選出される。なおDCは議席を持たないため、票を持たない。上院は議員1人に1票として副大統領を候補者から選ぶ(ただし一般選挙において選挙人獲得数が上位2名となった候補者のみが候補となる)[3]
結果*「その他の主な立候補者」は、一般投票総数の0.5パーセント以上を得票した候補。太字は誓約違反を除いて、選挙人を得た候補。ただし、1820年以前は選挙人は州議会が選ぶことが多かった。†一般投票の50パーセント未満の得票率で選出された大統領。‡一般投票において対立候補より得票が少なかった大統領とその対立候補。注:ジョン・タイラー、ミラード・フィルモア、アンドリュー・ジョンソンチェスター・アーサー、リンドン・ジョンソンおよびジェラルド・フォードは選挙で選ばれなかった大統領(副大統領からの昇格)。うち、フォードは副大統領選挙を経ていない(スピロ・アグニュー副大統領の辞職に伴う就任のため)。タイラーと両ジョンソンは、現職候補として再選に出馬しなかった。フィルモアは退任後の出馬(現職としての立候補ではない)。

回年大統領当選者その他の主な立候補者*
11789ジョージ・ワシントン無所属)(対立候補なし)
21792ジョージ・ワシントン(無所属)(対立候補なし)
31796ジョン・アダムズ連邦党トーマス・ジェファーソン民主共和党
41800トーマス・ジェファーソン(民主共和党)ジョン・アダムズ (連邦党)
51804トーマス・ジェファーソン(民主共和党)チャールズ・ピンクニー(連邦党)
61808ジェームズ・マディソン(民主共和党)チャールズ・ピンクニー(連邦党)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:71 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef