アニメ_(日本のアニメーション作品)
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2000年頃を境に、アニメ制作がセルアニメからデジタルアニメに移行してからは、コンポジット(合成)とも呼ばれる[12]

セルアニメの場合 : セル画と背景を撮影台にセットし1コマずつフィルム撮影し、それを繋げることで映像を作り上げる[13]。またこの工程で透過光マルチプレーン・カメラ多重露光などのエフェクト処理[注 2]を加える。

デジタルアニメの場合 : 物理的なカメラを使用せず、ソフトウェアによるデジタル処理によってコンピュータ上で原画や背景などの各工程から上がってきた各種素材を指定に合わせて合成し、カメラワークやエフェクト[注 2]などを付加して映像データとして仕上げる[12][13][15][注 3]


楽曲作成

様々な場面に合わせた楽曲BGMを作成する作業。汎用的な楽曲から特徴的なシーンに向けた楽曲、あらかじめ演出尺や映像に合わせて作曲・編曲する(フィルムスコアリング)一品ものまで様々。


音作業:音響監督は、声優のキャスティングと演技指導、ダビングなどの音響演出を担当する。監督や演出(プロデューサー)などが参加する場合が多い。
アフレコ

撮影された映像に声優がアフレコ台本をもとに声を収録する作業。アフレコ演出と呼ばれる職制が演技指導を行う場合もある。制作スケジュールの都合上、作画が完成していない状態での収録となる事も珍しくなく、演技によってその後の作画を修正する場合もある。作品によっては、場面との親和性を高める為に挿入歌をアフレコスタジオで収録するケースもある。


プレスコ

映像と音声との同期性を重視する場合は、アフレコと異なり先立って声を収録してから作画作業に入る、この方式を用いる。海外ではこれが主流である。


ダビング

声にBGMや演出に合わせた効果音を加える作業。



フィルムまたはVTR編集

オープニング、エンディング、CM前後のアイキャッチを組み合わせて完成させる作業。オブジェクトの最終調整、色彩調整も行われる。

ただし、諸事情により企画段階[16]、もしくは制作途中で中止になることもあり[17]、中にはアフレコも終えた段階でお蔵入りになったケースもある[18]。稀に一度は中止にされた作品が時を経て再起動するケースもある[19]
流通形態

アニメーション映画

映画館などでの上映用に制作される作品。劇場用アニメーション映画、アニメ映画、劇場版アニメなどと呼ばれる。

作品に関しては、『日本のアニメ映画作品一覧』を参照。



テレビアニメ

地上波放送局BS局・CSチャンネルなどでのテレビ放送用に制作される作品で、さらに特殊ジャンル分けとして深夜番組深夜アニメや、全国独立放送協議会加盟局主体で放送のUHFアニメ(アナログテレビ放送当時、特に日本の三大都市圏でのUHF局は独立局が主体だったことから)などの分類もされる。

ネットでも配信される作品もあり、基本的に配信開始から1週間以内は無料配信、或いは特定配信サイト独占契約などによる有料配信の形態が主流となっている。

海外向けではCrunchyrollなどが著作権者の承諾を得て、台本を翻訳、字幕を付けて世界中に配信している。これらのサービスは基本的には日本国内からのアクセスは不可能となっている。

パッケージ販売の頭打ちから、国内外問わずネット配信による事業収益に活路を見出す動きが活発となり、テレビアニメ配信を重視するネット配信業者も相次いで誕生している。

作品に関しては、『日本のテレビアニメ作品一覧』を参照。



OVA(オリジナルビデオアニメーション)

店舗販売とレンタルビデオ向けに制作される作品。各種媒体(VHSLDDVDBlu-rayなど)で提供される。漫画ないしライトノベル単行本の初回特典として同梱される事例もある(講談社では独自に「OAD、ODA」と呼んでいる)。2010年代頃から下記のWebアニメに移行が進んだ。

作品に関しては、『日本のOVA作品一覧』を参照。



Webアニメ

インターネット配信用に制作される作品。国外では「Original Net Animation」(ONA)と呼ばれる。ネット配信会社の伸長とともに増え、テレビ局のネット参入もみられる。

作品に関しては、『Webアニメ#Webアニメ作品一覧』を参照。



CM

企業の宣伝にもアニメーションが使われている。


制作業界と環境

アニメ産業と呼べるほどの規模はなく、映像制作の一分野に留まり、業界の構造としては建設業下請け制度に類似する構造を持っているとされ、「大手制作プロダクション(元請け)」→「中堅制作プロ(子請け)」→「零細制作プロ(孫請け)」と段階ごとに、制作費の「中抜きピンハネ)」が存在するといわれている[20][21]

表現技法の発展と向上は、個人の感性と技術の熟練度に依存し、技量差が品質に反映される労働集約的作業に支えられているが、制作環境はアニメーターの場合、収入は新人で月額で約2 - 3万円。中堅で約7万5000円 - 10万円程度といわれ、約25%は年収100万円以下である(日本芸能実演家団体協議会、2008年調査)などの賃金や雇用環境、労働条件などの問題で、国内での人材の確保もままならない状態も恒常的に続いている。

これらの問題が長期間続いた結果、2020年ごろから国内人材の枯渇と技術を向上させた中国の台頭により、日本の白物家電と同じ道を辿るという指摘もある[22]。詳細は「アニメ制作の国際分業化」を参照
製作工程の省力化とデジタル化

アニメーション製作のデジタル化に至るまでには、フィルム・アニメーションから、ビデオ・アニメーション、ビデオ変換装置など、さまざまなシステム開発が進められてきた。

1986年に池田宏(東映動画技術研究室長)は、「映像というメディアはこうした科学技術の基盤の上に構築されているものであり、このことは当然、これらの科学技術の発展に応じて新しい映像メディアの登場もあり得るのである。したがって映像関係者はこれら科学技術の発展にはたえず対応していかなければならないし、それを怠れば映像技術者として脱落さえ意味することになる」と語っている[23]

1970?1980年代後半、ビデオの普及やコンピュータの導入によってアニメーションの製作過程は大きく変わり始め、デジタル化に向かって動き始めた。
省力化

1984年に東京中央プロダクション・高橋克雄の撮影現場から、VTRでコマ撮りができるシステムVTRアニメーションシステムが登場した。

現像するまで撮影結果のわからないフィルム・アニメーションから、現場で即時に撮影結果がわかるVTRアニメーション撮影は、撮影現場の撮影期間短縮による製作コストの軽減、画質の保持、映像メディアのコンパクト化とリテイクによる経済的損失からの解放となった。

アニメーション作品以外にも広く活用され、映画やカラオケの字幕(スーパーインポーズ (映像編集))やデパートやメーカーなどの映像カタログ制作にも使用されるようになった。


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