アバター_(2009年の映画)
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元海兵隊員であるためにこれまで接触を図ってきた科学者達と異なる印象を持たれたジェイクは[6]、ネイティリからナヴィの生き方を学ぶよう勧められる。

ジェイクはハンターとしての修行を積む過程を通して、ナヴィの生き方を学んでゆくこととなった。埋葬した死者の魂が死後も大地に戻って生きてゆくと考え、狩りでしとめた獲物の死骸にも祈りを捧げるナヴィの自然観では、自らの命も含めたすべての生命エネルギーが大自然の中を循環してゆくものと考えられていた。星全体を取り巻く雄大な連鎖の中で各々の生を位置づけるその生き方は、環境破壊によって母星を瀕死の状態にまで追い込んでしまった地球人とはまるで異なるものだった。一人前のハンターの証として手に入れることのできる翼竜・イクランも、家畜や乗り物として扱うのではなく、あくまでフィーラー(触覚)を介して心を通わす友人として彼らは扱っていた。ある日、イクランを駆っての飛行の最中、ジェイクは巨大な翼竜トゥルークを目撃する。『空の王者』の異名をとるこの翼竜に受け入れられた者は、永いナヴィの歴史の中でも数えるほどしかいない。トゥルーク・マクトと呼ばれる乗り手は、その偉容をもってすべての部族を糾合し、ナヴィの指導者として尊崇を受けたのだという。

「ナヴィは二度生まれる」という言葉は、厳しい修行を経た後に一人前のハンターとして認められた者を迎えるためにナヴィに古くから伝わる言葉である。ハンターの修行を終えてオマティカヤ族の信頼を得たジェイクは、正式に部族の一員として、彼らの『兄弟』として認められることとなった。そして、一緒に時を過ごしたネイティリとの間にも愛情が芽生え、二人は互いに深く愛し合うようになっていた。

その一方で、RDA社の苛立ちは頂点に達していた。遅々として進まぬ交渉に業を煮やしたパーカーとクオリッチはついに強硬手段に訴え、莫大な地下資源を地蔵するオマティカヤの村への襲撃に乗り出そうとする。強引なやり方に驚いたジェイク達は彼らを制止しようとするが、二人はさらに魂の木への攻撃までをも考えていた。魂の木はナヴィの神であるエイワの意思の宿る神聖な場所と考えられ、その信仰を一身に集める聖地である。グレイスの見立てでは、パンドラに生息する植物は電気信号を出して交信し合い、それらが巨大なネットワークを形成して星全体を覆っている。それらの生命エネルギーの情報のネットワークが総体としてさながら巨大な脳細胞を構成して星の生態系を維持する意思を持っており、ナヴィを始めとするパンドラの生物はフィーラーを介してその意思にアクセスすることができる。ナヴィ達が崇める「母なる女神・エイワ」こそがそれであり、空想や迷信などではなく自然現象の一種として彼らの神は実在するのだった。グレイスはこのような貴重な生態系を破壊すべきではないと懸命に説くが、パーカーとクオリッチは全く理解を示さない。結局攻撃は断行され、焼夷弾とミサイルの雨がオマティカヤの村を壊滅させてしまう。

オマティカヤ族と共に暮らすことで彼らを愛し、自身がナヴィの生き方を心の底から愛していることに気づいたジェイクは、地球人達に背を向け、パンドラのために戦うことを決断する。同様に悪辣なやり方に反発した少数の仲間と共に居留地を出奔するが、逃走の際にグレイスが重傷を負ってしまう。彼女を救うには超常的な治癒能力を持つというエイワに頼るほか無かったが、ナヴィ達が侵略者の片割れを助けてくれるとは到底思えなかった。ジェイクは一か八かの賭に出て空の王者・トゥルークを手懐け、トゥルークに受け入れられた伝説のトゥルーク・マクトとしてオマティカヤの村人達の前に現れ、再び彼らの信頼を取り戻すことに成功する。グレイスの治療は間に合わなかったが、村人達はジェイクの下で戦うことを決意してくれた。そしてオマティカヤ以外の部族も、トゥルーク・マクトの号令によって魂の木に結集し、ナヴィ達は一致団結して侵略者に対抗することとなった。

一方、ナヴィ達の決起計画を察知したクオリッチも、これに先制攻撃をかけるべく魂の木への侵攻作戦を準備し始めた。信仰の大本である魂の木もろともナヴィを蹂躙しようとするその企みを知ったジェイクは、決戦を前にして魂の木の下でエイワの助力を得るべく祈りを捧げる。誰の味方もせずに自然のバランスを保つだけというエイワが果たして力を貸してくれるか心許なかったが、ジェイクはフィーラーを介して母なる女神に一心に祈りを捧げた。

