先述のとおりアメリカ合衆国ドル紙幣の発券管理は連邦準備制度が集中的に行っているが、法令上、個々の紙幣はアメリカ国内に12行ある連邦準備銀行が個々に発行している。
紙幣製造は製版印刷局と合衆国造幣局によって行われ、1日あたり6億5000万ドル相当の紙幣と硬貨が製造されている。従業員数は合計で5000人を超える。印刷工場はアメリカ国内に2か所ある。
偽造を防ぐ目的で、1ドル紙幣と2ドル紙幣を除く全紙幣のデザインが2000年代 - 2010年代に刷新されている。2012年12月31日現在の連邦準備制度の統計によれば、1ドル紙幣の流通量は103億枚、100ドル紙幣は86億枚、20ドル紙幣は74億枚である。 紙幣を発券した銀行がどの連邦準備銀行であるかは、その紙幣に記されたアルファベット記号で判別することができる。アルファベット記号以外の部分はどの発券銀行も額面ごとにすべて同じデザインであり、また発券銀行にかかわらず同一額面ならどの紙幣も等価である。 肖像の小さい紙幣(1・2ドル紙幣と、5ドル以上かつシリーズ1994以前の紙幣)には、肖像の左にアルファベットの記載された丸い部分があり、法令上の発券銀行がこの文字で判るようになっている。 肖像の大きい紙幣(5ドル以上かつシリーズ1996以降の紙幣)では、左端のアルファベット(「B2」など)がこれに相当する。また紙幣シリアルナンバー(記番号)11桁のうち左から2桁目のアルファベットも同じことを表している。 紙幣の印刷はアメリカ合衆国製版印刷局が直営する工場2か所で行われている。 すべてのドル紙幣には小さな字で原版番号(どの凹版原版を用いて印刷したかを表す記号番号)が2か所ずつ印刷されているが、うち1か所の原版番号で例えば「FWD63」のように、「FW」が付いていればフォートワース工場で印刷された紙幣(前出の画像では1・2・5・10・50ドル)である。「B57」のように「FW」が2か所とも原版番号に付いていなければワシントンD.C.工場で印刷された紙幣(前出の画像では20ドルと100ドル)である。 硬貨として発行されるのは1ドル(100セント)以下の通貨であり、アメリカ合衆国造幣局が製造している。 現在発行されている硬貨の金種は、 の6種類である。なお、シルバーダラーというのは1ドル銀貨の呼称で、現在の1ドル硬貨の呼称ではない。 セント硬貨については、主に25セント以下のものが多く使われており、特に公衆電話や新聞などの自動販売機、パーキングメーター、バスの運賃箱、カジノ場のスロットマシン[注 1]、有料道路や駐車場の無人料金所などに25セント硬貨を複数枚投入するものが多いためか、とりわけ硬貨の中でも25セント硬貨の流通量が非常に多い。
発券銀行
A:マサチューセッツ州 ボストン連邦準備銀行
B:ニューヨーク州 ニューヨーク連邦準備銀行
C:ペンシルベニア州 フィラデルフィア連邦準備銀行
D:オハイオ州 クリーブランド連邦準備銀行
E:バージニア州 リッチモンド連邦準備銀行
F:ジョージア州 アトランタ連邦準備銀行
G:イリノイ州 シカゴ連邦準備銀行
H:ミズーリ州 セントルイス連邦準備銀行
I:ミネソタ州 ミネアポリス連邦準備銀行
J:ミズーリ州 カンザスシティ連邦準備銀行
K:テキサス州 ダラス連邦準備銀行
L:カリフォルニア州 サンフランシスコ連邦準備銀行
印刷工場
ワシントンD.C.工場
フォートワース工場
硬貨「アメリカ合衆国ドルの硬貨(英語版
流通硬貨
1セント(Penny、ペニー)
5セント(Nickel、ニッケル)
10セント(Dime、ダイム)
25セント(Quarter、クオーター)
50セント(Half Dollar、ハーフダラー)
100セント(=$1、シルバーダラー)