2014年に発表されたゲノム配列が決定している哺乳綱13種の嗅覚受容体の解析では、本種の嗅覚受容体の機能遺伝子数は1,948(比較対象として他種ではラット1,207、ウシ1,186、マウス1,130、ウマ1,066、イヌ811、ヒト396など)という解析結果が得られている[8]
出産直後の幼獣は肩高85 - 140センチメートル、体重90 - 135キログラム[5] 分子系統解析から、亜種マルミミゾウ(シンリンゾウ)を独立種として分割する説もある[5]。さらには第3の種の可能性として“West African Elephant”も提示されており、これによりアフリカゾウ属が3種に分割される可能性も示唆されている。2008年の時点でIUCNはレッドリストではより広域での検証が必要であるとして扱いを保留し、マルミミゾウも亜種として本種に含めている[3]。 サバンナや森林に生息する[4]。100 - 3,700平方キロメートルの行動圏内で生活する[5]。メスとその幼獣からなる少なくとも3 - 10頭の群れを形成する[5]。群れが代を重ねることで数百から1,000頭に達する大規模な群れに発展することもあるが、通常は分散する[5]。群れでは、採食場や水場などの情報が共有・伝承される[5]。オスは生後12 - 16年で群れを離れ、単独もしくは若いオスのみの繋がりの緩い群れを形成し生活する[5]。幼獣のいる群れに危険が迫ると、成獣が幼獣の周囲を囲うようにして保護する[5]。水浴びを好み、泥浴びを行った上で岩や木に体を擦り付ける[5]。 食性はほぼ植物食で[5]、基亜種は、主に草を食べる[4]。地域によっては、600種の植物を食べていた例もある[5]。1日あたり、100 - 300リットルの水を飲む[5]。乾季に水が無くなった時は、干上がった川底などの地面を牙や前肢で掘って水を探す[6]。 干ばつ、民族紛争、象牙目的の乱獲などにより生息数は減少した[4][5]。象牙の高騰化や、内乱や民族紛争によって自動小銃・機関銃などの火器が密猟者に渡ったことにより幼獣も含めた群れの虐殺が行われるなどの密猟の手口が悪質化している問題もある[4][5]。ガンビアでは1913年に、ブルンジでは1970年代に、モーリタニアでは1980年代に絶滅した[3]。エスワティニでは1920年代に絶滅したが、1980年代から1990年代に再導入された[3]。一部地域では減少傾向にあるが地域によるものの1960 - 1980年代を底打ちに生息数は漸増傾向にあると推定され、2000年代には大半を占めるアフリカ大陸東部個体群や南部個体群では生息数は年あたり4%の上昇率で増加しているという報告例もある[3]。1976年にガーナ個体群がワシントン条約附属書IIIに、1977年に附属書IIに、1990年からは附属書I(1997年にジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、南アフリカ共和国の個体群はワシントン条約附属書II)に掲載されている[2]。
分類
Loxodonta africana africana (Blumenbach, 1797) サバンナゾウ[4][5] Savanna elephant[4]
前肢の蹄は4本、後肢の蹄は3本[4][5]。
Loxodonta africana cyclotis Matschie
頭部や耳介が丸みを帯びる[5]。牙は細く直線的で下方に向かう[4][5]。前肢の蹄は5本、後肢の蹄は4本[4][5]。
生態
人間との関係