アムネスティ・インターナショナル
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信憑性の確認をしないまま不実情報を公表したことに対して組織の内外から批判の声があがったが、その後、誤報に対する謝罪や原因究明、再発防止策の策定、責任者への処分などをアムネスティが行ったという発表はなされていない[12]
学園浸透スパイ団事件「学園浸透スパイ団事件」も参照

アムネスティ日本は、韓国の軍事政権による反共政策を人権侵害として強く批判し、韓国官憲が1975年に摘発した「11.22事件」(「学園浸透スパイ団事件」とも言う)を冤罪事件として摘発された学生らを支援していた。この事件の首謀者として逮捕・起訴されたソウル大学校大学院留学中の在日韓国人徐勝は、公判(第二審)にて韓国の国法を犯して「工作船」で北朝鮮に渡り工作員教育を受けたことを自供しているが、起訴された事件については、現在も否認している。元朝鮮総聯新潟県連副委員長・張明秀も、徐勝のスパイ嫌疑については、事実としている[13]が、起訴された事件については、言及していない。その後も、アムネスティ日本は、徐勝の弟である徐京植を講演会講師に招くなどしている[14]

この「学園浸透スパイ団事件」は、2012年までに軍や情報機関による捏造であったとして、服役者3人に対し、再審で無罪が確定しており、冤罪事件であることが明らかにされた。
アムネスティ日本について目黒で活動するアムネスティ・インターナショナル日本

公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本(アムネスティ・インターナショナル日本支部)は、世界中のさまざまな場所で起こっている人権侵害の存在を国内に広く伝えるとともに、日本における人権の状況について普及啓発を行っている公益法人。会員数は、2012年12月末日現在で6,541名である。事務局のスタッフは、事務局長1名、専従職員10名である[15]

日本の中の国際的人権団体としては、大きな規模であるといえる。しかし、欧米における高い存在感と比較すると、日本におけるアムネスティへの関心は極めて低いというのが実情である。アムネスティは公安調査庁がアムネスティ日本支部を含む40団体の活動を監視していると主張している[16]。アムネスティ日本は隔月で、全会員、及びサポーターに対し『アムネスティニュースレター』という、A4判三段組16ページ(全カラー印刷)の機関誌を郵送しており、非会員も購読できる[17]
批判と反発

開かれた北韓放送代表河泰慶は、「1998年以降アムネスティ・インターナショナルが糾弾した人権問題は、日本が92件、韓国が85件なのに対し、北朝鮮は14件に過ぎない。アムネスティ・インターナショナルの基準では、日本は北朝鮮より6倍以上人権に問題がある国ということになり、また北朝鮮における政治犯収容所の問題よりも日本の死刑制度問題を優先している」として批判している[18]

かつて米国アムネスティの理事を務めた国際法学者フランシス・ボイルは[19]、「アムネスティは、自らを政治的に不偏不党と規定しているものの、「右翼」「左翼」などの政治的立場で批判されることも多く、冷戦時代には西側諸国保守派からは共産主義者呼ばわりされ、一方東側諸国の官憲からは西側のスパイ扱いをされてきた。特定の政治的立場に立つものにとっては自分の政治的意見にとって都合のよいマターを扱ってほしいし、都合の悪いマターを扱うことには極めて敏感になるため」と指摘している。
北朝鮮問題に関して「北朝鮮での人道に反する犯罪を停止する国際連帯」も参照

アムネスティは北朝鮮の人権状況について早くから情報を発信してきた団体であり、アムネスティ日本も1980年代のアリ・ラメダ事件に関する情報をはじめとして、北朝鮮の収容所の状況を知りうる限りで日本語で紹介したと自任している。特に1993年以後数年間は北朝鮮国内での「失踪」者のその後の状況につき、北朝鮮当局とも折に触れて解決に向けて交渉していたという弁明がなされている。ただしその経緯を含む関連情報が開示されていないため、弁明の真偽を外部者が判定することは難しい。一方、1997年9月にアムネスティは北朝鮮・韓国・日本の政府に対し、北朝鮮による日本人拉致問題に関し「把握している関連情報をすべて開示するよう三国政府に求める」という声明を発表した[20]

朝日新聞の記事によると、1997年3月に横田めぐみら拉致被害者の家族がアムネスティ日本を訪ねて協力を要請した際は、「調査には相手国の受け入れが必要」と応じた[21]。その後、朝鮮総連がアムネスティ日本を訪れた際は「寺中誠事務局長は、総連と在日朝鮮人に対する迫害と規制が深刻さを増している現実に憂慮を示す一方、学生代表らに「在日コリアンを取り巻く環境は厳しいが、自らの出自に誇りを持って堂々と生きてほしい」と激励した」と朝鮮新報が伝えている[22]

一方、拉致被害者家族会と救う全国協議会の訪米団が2001年2月にアムネスティの米国事務所を訪ねクーマ・アジア太平洋部長と懇談した際は、「クーマ部長は拉致問題に非常に強い関心を示し、日本政府の対応なども含めて詳しく事情を聞き、その場で国会議員や他の人権団体への連絡などをしてくれました。


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