なおWindows XP以降では、特定のバージョンのWindowsの実装や内部仕様に依存するなど、誤った実装や後方互換性を無視した実装により正常に動作しなくなってしまったアプリケーション向けに、「互換モード」が用意されている。これはシステム側が返す情報を特定バージョンのWindowsのものに偽装することで、アプリケーションをだますことにより動作させる救済措置であり[22][23][24]、本来はアプリケーション側をAPI外部仕様に基づいて正しく修正することが好ましい。
Unix系OSでは、相互に関連はあるが非互換なOS群が同一ハードウェア上で動作している。ソフトウェア業者が同一バイナリで各種OSに対応できるようAPIとABIを共通化する試みがなされてきたが、いずれも失敗に終わっている。そのような試みとしてLinuxではLinux Standard Baseがある。BSD系OSも各種あるが、互換性のレベルは様々である。
Androidには「APIレベル」という概念が存在し、Android OSのバージョンごとにAPIレベルの番号が割り振られている。例えばAndroid 10はAPIレベル29に相当する。特定のAPIレベルで追加された機能(クラス、メソッド、フィールド)を利用するには、アプリケーションのビルド時に AndroidManifest.xml[25]あるいは build.gradle[26]にてtargetSdkVersionの値をそのAPIレベル番号以降に設定し、また指定されたバージョン以降のAndroid SDKを使ってビルドする必要がある。また、minSdkVersionの値によって、アプリケーションのインストールおよび実行に必要な最小システムバージョンを指定することができる。minSdkVersion以下の機能は(廃止されたものでない限り)無条件で使用できるが、minSdkVersionを超えるバージョンで追加された機能を使用する場合は、android.os.Build.VERSION クラスのSDK_INTフィールドの値に基づいて動的分岐する処理を実装する必要がある。 APIの公開に関しては2つの一般的な方針がある。 この2つの方針の中間もある。 互換性のためのAPIを作成するためにそのAPIの実装を解析することは一般的に合法である。この手法は相互運用性のためのリバースエンジニアリングと呼ばれる。しかしAPIそのものとは異なり、APIの実装には著作権が存在するため、リバースエンジニアリングする前には著作権侵害の問題が生じないよう、十分注意する必要がある。また、使おうとしているAPIに、特許保持者の許可がなければ使えない特許技術が許可なく含まれていたら、それは特許権侵害になりうる(ただし、これはリバースエンジニアリングに限られた話ではなく、APIを利用するプログラムにも全般的に言えることである)。 2010年、米オラクルはGoogleがJavaの新たな実装をAndroidの一部として配布したとして、Googleを訴えた[27]。Java APIを複製する許可(ライセンス)はOpenJDKプロジェクトやIBM J9などの実装には与えられていたが、一方AndroidのDalvik仮想マシンの実装はOpenJDKなどに基づいてはおらず、またGoogleはJava APIを複製する許可をとっていなかった。これに対して、地方裁判所はAPIは著作権法の対象外であるとする判断を下したものの、控訴裁では保護対象であるとされ、最終的に2015年、最高裁によりアメリカ合衆国内ではAPIにも著作権があるとの判断が確定した[28][29][30]。ただしその後の審理を経て、2021年には著作権があってもフェアユースの下に利用可能であるとの判断が下されている[31]。
公開の方針
自社のAPIを厳重に秘匿する。例えばソニーはライセンスをもった開発者にしかPlayStationの公開APIを利用できないようにしている。なぜならPlayStationのゲームを開発できる人の数を制限したほうが、より多くの利益をあげられるからである。これはAPIの実装を売ることで利益を上げるわけではない会社の典型的な例である。(ソニーの場合は、ゲーム開発時のAPIのライセンス料によって利益を上げようとしたがうまくいかず、PlayStation用コンソールの販売を中止している。)
自社のAPIを広く普及させる。例えばマイクロソフトは計画的にAPIに関する情報を公開しているので、誰でも簡単にWindowsプラットフォーム用のソフトウェアを作成することができる。これはAPIの実装を販売して利益をあげる会社の例である。OSなどのAPIは、いくつかのコードに分割され、ライブラリとして実装されており、OSと一緒に配布される。OSと一緒に配布されるWindowsのAPIは誰でも使うことができる。また直接アプリケーションの中に統合される必要があるAPIもある。
リバースエンジニアリングと著作権