アムネスティ・インターナショナル
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日本では、元内閣総理大臣ノーベル平和賞受賞者の佐藤栄作が、死刑・拷問反対に賛同する立場から会員となったことがよく知られる[5]。佐藤はアムネスティ共同創設者・初代議長でアイルランド外相や国際連合事務次長補などを務めたショーン・マクブライドとノーベル平和賞を同時受賞している。

2003年8月7日従軍慰安婦問題VAWW-NETジャパンとの連帯を表明[6]。「立川反戦ビラ配布事件」で、自衛隊イラク派遣に反対するビラを防衛庁宿舎内の郵便受けに投函したために逮捕された3人の被疑者(第一審では無罪判決。第三審で有罪確定)を、2004年2月、日本初の良心の囚人に認定した。最高裁の有罪判決に対し、アムネスティの日本支部は「平和的な意見表明に対して、他者の権利の侵害などを口実として制約を課してはならない。」「立川での事件以後、政治的な内容を持つビラを住居に配布した個人が逮捕・起訴される事件が相次いだ。そうした取り締まりは、国内での政治的意見表明や社会的な活動を萎縮させている。」とする非難声明を2008年4月11日に発表している[7]

2010年、南モンゴルモンゴル族人権活動家ハダとその家族が中国政府によって拘留され行方不明になったことを受けて所在を直ちに明らかにするよう求めている[8]

2021年、香港国家安全維持法に基づき「重大な報復」を受ける恐れがあるとして香港から撤退した[9]
組織

国際事務局(ロンドン)の下に、個別の法人格を有する各国支部(アムネスティ日本、アムネスティ韓国など)が連なり、それぞれの支部には多数のローカルグループが所属している。会員はローカルグループを通じてアムネスティに加入する(グループ会員)ことも、各国支部に直接入会する(個人会員)こともできる。

伝統的に、良心の囚人の釈放を求める手紙を関係当局に出すなどの活動(アクション)にあたっては、ローカルグループが主たる実動部隊の役割を果たしてきた。最近ではインターネットなどを通じ、然々のアクションをとるよう各国支部の事務局から所属会員に直接呼びかけることも行われている。

一方、各国における人権侵害の調査・認定とアクションの立案にあたっては国際事務局が中心的な役割を果たす。このため国際事務局は多数の調査員を擁し、それぞれ特定の国や地域を担当している。
事務総長

歴代事務総長の一覧。括弧内は国籍と在任期間である。[10]
ピーター・ベネンソンイギリス、1961年 - 1966年)

エリック・ベイカー(英語版)(イギリス、1966年 - 1968年)

マーティン・エナルズ(英語版)(イギリス、1968年 - 1980年)

トマス・ハマーベリスウェーデン、1980年 - 1986年)

イアン・マーティン(英語版)(イギリス、1986年 - 1992年)

ピエール・サネ(英語版)(セネガル、1992年 - 2001年)

アイリーン・カーン(英語版)(バングラデシュ、2001年 - 2010年)

サリル・シェティ(英語版)(インド、2010年 - 2018年)

クミ・ナイドゥ(英語版)(南アフリカ、2018年 - 2020年)

ジュリー・ヴェルハール(2020年 - 2021年)

アニエス・カラマール(英語版)(フランス、2021年 - )

活動
原則と範囲

欧米では「最も信頼できる国際組織」として高い評価を得ているが、その理由の一つとして、欧米のアムネスティが一貫して政治的に中立性を保つ努力をしていることが指摘されている。たとえば、米国のアムネスティは他国のアムネスティと同様死刑に反対しているが、特定の政党や政治勢力を直接・間接に支持することはなく、公職選挙において特定の候補者に投票する、あるいはしないようにアムネスティの名で呼びかけることも避けている。伝統的に死刑支持者の多い共和党の党員も数多く米国のアムネスティに入会している。また、米国アムネスティは民主・共和両党の党大会に代表を派遣して影響力の維持に努めている。

アムネスティは戦時下でも人権が保護されるように交戦国双方に働きかけるが、戦時国際法で認められた正規の戦闘行為としての武力行使そのものには賛成も反対もしないことを運動の原則としてきた。最近では、ダルフールにおける人権侵害をくいとめるため国連軍の派遣を安全保障理事会に要請するなど、特定の軍事行動を慫慂ないし支持する場合もみられる[11]。この例が端的に示す通り、アムネスティは非武装中立のような絶対的平和主義には与していない。

アムネスティの「自国条項」すなわち、各国支部は死刑執行反対等を除いては原則として自国内の個別の人権侵害案件に介入しないという規定も、政治的中立性を守る努力のあらわれである。各地で起きた個別の事案をアムネスティが取り上げるべき人権侵害として認定する権限は支部にはなく、その判断は国際本部にゆだねられている。


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