アメリカン・コミックス
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クラムはフリッツ・ザ・キャットの生みの親でもある。
ブロンズ・エイジ

ブロンズ・エイジ(青銅時代)という用語は、1970年前後に(特にDCとマーベルに関して)起こったアメリカン・コミックの変化が集中した時期に始まる、アメリカのメインストリーム・コミックでの歴史区分に対して一般的に用いられる。ゴールデン・エイジからシルバー・エイジにかけての変遷とは異なり、シルバー・エイジからブロンズ・エイジの変遷は多くの継続して出版されていた作品に関わっており、それほど急激なものではない。すべての作品が同時にブロンズ・エイジを迎えたとは言えない。

シルバー・エイジからブロンズ・エイジへの変遷を示すと考えられる変化は、以下の通りである。

スーパーマン・ブックスの編集者モート・ワイジンガー
(英語版)の引退や、ジャック・カービーのDCへの移籍を含む、人気作家達の交代

『コナン (マーヴルコミック)(ロバート・E・ハワード原作・ジョン・バスセマ(英語版)作画)』『カマンディ(英語版)』『ジョナ・ヘックス』『スワンプシング』『ゴーストライダー』、そしてリバイバル版『ドクター・ストレンジ』などの、非スーパーヒーロー作品およびスーパーヒーロー境界作品のブーム

スパイダーマン』での薬物乱用問題や、『グリーンランタン/グリーンアロー』シリーズなどの、重大な社会問題を扱おうと試みた「適切な」アメリカン・コミックの出現

1971年に起きたコミックコード委員会の規制緩和

オリジナル版に近い「よりダーク」にされたバットマンや、職業がテレビレポーターになりクリプトナイトの設定を取り除かれたスーパーマン、一時的に常人となったワンダーウーマンなど、幾人かの人気キャラクターの設定改変。数年後の新X-メンの改変も、この傾向の一部かもしれない。

スパイダーマンのガールフレンドであるグウェン・ステイシー、ドゥームパトロール(英語版)、リージョン・オブ・スーパーヒーローズの幾人かのメンバーなどの、人気キャラクターの死

モダン・エイジ
メインストリーム・コミックの情勢

1970年代における書店買い取り形式による直販制度(ダイレクト・マーケット)は、コミック専門店の登場によって北アメリカ全土で同時に発生した。これらの専門店は社会の偏見の声からの避難所であったが、同時にコミックを衆目から覆い隠すことになった。より多くの号を読者に購入させるために、連載されるコミックのストーリーは更に長く複雑になっていった。1970年から1990年の間に、複数の原因(全国的な紙不足、出版社数の増加、雑誌に対するコミックの商品単価の低さによる販売店の利益率の低さなど)から、コミックの価格が高騰した。アメリカにおけるコミック人気の凋落について考える際に、これらの要素はしばしば指摘される。

1980年代半ばから後半にかけて、DCコミックスより出版された二つのコミック・シリーズ『バットマン: ダークナイト・リターンズ』(フランク・ミラー)と『ウォッチメン』(アラン・ムーア&デイブ・ギボンズ(英語版))は、アメリカン・コミック業界に重大な衝撃をもたらした。この2シリーズの驚異的な人気は、メジャー系出版社(DCとマーベル)に彼らのタイトルをよりリアリスティックな、暗い雰囲気のものへと変化させた。これらの作風はしばしば冷笑的に「グリム・アンド・グリッティ(grim-and-gritty)」と呼ばれる。この変化は『パニッシャー』『ウルヴァリン』『スポーン』などのアンチヒーロー人気の拡大や、ファースト・コミックダークホースコミックスなど多くのインディペンデント系出版社の「暗い」雰囲気によっても強調された。数年間にわたり、メインストリーム・アメリカン・コミックの誌上は、血みどろのミュータントと闇の復讐者によって占められていた。この暗闇とニヒリズムへの志向は、DCの看板漫画であるバットマンシリーズの「A Death in the Family」や、同様にマーベルの看板漫画『X-メン』シリーズの「Mutant Massacre」や「Acts of Vengeance」によっても促進された。

1990年代前半の投機ブームは、一時的に専門店での販売を増加させたが、これらのブームはコレクターズアイテムの供給過剰によって終焉を迎えた。そしてコミックの販売は1990年代半ばから急速に減少しつつあり、数百の専門店が閉店した。今日、北アメリカで販売されているアメリカン・コミックの部数は、出版史上最低のものである。マーベルやDCのようなスーパーヒーロー系の大手出版社は、今でも「メインストリーム」と呼ばれているが、もはや過去の数十年間のような大型メディアではない。
プレスティージ形式

プレスティージ形式によるコミックは、標準的なアメリカン・コミックが数枚の広告紙を折り重ねた単純な製本であるのに対し、それより厚い48ページから72ページの長さで光沢紙に印刷され、背表紙とカバーを備えている。プレスティージ形式の単行本は、DCコミックスによるフランク・ミラーのバットマン作品『ダークナイト・リターンズ』において初めて使用された。この作品の成功はプレスティージ形式の確立につながり、現在この形式はビッグネーム作家が手掛けた作品の披露や、重要なストーリーにスポットを当てるのに使用されている。

プレスティージ形式で発表されるストーリーは、一連のシリーズの一部であるか、独立作品のいずれかである。独立作品が発表される場合は、アラン・ムーアの『バットマン: キリングジョーク』のように、グラフィックノベルやグラフィックノヴェラとして発表される。
インディペンデント・コミックとオルタナティヴ・コミック

コミック専門店の存在は、1970年代後半より始まったインディペンデント系コミックの数回にわたる波を活気付けた。これらの波の最初の作品は、一般にはインディペンデント・コミックあるいはオルタナティヴ・コミックと呼ばれた。これらのある物は、アンダーグラウンド・コミックの伝統を汲むものであった。別の物は、形式やジャンルにおいてメインストリーム出版社の出版物に類似していたが、より小規模なアーティスト本人が所有するベンチャー会社か、アーティスト個人により出版されたものであった。さらに別の少数は、コミックをファインアートの世界に持ち込もうとする実験的な試みの産物であった(特筆すべき例として、アート・スピーゲルマンとフランソワーズ・モーリー(英語版)によるアンソロジー雑誌『RAW』が挙げられる)。


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