アニー・ホール
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クリストファー・ウォーケンはアニーの兄で自殺したがっているデュエインを演じた。

ジェフ・ゴールドブラムはロサンジェルスのパーティで一言せりふを言っている。"I forgot my mantra"。

シガニー・ウィーバーはアルビーのデートのとき、映画館の外でちらりと見える。

ジョン・グローヴァーはアニー・ホールの前の恋人役で出演している。

公園でアルビーとアニーが通りがかりの人を観察しているシーンで、アルビーは「あそこにトルーマン・カポーティのそっくりさんが」とコメントするが、トルーマン・カポーティ本人である。彼はクレジットなしで出演した。

ボーイフレンドと歩く通行人として、TVシリーズチャーリーズ・エンジェル 第4期のシェリー・ハック が出演している。
制作

この映画の制作上のタイトルは『Anhedonia』(これは日本語で無快感症や快感喪失と訳される精神医学用語で、普通なら楽しいはずの生活で快感を体験できないという意味の言葉)だが、このタイトルでは売れないとみなされ、ブリックマンが『It Had to Be Jew』という別の提案をした。最終的に、公開タイトルとして『アニー・ホール』の名に決定された。アルビーとウディ・アレンの性格が似ており、またウディ・アレンと以前関係があったダイアン・キートン(アニー・ホール役)の本名はダイアン・ホールでニックネームがアニーであることから、『アニー・ホール』は半ば自伝風の作品だと広く信じられたが、ウディ・アレンはこれを否定している。

この映画は元は殺人ミステリーを中心にして、わきの筋にコメディとロマンスをいれたドラマにするつもりで、そのように撮影された。アレンによると、アルビーとアニーがイングマール・ベルイマンの『鏡の中の女』(Ansikte mot ansikte)を見逃したシークエンスで、殺人が起こったのだが、映画編集者がミステリーの部分をカットしようとアレンを説得し、映画をロマンスコメディにした(アレンは殺人ミステリー映画を後年制作した。1993年の『マンハッタン殺人ミステリー』であり、ダイアン・キートンも主演している)。

この映画の製作は半ば即興的に行われた。例えば、元々の台本では、アルビーはローラーコースターの下にある家で育ったわけではない。しかし、撮影場所を探しながら、アレンがスタッフとブルックリンをドライブしていたとき、ローラーコースターの下にある家を見つけ、撮影に使われた。この「家」は、実際にはケンシントン・ホテルで、サンダーボルト・ローラーコースターの下に位置していた。他の例では、アルビーがコカインにくしゃみするシーンがあり、これは全くの偶然だったが、アレンがそのまま映画に使うことを決めた。この場面を試写したとき、観客は大笑いだったので、アレンはこの場面を加えることにした。
スタイルとテクニック

監督のアレンは『アニー・ホール』はテーマ的、技術的に「大きな転機」だったと語り、次のように述べている。「ぼくはやめようと思った… ただおどけたりする、これまでと変わらないコメディを。挑戦しよう、同じようなやり方ではなくおもしろいだけでもない、もっと深い作品を作ろうと考えた。たぶん、出来上がるものは別の価値をもつだろう、観客をおもしろがらせたり、励ましたりする作品。それはとてもとてもうまくいったんだ」。

またアレンは『アニー・ホール』の初期、撮影技師のゴードン・ウィリスと仕事をするのは、自分の技術的スキルを向上させる助けになったと明言している。ウィリスのことを「とても大事な先生」と呼び、また「技術の天才」と呼んだ。

『アニー・ホール』は長回しを利用した最初のアレン映画であり、アレンは長回しを利用した理由を「おもしろいし、わかりやすいし、退屈しない」からと述べている。映画評論家ロジャー・イーバートは、『アニー・ホール』の平均したワンシーンの長さは14.5秒という調査を挙げており、1977年に制作された他の映画は平均4-7秒といわれその長さの程が窺える。エバートは長回しは映画の劇的なパワーを増大させると言い添えている。「『アニー・ホール』がどれだけの人々のおしゃべりで成り立っているのか気付く人はおそらくほとんどいない。彼らは歩いて話し、座って話し、カウンセリングに通い、ランチに行き、セックスして話し、カメラに話しかけ、またはアルビーに対してアニーが自分の家族を説明するときの自由な想像のような独白を突然始める…」。

