フランクリン・ローズヴェルトの跡を継いでから2か月後、ハリー・S・トルーマン大統領は、“大統領が自身で決めた後継者に禅譲する”という事態が起こらないことを確実とするために、継承順序に関して閣僚らより上の優先権を下院議長と上院仮議長とに与えるよう提案した[5](国務長官が大統領によって指名されるのに対し、下院議長と上院仮議長は選挙された公務員である。下院議長は下院によって選挙され、歴代議長は全員、その任期中は下院議員であった。上院仮議長は上院によって選挙され、また上院議員でなければならない)。議会はこの変更を承認し、下院議長と上院仮議長を閣僚らより上の継承順序に加えた。これにより、下院議長と上院仮議長の地位は確立した。ただし、ケネディ暗殺を背景に改正された合衆国憲法修正第25条よりリチャード・ニクソン大統領はジェラルド・R・フォードを副大統領に指名し、上下両院の承認を得て副大統領に就任し、ニクソン辞任後にフォードは大統領として残りの任期を全うしている。
憲法的根拠[ソースを編集]
継承順序は、憲法中の3か所に書かれている(第2条第1節、修正第20条第3節、および修正第25条)。
第2条第1節第6項は副大統領を継承順位の筆頭に置くと共に、大統領も副大統領も執務不能となった場合について法律で定める権限を議会に付与している。こうした継承方法を管理している現行法が、1947年大統領継承法である(合衆国法典 ⇒第3編第19条)。
修正第20条第3節は、次期大統領が任期開始前に死亡した場合、次期副大統領がその就任日に大統領となり、次期大統領が務める予定であった任期を引き継ぐ旨を定めている。また同条は、就任日に、大統領が選出されていない、または次期大統領が大統領の資格を備えていない場合、大統領が選出されるまで、または次期大統領がその資格を備えるまで、次期副大統領が大統領の職務を行うと定めている。最後に、第3節は次期大統領と次期副大統領のいずれも資格を備えていない、または執務できない場合について、議会が法律で定めることを認めている。
修正第25条(1967年成立)は、第2条第1節(副大統領が大統領の直接的な後継者であること)を明確化した。すなわち、大統領の死亡、辞任、または免職があった場合、副大統領が大統領となる。同時に第25条は、大統領が一時的に障害を負った場合(外科手術を受ける、精神的に不安定になるなど)についても規定している。また同条は、副大統領が欠けた場合は大統領によって後任が指名され、かつ議会の承認が得られなければならないとした。かつては、副大統領が大統領の後任となり、または別の理由で(死亡・辞職または免職によって)職が空いた場合、副大統領職は欠けたままの状態で留め置かれた。
昇格大統領の任期[ソースを編集]
大統領が死亡するなど、職務不能時に大統領に昇格した場合、前大統領の任期が残り2年以内(就任から2年後の1月20日以降)であれば、その後の大統領選挙に2度挑戦できる。つまり、アメリカ合衆国大統領は最高で10年在任できることになる(修正憲法第22条)。
1951年の修正憲法後、8年以上在任の機会があった大統領はリンドン・B・ジョンソンだけである[注 4]。しかしテト攻勢などベトナム戦争の泥沼化の責任を取り、3期目の選挙が行われる1968年の3月に大統領選挙に出馬しないと明言した。
大統領代行と大統領[ソースを編集]1963年のジョン・F・ケネディ暗殺後、エア・フォース・ワンの機上にて大統領就任宣誓をするリンドン・ジョンソン