クオリッチの攻撃が始まった。歩兵と巨人ロボット兵器・AMPによる地上部隊、攻撃ヘリによる空挺部隊、そして聖地のすべてを焼き尽くすべく大量の爆薬を積載した大型輸送機が、一丸となって魂の木を目指して進行してゆく。ナヴィ達はジェイクの指揮の下でこれに対峙するが、地球側の圧倒的な軍事力の前には果敢な抵抗も無力だった。しかし、激闘の渦中で次々に仲間が倒れてゆく中、奇跡が起こった。地上には地鳴りのような足音を立てて無数の獣たちが殺到し、空には天を覆い尽くさんばかりのイクランの群れが現れ傭兵部隊を襲い始める。ジェイクの捧げた祈りをエイワが受け入れ、パンドラの生物たちに星を護る戦いに参集するよう呼びかけてくれたのだった。星中から集まったかと思えるほどの数多の生物が天地を問わずに襲いかかり、戦況はにわかに逆転した。勢いに乗ったジェイクは爆薬を積んだ輸送機を爆散させ、クオリッチの乗る隊長機をも墜落させることに成功する。が、クオリッチは積載されていたAMPに乗って間一髪で脱出する。

AMPの落着した先は、ジェイクのリンク装置のあるコンテナハウスの目と鼻の先だった。妨害しようとするネイティリをはね除け、クオリッチはジェイクの眠るカプセルを破壊しようとするが、そこへジェイクが駆けつけ、二人はついに正面切って対決することとなる。鋼鉄の巨人を相手にジェイクはひるむことなく戦うが、激闘の最中クオリッチはわずかな隙を狙ってカプセルを攻撃し、ジェイクはアバターとの神経接続を断たれてしまう。クオリッチは行動不能になったアバターを捕らえるが、しかし直後に死角を突いて放たれたネイティリの矢がその胸に突き立った。クオリッチは苦悶の声をあげて絶命し、主を失ったAMPは轟音と共に地に伏した。

戦いは終わった。傭兵軍の残党も、RDA社の面々も、地球人達はナヴィと共に戦った一部の人間達を残してパンドラを退去することとなった。侵略者達が去っていった後、ジェイクもまた居留地を後にする。無人になった居留地を去ってジェイクが赴いたのは、あの魂の木の下。今度こそ本当に部族の一員としてジェイクを迎えるべく、オマティカヤの兄弟達が彼を待ってくれているのだった。魂の木の下、アバターと共に静かに横たわるジェイクは、エイワの力によってその意識をアバターの肉体に移される。ネイティリや大勢の同胞達に祝福される中、ジェイクの意識を宿したアバターは力強くその瞳を開いた。さながら「ナヴィは二度生まれる」という言葉をなぞるかのように、ジェイクはナヴィとして新たな生を受けたのだった。
キャスト
地球人(スカイ・ピープル)
ジェイク・サリー
(英語版)
演 - サム・ワーシントン、日本語吹替 - 東地宏樹本作の主人公で元海兵隊員(伍長)。傷痍軍人で ベネズエラでの戦争で負傷し、脊髄を損傷したため下半身不随となっている。 軍人年金の額では治療を行うことが出来ず車椅子生活を余儀なくされていたが、アバター計画に参加するはずだった科学者の双子の兄トミーが強盗に襲われ急死したため、高額な治療費をRDAが肩代わりすることを条件に兄の代理として計画に参加した。会社側からは軍人の立場を利用して科学者側やナヴィ達に根回しする役目を任される。アバタープログラムの訓練はおろか、ナヴィの事も知らないままアバターと同期することになるが、長い間の車いす生活からアバターを通じて自由に歩ける事から「最高だ」と当初からアバターの姿を気に入るようになる。これまでアバターの操縦は科学者が行ってきたが、ジェイクのように無知な軍人が操縦する事は初めてで、それが結果的にナヴィのオマティカヤ族から「戦士」として受け入れられ先住民としての修業を行う事になる。次第にパンドラの自然やアバターとしての生活を愛するようになり、自分が人間なのかアバターなのかが分からない複雑な気持ちに揺れる事になる。最終的に人間でもなくアバターでもなくナヴィー一族としての自分自身を受け止め、彼らと生きる道を選ぶ。
グレイス・オーガスティン博士
演 - シガニー・ウィーバー、日本語吹替 - 弥永和子アバター計画を率いる植物学者。自然の破壊された地球に見切りを付けて15年以上パンドラの生態系研究に従事している。自らもアバターを操ってナヴィとの融和の一環としてオマティカヤ族の村に学校を開き、文化交流と英語教育を行ったことがある。そのため、地球人としては例外的にナヴィ達から一定の信頼を得ていた。優秀な学者だが、仕事がスムーズに進行しないとしきりに悪態をついて周囲を困らせるなど、かなりワンマンな性格。職業的差別観から軍人に対し偏見を持っており、専門的な教育を受けていた兄の代わりに送られてきた元海兵隊員のジェイクには不満を持っていた。しかしながら彼がナヴィと交流できる事に気づいてからはその態度は徐々に変わり、信頼を置くようになる。クオリッチの強攻策に反発し、物語後半でジェイクらと共に地球人居留地を出奔するが、逃走の際にクオリッチの放った銃弾に当たって重傷を負う、体が弱りながらもナヴィ達の助力にてエイワの力で延命を行うが時すでに遅く命はエイワと一体化する(死んだように見えるがモアト曰くエイワに命が移動したと語っている)。姿を変えて続編三部作に登場すると演じるシガニー・ウィーバー自身から発表された。
マイルズ・クオリッチ(英語版)
演 - スティーヴン・ラング、日本語吹替 - 菅生隆之元海兵隊の大佐[7] で、RDA社の傭兵部隊Sec-Opsを率いる。


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