アムネスティ・インターナショナル
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一方、1997年9月にアムネスティは北朝鮮・韓国・日本の政府に対し、北朝鮮による日本人拉致問題に関し「把握している関連情報をすべて開示するよう三国政府に求める」という声明を発表した[20]

朝日新聞の記事によると、1997年3月に横田めぐみら拉致被害者の家族がアムネスティ日本を訪ねて協力を要請した際は、「調査には相手国の受け入れが必要」と応じた[21]。その後、朝鮮総連がアムネスティ日本を訪れた際は「寺中誠事務局長は、総連と在日朝鮮人に対する迫害と規制が深刻さを増している現実に憂慮を示す一方、学生代表らに「在日コリアンを取り巻く環境は厳しいが、自らの出自に誇りを持って堂々と生きてほしい」と激励した」と朝鮮新報が伝えている[22]

一方、拉致被害者家族会と救う全国協議会の訪米団が2001年2月にアムネスティの米国事務所を訪ねクーマ・アジア太平洋部長と懇談した際は、「クーマ部長は拉致問題に非常に強い関心を示し、日本政府の対応なども含めて詳しく事情を聞き、その場で国会議員や他の人権団体への連絡などをしてくれました。」と「救う会全国協議会ニュース」が伝えている[23]

2006年にはアムネスティ日本の総会において北朝鮮の人権・拉致問題への積極的な取り組みを求める決議案が提出されたが否決された[24]RENK東京関係者によると、アムネスティ日本が主催する人権パレードに際し、北朝鮮の人権問題に取り組む団体が持参した金正日の似顔絵や「朝鮮のヒトラー 金正日に裁きを」というプラカードを撤去するようアムネスティ側が要求したことが原因で、両団体の間に摩擦が起こった[25]

アムネスティは2004年の報告書で[26]、北朝鮮における人権抑圧と食糧危機との関連を指摘した。海外からの食糧援助の配給が北朝鮮当局の手に委ねられる結果として「経済的に活発かつ国家に対し忠誠的である人々に対し配布されており、一方で、最も弱者である集団が無視されている場合がある」、「これは、同国体制に現存する制度的、地域的、社会的偏向を強化するだけである」(和訳書39ページ)という見方も紹介している。また、アムネスティは中国が北朝鮮からの難民を強制送還していることに対し何度か抗議を呼びかけている。

2008年に宋允復(守る会&NO FENCE 両事務局長)が、アムネスティが北朝鮮の人権問題に消極的である理由をアムネスティ本部の東アジア担当調査官ラジブ・ナラヤンに直接質したところ、ナラヤンは「アムネスティとしては北朝鮮の人権問題に関しては慎重にアプローチすべきであるという判断が立ち、それを日本のアムネスティも支持した」「各国アムネスティから上がってきた意見に誤解がある、認識の過ちがあることは認識したから、それを持ち帰って来年(2009年)2月からロンドンに戻った時に、北朝鮮の問題を積極的にやろうと思う」と答えたという[27]

2011年9月8日北朝鮮での人道に反する犯罪を停止する国際連帯(The International Coalition to Stop Crimes Against Humanity in North Korea)をヒューマン・ライツ・ウォッチFIDHなどと共に結成した。
民衆法廷運動とアムネスティとの関係

日本支部が発行する『アムネスティニュースレター』2003年7月号では「Focus 日本から発進、新しい市民運動」という標題のもとに、ブッシュ米国大統領らを「被告人」とする「アフガニスタン国際戦犯民衆法廷」の呼びかけ人である、前田朗のインタビュー記事を3ページにわたり掲載している。この民衆法廷の「検事団」の事務局長を務めた猿田佐世はアムネスティ日本の活動家で、4年にわたり年次総会議長の要職にあった[28]。ただしアムネスティ・インターナショナルの国際事務局がこの民衆法廷の運動に対し公式に支持を表明したことはない。

アムネスティ・インターナショナルが関わるのは、各国政府や国際連合国際刑事裁判所などの公的機関を通じての人権侵害加害者の責任の追及であり、アムネスティが直接人権侵害加害者の名前をあげて非難するのは、かなり具体的に責任が明らかにされた場合のみである。これまでに、チリアウグスト・ピノチェト大統領ペルーアルベルト・フジモリ大統領などに対して、アムネスティからの非難が行われたことがある。そうした場合でない限り、アムネスティは、政府首班および担当者に対する公式の申し入れという筋を維持している。

ピノチェトが1998年10月に滞在中のイギリスで一時身柄を拘束されるにあたっては、スペインの司法当局の要請がその法的根拠となった。ピノチェトが犯したとされる殺人拷問などの犯罪はチリ国内(=スペイン国外)で行われたものであるが、アムネスティは、ジェノサイドや拷問罪などを犯した者に安全な逃げ場を与えないためには、犯罪が行われた場所を問わず責任者を起訴する責務が各国政府にあるとしている(Universal jurisdiction)。

同じくスペイン国立法廷は、法輪功の成員に対する「ジェノサイド」(集団虐殺罪)と「拷問罪」を理由に、元中国共産党中央委員会総書記江沢民中央政治局委員・羅幹薄熙来賈慶林呉官正らに対する起訴を2009年11月に認定した[29]


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