この映画は通常のリアリズムの手法で撮られてはいない。まず登場人物はカメラに向かって話しかけることにより「第四の壁」を壊している。また分割画面の使用、字幕が登場人物の頭の中の考えを解説している(対話と対照的に)などの表現が用いられている。例えば、アレンが演じる人物がアニーと映画館で一列に並んで立っているシーンがある。アレンのうしろの男がマーシャル・マクルーハンの著作を解説しているのを聞き、アレンは列を離れ、カメラに向かって話しかける。男はそれからカメラに向かって弁明するが、アレンは(本物の)マクルーハンをカウンターのうしろから引っぱってきて、マクルーハンに「君の解釈は間違っている」と言わせ、その場を解決する。別のシーンではアニメを使い、アレンと『白雪姫』の邪悪な女王を漫画化している。アレンが演じる人物は観客に話しかけたり、通りがかりの人物を立ち止まらせ愛についての質問をしたりする。アレンはアルビーに第四の壁を壊させることを選択した。こうした表現についてアレンは「観客の多くがぼくと同じ感じ方や、同じ問題を抱えているように思った。彼らに向かって話しかけたかったし、向かい合いたかった」と説明している。

イングマール・ベルイマンフェデリコ・フェリーニはともにアレンが敬愛する映画作家であり、本作においてもその影響が窺える。

アルビーとアニーとロブが、アルビーの子供のころを訪ねるシーンは、ベルイマンの非常に有名で賞賛されている作品、『野いちご』(Smultronstallet)で使用されている物語手法である。アレンは『ウディ・アレンの重罪と軽罪』でもこのテクニックを使っている。登場人物のJudahが子供時代を訪ね、彼が犯した犯罪について倫理的な質問を父にする。同様に、学校のシーンは、『フェリーニのアマルコルド』(Amarcord)などのフェリーニ作品の影響を受けているとされる。

映画にはBGMが僅かしか用いられていない。音楽のいくつかの例をあげると、ロサンジェルスでドライブしているとき少年合唱団のクリスマス・キャロル世の人忘るな』、アニーとアルビーが田園地帯をドライブするときモーツァルト交響曲第41番ジュピター』の第4楽章の一部などが使用されている。また、アニーがジャズクラブで歌うシーンがあり、その歌はラストシーンで繰り返される。また、ポール・サイモンが演じる人物の大邸宅で行なわれたパーティではサヴォイ・ブラウン『A Hard Way to Go』が演奏されている。
賞とノミネート

1977年アカデミー賞

作品賞受賞 - チャールズ・H・ジョフィ、ジャック・ローリンズ

主演女優賞受賞 - ダイアン・キートン

監督賞受賞 - ウディ・アレン

脚本賞受賞 - ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン

主演男優賞ノミネート - ウディ・アレン

しかしウディ・アレンは『アニー・ホール』で受賞したにもかかわらず、アカデミー賞授賞式に出席しなかった。受賞は自分にとって重要ではないとアレンは主張している。

1978年ゴールデングローブ賞

『アニー・ホール』は主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞した(ダイアン・キートン)。他に3つノミネートした。作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞(ウディ・アレン)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)(ウディ・アレン)。

1978年英国アカデミー賞(BAFTA賞)

『アニー・ホール』は作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門を受賞

AFIアメリカ映画100年シリーズアメリカン・フィルム・インスティチュート

アメリカ映画ベスト100(31位)

アメリカ喜劇映画ベスト100(4位)

情熱的な映画ベスト100(11位)

アメリカ映画主題歌ベスト100(90位:ダイアン・キートンの「Seems Like Old Times」)

アメリカ映画の名セリフベスト100(55位:ダイアン・キートン演じるアーニーの「ヘヘーン("La-dee-da,la-dee-da...")」

他の受賞

1992年アメリカ国立フィルム登録簿に選ばれた。

続編について

ウディ・アレンは『アニー・ホール』の続編を作ることについて度々話を持ちかけられるのだが、繰り返し辞退してきた。彼は1995年のインタビューでこの話題について以下のように述べている。以前に続編を考えたことはなかった…続編を作るつもりはない…だけど、アニーとアルビーが何年かあとに出会ったらおもしろいだろうと考えたことがある。ダイアン・キートンとぼくが20歳も年をとって出会うことができたら、おもしろいかもしれない。ぼくたちが別れ、ある日出会うと、自分たちがどういう生活を送ってきたのかがわかるからだ。けれど、続編はぼくに搾取を思い起こさせる。…続編主義は腹立たしい。フランシス・コッポラは『ゴッドファーザー PART III』を作るべきだったとぼくは思わない。


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