アポトーシス
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例えばオタマジャクシからカエル変態する際に尻尾がなくなるのはアポトーシスによる[5]線虫では発生において起こるアポトーシスがすべて記載されている。人の指の形成過程も、最初は指の間が埋まった状態で形成され、後にアポトーシスによって指の間の細胞が死滅することで完成する。さらに免疫系でも自己抗原に反応する細胞の除去など重要な役割を果たす。

シドニー・ブレナーロバート・ホロビッツジョン・サルストンはこの業績により2002年ノーベル生理学・医学賞を受賞した。

アポトーシスを開始させる細胞内のシグナル伝達経路は主にこの線虫の遺伝学的研究から明らかになった。その後線虫昆虫から哺乳類まで多細胞動物のアポトーシス経路には共通点が多いことが明らかとなった。これは非常に複雑に調節されるネットワークであるが、カスパーゼと総称される一連のプロテアーゼが中心的な働きをし、下流のカスパーゼを順に切断・活性化していくこと、また「アポトーシスの司令塔」であるミトコンドリアも重要な働きをなすことが特徴である。おおよそ次のようにまとめられる。アポトーシスの主経路

TNFやFasリガンドなどのサイトカイン(デスリガンド)による細胞外からのシグナル ⇒ 受容体(デスレセプター)⇒ カスパーゼ-8,-10 ⇒ カスパーゼ-3

DNA損傷など ⇒ p53 ⇒ ミトコンドリア上のBaxBakなどのタンパク質からなるシグナル系による制御(またはミトコンドリア自体の異常)⇒ ミトコンドリアからシトクロムcの漏出 ⇒ カスパーゼ-9 ⇒ カスパーゼ-3

小胞体ストレス(小胞体で異常なタンパク質が生成するなど)⇒ カスパーゼ-12 ⇒ カスパーゼ-3

カスパーゼ-3がその他のタンパク質を分解するなどしてアポトーシスを決行させる。現在普通にはこのような経路による細胞死を特にアポトーシスと呼んでいるが、植物などで異なるメカニズムによる細胞死をアポトーシスと呼ぶこともある(これらについてはプログラム細胞死を参照)。
脚注[脚注の使い方]^ 神奈木玲児 細胞の自然死(アポプトーシス)に伴う糖鎖抗原の変化とその遺伝子的背景の研究 1994
^ Merriam-Webster ⇒Apoptosis
^ J. F. R. Kerr, A. H. Wyllie, A. R. Currie ⇒Apoptosis: A Basic Biological Phenomenon with Wide-ranging Implications in Tissue Kinetics 1972
^ “アポトーシス”. 薬学用語解説. 公益財団法人 日本薬学会. 2020年7月18日閲覧。
^ この経路に免疫系がかかわっており、自己免疫から抗原と認識される蛋白質を尾に発現させ、異物として排除する。新潟大学の井筒ゆみ助教(2009年10月現在)が証明し、生物の発生に免疫系が関与する事例を初めて示したとして2009年10月に米国科学アカデミー紀要に発表した。

関連項目

壊死

恒常性

Fasリガンド

サバイビン

オートファジー

細胞死

外部リンク

日本Cell Death学会

アポトーシス概論(CSTジャパン)

アポトーシス抑制(CSTジャパン)

ミトコンドリアでのアポトーシス制御(CSTジャパン)

細胞死 - 脳科学辞典

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