英語圏最大の匿名画像掲示板「4chan」では投稿時に名前を入力しないと「名無しさん」を意味する「Anonymous」という名前が表示される。これがアノニマスの起源[10]とされ、その他いくつかの掲示板や「YouTube」の利用者からも発生したとされている。その後、アノニマスは4chanから派生した420chan(英語版)に移行し、420chan管理人のオーブリー・コトルが事実上のリーダーとなる[11]。また関連ウィキサイトや、Encyclopadia Dramatica、7chanからの移民で構成された711chan、その他の多数の匿名掲示板やインターネットフォーラムが、アノニマスに関係しているとされている。
活動拠点は4chanのみならず、さまざまなプラットフォームに広がった為、全体の総数は測定不能だが、IRC接続者が常時数百人程度はおり、これらのことから彼らがコアメンバーとみなされる事もある。アノニマスに人数を質問すると、9000人以上と答えるジョークも存在するが、これはパロディとされている。実際の総数は数千人規模とも言われ、さまざまな地域や文化圏の人々が含まれていることが推測される。インターネットイニシアティブ社は「相互に異なる意見を内包しており自然発生的に小さな無数のグループが存在している」と推測している[4]。
アノニマスの典型的な活動サイクルは次のとおり[6]。
世界の片隅で発生した不正、または自由や権利を侵害する行為について、誰かがTwitterでつぶやく。
これに目をつけた匿名ユーザー(アノニマス)が4chanなどにリンクを貼りつけて運動を煽る。
さらに、これに目をつけた集団「アノニマス」が深層Web上のIRCで活動を開始する。
TwitterやYouTubeなどに公開されたアノニマスの声明文を、全世界のマスメディアがこぞって紹介する。
世界中のハクティビストが「アノニマス」の名の下に「オペレーション」(作戦)を開始する。
また誰もがアノニマスを自称することが可能であり、自称に過ぎないハッカー・クラッカーも相当数いることから、正確な定義が困難な集団である[2]。実際、アノニマス全体で本物のハッカー・クラッカーが占める割合は5分の1ほどで、残りは広報、カメラマン、エディター、グラフィックデザイナー、声明文を書くライターたちである[6]。つまり、アノニマスは主に抗議行動で、DDoS攻撃・クラッキングを用いてハクティビズムに基づく政治を行う集団、またはそうした一連の社会運動を指すインターネット・ミームともいえる。ワシントンポストは「インターネットの歴史の中で最も説得力のある集団行動を4ちゃんねらーは実行した」と肯定的に評価している[12]。
起源アノニマスのメンバー
アノニマス (英: anonymous) とは「匿名の」という意味をもつ形容詞である。語源はギリシャ語の語「?ν?νυμο?(アノーニモス)」[注釈 1]である。この語は「-がない」を意味する「?ν-」と「名前」を意味する「?νυμα」から成り立っている。
これはインターネット掲示板においてコメントや画像を投稿する際、名前を伏せる目的(=匿名)で使用されてきた。この共有人格的な意味での使われ方のアノニマスは匿名画像掲示板の4chanが発祥である。4chanでは、名を名乗らずコンテンツを投稿する人に対して anonymous というタグが2ちゃんねるの名無しさんと同様につけられる[13]。しかし、掲示板において anonymous という言葉は、次第に本物の人間を表すようになっていった。4chanが流行するに従って「アノニマス=名もなき個人の集団」という考え方は一種のインターネット・ミームとして定着していった[14]。つまり、アノニマスとは広く名付けられていない集団を示している。その定義では、簡単に一括りにできないということが強調され、その量の大きさを示す警句で示される。インターネットを基礎にした最初の集合的無意識である。アノニマスは、烏合の衆が集団であるという意味で集団である。その集団をどう認識するかって? 彼らが同じ方向を向いて動いてるからだ。いつでも参加し、離れ、どこかへ行ってしまう。 ? クリス・ランダース、ボルチモアシティペーパー, April 2, 2008.[15] アノニマスの歴史は、匿名掲示板(CHANカルチャー)における集団行動の歴史でもある。以下でそれを追っていく。詳細は「英語版: Anonymous (group)
歴史
2ちゃんねる(1999)「2ちゃんねるの歴史」も参照2ちゃんねる開設者で4chan管理人の西村博之は、アノニマスの仮面とよく似ていることで知られている[16]。
すべては1999年に西村博之が開設した日本最大級の匿名掲示板「2ちゃんねる」から始まった[17]。2ちゃんねるでは、特定のスレッドが爆発的に盛り上がると「祭り」と呼ばれる集団行動が起きる。
伝説化した「祭り」としては、もやしを同じ日に全国で買い占める「もやし買い占め事件」、YouTubeのヘイト動画を大量通報する「ネトウヨ春のBAN祭り」、意味不明な人物やキャラをサイト上の投票で1位にする「田代祭」「コイルショック」などが最もよく知られている。中にはテレビ局の偏向報道に対抗し、ゴミ拾い企画の前に2ちゃんねらー総出でゴミを拾ってしまうという「2ch湘南ゴミ拾いオフ」なる大規模オフも存在した(こうした流れは「しない善より、する偽善」という善意のスローガンも生み出した)。
2ちゃんねるのほとんどの利用者は匿名で投稿を行うため、一見すると「名無しさん」という人物が連続して投稿を行っているように見えることがある。こうした集合的アイデンティティ[18]としての「名無しさん」は、そのまま4chanの「アノニマス」に受け継がれていく。
4chanの襲撃(2003-2006)「4chan」および「/b/」も参照.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}4chanはインターネットにおける人間性の善、悪、醜を遺憾なくわれわれに見せつけてくれた。
ハンドル名、Mootことクリストファー・プールが自宅の寝室で4chanを始めたのはわずか15歳のときだった。その12年後、プールはアクティブ・ユーザー2000万人の一大画像共有ネットワークを築いた。テーマはコスプレやかわいい動物の写真といった無害なものからアニメ・ポルノ、さらには悪名高い無検閲の「/b/」チャンネルまでなんでもありだ[19]。—Josh Constine at TechCrunch
2003年10月、4chanという匿名の画像掲示板が英語圏で開設された。このサイトは、2ちゃんねるから派生した画像掲示板「ふたば☆ちゃんねる」(2chan.net)を模倣した非公式の姉妹掲示板である[20]。