アメリカ合衆国中西部
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ほとんどの地域ではケッペンの気候区分では冷帯湿潤気候に属する。3文字の記号で分類した場合、五大湖の南岸では概ねDfa、カナダとの国境に近いミネソタ州やノースダコタ州、ウィスコンシン州北部、ミシガン州アッパー半島はDfbに属する。五大湖の沿岸、特にDfbに属する地域にはウィスコンシン州ドア郡やミシガン州トラバースシティなどのように、夏の涼しさを活かした避暑地・保養地が点在している。またシカゴを別名Windy City(風の街)と呼ぶことからも判るように、五大湖周辺は風が強く、特にカナダからの北西寄りの風の風下に当たる南東岸では冬になるとブリザードが吹き荒れる。

一方、中西部の中でも南のほうにあたるオハイオ川の流域は温帯湿潤気候(Cfa)に属し、冬の寒さは中西部のその他の地域と比較するとさほど厳しくなく、1年を通して穏やかな気候である。

グレートプレーンズにかかるノースダコタ、サウスダコタ、ネブラスカ、カンザス各州の西部では降水量が少なく、乾燥帯ステップ気候(BS)に属する。こうした気候に属するネブラスカ州やカンザス州のグレートプレーンズ以西では、オガララ帯水層などの地下水層から汲み上げた地下水を利用し、大規模な灌漑農業が行われている。これらの地域では、竜巻が発生しやすい。集中豪雨が続くときがあり、1993年アメリカ中西部大洪水2008年にも大規模な洪水が発生している。

古くからの農業地帯・牧畜地帯であった中西部には、シカゴをはじめ、カンザスシティオマハデモインなど、農産物・畜産物の集積地としての都市がいくつも形成された。これらの都市は大規模な穀物取引所や家畜取引所、精肉工場などを有し、住民に雇用とビジネスチャンスをもたらすとともに、アメリカ合衆国の肉食文化を支えていった。オマハのステーキやカンザスシティのバーベキューは、こうした背景から市の名物料理となっていった。

中西部はその地理的条件から、交通の要衝でもあった。ミシシッピ川を中心にミズーリ川オハイオ川が流れ、さらに北には五大湖が位置することから、これらの天然の水路や、これらの湖沼・河川をつなぐ運河を用いた水上交通が発達し、セントルイスシンシナティエバンズビルのような河港都市やダルーストレドクリーブランドのような湖港都市が発展していった。やがて交通の主役が蒸気船から鉄道に移ると、シカゴやセントルイスは大陸横断鉄道の連節点としての役割を果たし、さらに成長を続けた。現代に入り、航空機がメインの交通手段となっても、シカゴ、デトロイト、ミネアポリスセントポールは主要航空会社のハブ空港となっている大規模な国際空港を持ち、国内外の「空の玄関口」として、あるいは連節点としての役割を果たしている。

交通の便の良さは工業の発展を促した。1960年代までは、中西部は東海岸のメガロポリスにも劣らない工業地帯であった。シンシナティでは石炭産業が、クリーブランドやゲーリーでは製鉄業が、デトロイトフリントでは自動車産業が発展した。しかし1970年代以降、産業がサンベルト諸州に移り始めると、それまで製造業を中心とした中西部の都市部の人口は減少していくが、これは一概に他州への人口流出とは異なるものである。1970年代初期まで伸び続けた自動車普及と、それに伴う大都市郊外の住宅開発がピークに達し巨大サブアーバン・エリアを形成するようになると、それまで市内中心部に集中していた人口は郊外へ拡散する。これにより古くからの巨大都市であったシカゴデトロイトでは市内の人口が激減。一方で同都市圏人口は増加の一途を辿り、この傾向は2010年代に入っても持続している。その事は以下の2つの表を見れば明らかである。大企業は治安の良い郊外にオフィスを構え、大手メーカーは低賃金で組合問題の無いサンベルト地域に生産工場を移管。多くのブルーカラー人口を失う代わりに、中間層は増加し新興地域の発展に寄与している。中でも国際金融市場世界10位、域内総生産(GDP)世界8位のシカゴは同地域では別格の存在で、物流、流通のハブとしても成長を続ける国際都市である。尚1970年代以降に発展した中西部の都市としては、郊外に日本の自動車メーカーを誘致し、市内でも金融・保険など第3次産業が経済を支えていたコロンバスや、やはり郊外に複数の日系自動車メーカーを誘致したインディアナポリスIBMが大規模な工場を置くミネソタ州きってのハイテク産業都市ロチェスター等があり、1970年代以降もサンベルト諸都市に匹敵する高い成長を続けた。

下表に中西部の主要都市圏の2020年国勢調査時における都市圏の人口を示す。表中に複数の州名が表示される都市圏は、主要都市が州境近くにあるため州をまたいで都市圏を形成している事例を示す。

全米順位都市圏州2020年
人口 (人)
3シカゴネイパービルエルジンイリノイ州インディアナ州ウィスコンシン州7006961850200000000?9,618,502
14デトロイトウォーレンディアボーンミシガン州7006439204100000000?4,392,041
16ミネアポリスセントポールブルーミントンミネソタ州ウィスコンシン州7006369026100000000?3,690,261
21セントルイスミズーリ州イリノイ州7006282025300000000?2,820,253
30シンシナティオハイオ州ケンタッキー州インディアナ州7006225688400000000?2,256,884
31カンザスシティミズーリ州カンザス州7006219203500000000?2,192,035
32コロンバスオハイオ州7006213892600000000?2,138,926
33インディアナポリスカーメルアンダーソンインディアナ州7006211104000000000?2,111,040
34クリーブランドエリリアオハイオ州7006208825100000000?2,088,251
40ミルウォーキーウォキショーウェストアリスウィスコンシン州7006157473100000000?1,574,731
45ルイビルジェファーソン郡ケンタッキー州インディアナ州7006128543900000000?1,285,439
52グランドラピッズケントウッドミシガン州7006108759200000000?1,087,592
58オマハカウンシルブラフスネブラスカ州アイオワ州7005967604000000000?967,604
73デイトンケタリングオハイオ州7005814049000000000?814,049


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